カルチャー・ショック!!!

映画等々絵付き感想文!

映画『かぞくのくに』2011年・日本

2013-01-28 11:20:13 | 映画
16歳で北朝鮮に「帰国」した兄が、病気治療のため25年ぶりに
我が家に帰ってきた―――再開した家族と、その間に割り込んでくる
国の事情。(ヤン・ヨンヒ監督)





これを観る前にヤン・ヨンヒ監督のエッセイ
『ディア・ピョンヤン―家族は離れたらアカンのや 』
を読んでいたため、少々北朝鮮事情が分かっていた私。
そのため主人公リエの、日本に住む当たり前の感覚と言動が、
兄ソンホの目にどれほど残酷に映るか分かって、
「アンタにお兄ちゃんの何が分かるッ!!!」って叫びたくなったんですよね。


「あの国では思考停止して生きるしかない、考え出すと頭がおかしくなる」
手も足も出ない非力な人民に、自分を見つめさせるのは酷なんでしょうか。

まあだからこそ、その分も日本に住むリエが、観客がたくさん考えるんだ!
というメッセージをありがたく受け取りました。



さてわたしの目当てだったヤン・イクチュン!いくちゅんでございます。
韓国の俳優は「北の人」を演らせるとベストを出せるような気がしていましたが、
実にオイシイ役でしたねこれは。

ヌボーッと薄ら怖そうな監視役として登場したかと思えば
出されたコーヒーをカフェオレにしたり、
ソンホのお母さんから服もらったり。。。

ソンホを苦しめたことでブチ切れたリエに
「あなたもあの国も大嫌い!」と怒鳴られたとき、
(こいつリエに手あげるんじゃ?!)とハラハラしていたら、

「あなたが嫌いなあの国で
 お兄さんも
 私も生きてるんです。
 ・・・
 死ぬまで生きるんです」


このシーンはキましたね。そうか、アンタも苦しいんだよな、、、
どうにもならない現実を生きて、自分よりずっと恵まれた生活をしているリエに
怒鳴られて、リエに感情移入している世界中の観客から蔑まれて、
キレることも誰を責めることもできず、諦めたようにそう言うしかなかったんだな、、
いや、そのセリフは「自分のことを分かってほしい」という、
人間らしい叫びなのかも――――

なんて目頭熱くしてたら
ホテルの部屋でナニ観とるんじゃオマエ(笑)

やりきれない物語でしたが、
そんなこんなで憎まれ役いくちゅんにほっこりさせられました。



映画『J・エドガー』(ネタバレ有)2011年・アメリカ

2013-01-26 14:47:47 | 映画
50年間FBI長官を務め、8代の大統領を恐れさせ続けた
J・エドガー・フーバーの混乱人生。(クリント・イーストウッド監督)




子どもの頃、民放の何かの番組がフーバー長官を紹介していました。
それを見た感想は
「うっわ付き合いたくないタイプやな~~~~!」

そしてこの『Jエドガー』を観た後、
やはり全く同じ感想を持ったのでありました。

っていうか・・・おるおるこういう人!
逆らわれることに、つーか自分が「ツッコまれること」に
1ミリの我慢もできないタイプ。
別に組織のトップでなくてもいるんですよね。

そんなイヤな悪党に思える彼も、科学捜査を確立した英雄だったんですね。
・・・まあトルソンじいさんの証言を聞いてしまうと、それすら
ホントにJエドガーの功績だったのか疑わしくもなってくるわけですが・・・
自分自身が嘘をついているのかどうか分からなくなったJエドガーのように、
観客も何がどこまで本当なんだか分からなくなってくるこの感じ、好みです。

それはそうとディカプリオ様。
惚れ直しちゃいました。じいさん(何となくばあさんぽい雰囲気でもある)演技
もさることながら、若きJエドガーの、こう・・・人格的にアレな感じ?
素晴らしい表現力だと思います。
優しいトルソン君、聡明なミス・ガンディ、そして恐ろしいお母様と、
脇のキャラクターもよかった。
ちらっと登場するテンプルちゃんがまたうれしいサプライズでした。