Ham's Gallery 制作日記

マリンワイルドライフアーティスト浜中せつおのアトリエ便りです。たまには取材と称し、釣行記も載せたりします。

画家を食い物にする商売2: Vanity Gallery

2009年02月25日 00時07分12秒 | 雑記帳
アメリカにヴァニティ・ギャラリー(Vanity Gallery)と呼ばれる画廊があります。
「虚栄の画廊」か「まやかし画廊」とでも訳すのでしょうか。
画家宛にグループ展やネットギャラリーへの参加を呼びかけ、
さらに年間プロモーションや画集への掲載などのオプションを示し、
高額な契約金を取ろうとする画廊です。
アメリカの美術雑誌にそれについての記事が掲載されています。

画廊の宣伝文句ではネットや出版物で作家をプロデュースし、
展覧会には画商や評論家が駆けつけるとしています。
しかし実際には良識ある美術関係者はまったく相手にせず、
画家の経歴にこれらの画廊があれば「金でエゴをみたした」と思うとか。
グループ展などは作品の質もばらばらで、コレクターも寄りつかないそうです。

記事にはニューヨーク、チェルシーの某画廊からオファーを受けた女性の例が書かれています。
2900ドルから2万ドルまでオプションがあり、
グループ展とネットでの作品紹介の一年契約で、9200ドル。
この女性は真剣に悩んだそうです。
雑誌が記事にして警鐘を鳴らすぐらいですから、
アメリカでもニューヨークや大都市でのデビューを夢見る画家が多いのでしょう。

ニューヨークの画廊について思い当たる節があったので、もう少し調べてみました。
以前もブログに書きましたが、僕にもこのようなオファーが時折やってきます。
展覧会の開催場所はそれぞれニューヨークやバルセロナ、フィレンツェとどれも魅力的。
日本のこの種の業者が開くのはもちろん東京ですね。
そして多くがヴァニティ・ギャラリーやそれに類似した話題に登場しています。
ちなみに「まやかし出版社」の場合もヴァニティ・パブリッシャーと呼ぶそうです。

フィレンツェについては、ある海外の画家が自身のホームページにこう書いていました。
「参加費は高いが、会場はほぼ無料で借りることが出来る公営施設。
会期は真冬でだれもその施設に足を運ばない時期」だそうです。
バルセロナでは作品の取扱が雑で、作品を傷つけられた作家もいます。

ヴァニティ・ギャラリーにとって、日本人はどうやらお得意さんで、
日本人スタッフを抱えているところもあるようです。
そして案の定、経歴にこの種の画廊での展覧会を載せた日本人作家を何人か見つけました。
なかには選ばれたことを純粋に喜んだり、海外の大都市でのデビューを自慢している人もいます。
どんな絵でも審査は金次第ですから、「名声を金で買う」と突き放してもいいですが、
実際には名声は付いてこず、経歴に汚点が付くのです。
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