空風

詩&小説や日常生活を書いたりしています。
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目標:一日一更新。

童話混乱世界へようこそ―詩

2009年06月30日 21時21分42秒 | 




お母さんの言いつけで、婆ちゃんのいるお家に行ったの

籠いっぱいに入った紅い林檎はぴかりと光り、とても美味しそうだった

でも食べちゃだめなんだって。お母さんがそう言ってた

・・・知ってるよ、童話では私って凄く純粋で天然でお馬鹿で優しい子なんでしょ?




でも、でもね、私だって皆と同じように綺麗で背の高い女の人になりたかった

いつの間にか止まった身長体形年齢、だって私は永遠少女

本当の私は皆と同じように乙女な夢見て、口がちょっと悪くて、愛想の悪い女の子

この世界じゃそんな真実の私を殺しにかかる

この世界が求めるのは子供たちが、誰かが求める女の子像


(誰か、壊してくれたらいいのに。こんな、決まりだらけの童話世界なんか)




意味、わかんない

着いた先は病に倒れて足腰不自由なよくいるお婆ちゃんのお家じゃなかった

見たことある家だと思ったけれど、これ、   小人の家じゃない。

その上、中にいた命追われるか弱いはずのお姫様は二重人格とくる

籠の中に入っていた林檎を見た途端に凄い険相して剣を振り回し始める

え、ちょっと待ってよ、こ れ


毒林檎じゃない



命狙いにかかるお姫様が出る童話なんて聞いたことないわよ!

息を切らして大きな切り株の前に座って、 泣いた。


意味、わかんない

話、通じてない

これ、童話じゃない


私がつくべきお家はお婆ちゃんに扮したオオカミがいる家なのに

地図は間違っていない、確かにお母さんはここを真っすぐ行けと言ったのに

どうして、なんで

赤ずきんちゃんが白雪姫に毒林檎を食べさせるなんてお話見たこともないわよ!



く、くと籠から不気味な笑い声

恐る恐る籠を見れば、死へ誘う甘く赤い果実の1つに何故か裂けた口がついてある

裂けた口と長い鼻と喋る機能を持った林檎なんて何処の別世界よ

そんな私の動揺も無視して笑いながらその不気味な林檎は私に語りかけた




「童話という恐ろしく硬い糸に縛られ泣き叫ぶ、血の様に紅い頭巾をかぶる者よ」



叫んじゃいないわよ




「体験したように、今この童話世界は童話世界でなくなってきている」



意味わかんないんですけど




「話と話が複数にリンクしてしまった以上、我々は新しい道を歩むしか他ない」



勝手に私をからませるな




「普通の女子を望んだ赤ずきんよ、存在してはならぬこの口裂け林檎と共に」







旅をしてみないか、という言葉を聞く前に私は丸いそれを両手で掬い上げた

もう、よくわからないけど、これから始まるお話は


白雪姫のお話でも赤ずきんのお話でも他の物たちのお話でもない

新しい、世界が




「ねえ、どっちに行けばいいの?」

「まず北にあるけ」

「北ってどっちよ」

「お前、方角も知らんのか」

「知るわけないでしょ、お馬鹿がポイント幼女設定なんだから!」




そうして私は林檎とともにお婆ちゃんのお家じゃなくて

新しい、ここだけの混乱世界へと作り歩むことになっちゃうのね



(なんだろう、これがわくわくってやつなのかな!?)




思いついた童話混合世界。いつかきっちりまとめてUPしたいです

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