The Symbols
1968.6
Produced by Keith Mansfield
・・・過去最大に間が空いてしまいましたが、後編です
というわけで、このアルバムは、レコード会社・プレジデントやプロデューサーのキースが好む分厚いオーケストレーションが充実した楽曲②③④⑦⑧⑩(前半期)と、シンボルズが本当にやりたかったコーラス・バンドらしい楽曲①⑤⑥⑨⑪⑫(後半期)が混在しています
ですが、どちらの路線も味わいがあり、中々お勧めなアルバムとなっております
①(The Best Part of) Breakin' Up P.Spector - V.Poncia - P.Andreoli :UK#25
正直、「イギリスのビート・グループが、ロネッツのカヴァー??」と思ってしまいますが、どうしてどうして、見事なはまり具合いです
リリースは67年12月。この半年前に⑦がヒットチャートに登り、その勢いのままに、同じくアメリカン・ポップスをカヴァー
この2曲のヒットが、シンボルズという存在を現在まで延命させました
どうでも良いでしょうが、実はこの曲を録る直前に、ドラマーがクライヴ・グレアムから、チャス・ウェイドって人に交代しています
“彼ら本来の音”に近いのでしょう
コンボ編成で、ビートを効かせた演奏をバックに、ご機嫌ハーモニー
特にこの曲は冒頭から出てくるギターの荒くて強いギターが良い味出してます
この歯切れの良さが、オリジナルを上回るカッコよさを演出し、私のヘビロテ率は、圧倒的にこちらに軍配が上がります
② To Make You Smile Again A.Clarke
彼らの実力として面目躍如たる、オリジナルのハーモニー・ポップは⑦のフリップサイド
作者は別に、ホリーズのアラン・クラークではございませぬ。
アンソニー・クラークって人のようです。
オリジナルってことは、メンバーのミック・クラークの兄弟とかなのかも知れませんね
③ Canadian Sunset N.Gimbel - E.Heywood
ブラスたっぷりの作品としては、これが一番の仕上がりだと思います
キース・マンスフィールド、プロデュースでの2作目になるシングルは、超有名曲のカバーとなりました
ムード音楽として有名なオリジナルは56 年のリリース。歌詞付きをアンディ・ウィリアムスがカヴァーヒットさせたのも同年でござい
ジャズの空気を存分に発揮していたアンディのと違い、ポップス絶好調
決め手は、思いっ切りソフトロックしている出だし
ピアノとギターでなぞったラインを、ブラスが駆けあがってきて、「Do-----wn」というセンスあるハーモニーが登場、、、見事な”つかみ”です
ヴォーカルに妙にエコーが入るのもこの時期の特徴ですね
スペクター好きですよね、彼ら
④ Hideaway R.Goodman
前奏が、サザエさんの場面展開の時に使われる挿入歌っぽい
・・・ちなみに、1910フルーツガム・カンパニーの「バブルガム・ワールド」って曲は、サザエさの「大きな空を~」と始まるエンディングテーマと、全く同じ始まり方をします
何か他にもあったような気がするんですが、サザエさんの音楽は、この時期の音楽を参考にしたのか? と思いたくなりますな
サザエさんに使うには、ビートが強すぎですが
⑤ Again M.Clarke - J.Milton
彼らのギター音って何か特徴ありますよね、説明しにくいけど。エコーが膨らむというか
その特徴をサイケデリックにフル活用したこちらは、オリジナルソングにして①のフリップサイド
不協和音的なハーモニーが、サイケでフラワーで、好感度高いです
⑥ Bye Bye Baby B.Crewe - B.Gaudio :UK#44
さあ、出ました、彼ら最初のヒット曲は、フォーシーズンズ全米12位の大ヒット曲
一番の驚きポイントは、フォーシーズンズのバージョンというよりも、ベイ・シティ・ローラーズのカヴァーに近いアレンジってこと
アップテンポなカヴァーで、全英1位を75年にかっさらったローラーズですが、実はローラーズの関係者が「シンボルズのをカヴァーした」と、吐露しているとか
…テンポが遅いオリジナルバージョンは、フランキー・ヴァリ以外ではキレが出ないでしょう
それにしても、①とこれが彼ら本来のサウンドだと言うのなら、何てゴキゲンなグループなんでしょう
素晴らしい
こんなグループが、もっとヒット曲を稼いで、いっぱい曲を残してくれたら幸せなんですが、こういうビート&ハーモニーは、定着しない音楽ジャンルなんでしょう
ハーモニーは本家シーズンズのスタイルを見事に再現
ライヴのレパートリーだったことは言うまでもない。
⑦ See You in September S.Edwards - S.Wayne
これが問題となった名曲です
リバイバルヒットさせようなんて言い出す人がいるくらいですから、もちろん大変に良い曲
ハプニングスのと比較すると、ちょっとテンポが速くて、「Bye bye, so long, farewell」って合いの手の音程が高くて、終わり方が違うってだけで、それ以外はほとんどまったく同じアレンジがされているのは興味深いですね
僕は、合いの手を高めにしたのは絶対正解だと思うな~。
さすが後にラヴ・アフェアを手がけるだけあって、キースのアレンジは素晴らしい仕上がり
⑧ The Gentle Art of Loving D.Gold - K.Mansfield
シングルB面曲となったキース・マンスフィールド作品が、2曲続きます
こちらは③のフリップサイド
⑨ The Things You Do to Me D.Gold - K.Mansfield
こちらは⑥のB面なので、バンド・サウンド時代の作品
毛色の違うこの2曲を思うと、キースってやっぱ器用ですよね。
アレンジがA面に合っているというか
⑩ You'd Better Get Used to Missing Her A.Clarke
カナディアン・サンセットと、バイ・バイ・ベイビーの合間でシングルカット
ってことは、位置づけが微妙なんですが、B面の④にも通じる、ノーザン・ソウル風のビートが持ち味発揮
⑪ Pretty City J.Milton
何とも不思議な曲。最初聞いた時、デモ曲かと思ってしまった
ジョニー・ミルトンの意欲作は⑫のB面として、強烈な印象を残しましたね。
見事なシングルだと思います
力強いベース音と幻想的なギターがドロッと絡み合う、ハーモニーなサイケ曲。
こちらもビートの効かせ方が特徴的
・・・僕なんかはもうちょっとサビにメリハリが欲しいですが
⑫ A Lovely Way to Say Goodnight M.di Benedetto - J.di Benedetto - S.Tudanger
これはかなりの好曲
ヒット曲2連発直後だっただけに、何としても成功しなくてはいけなかったシングルですが、何とも残念な結果
マジカル・ミステリー・ツアーのフィルムに参加した直後で、注目されていただけに、痛恨ですな~
しかししかし、単純にノーザン・ソウルなビートの上に、フォーシーズンズ風のコーラスを重ね、サイケなギターを前面に出すというスタイルが、時代に受けなかったというだけのことで、これらの要素は今でこそ輝く、見事なポップス
ベストトラックのレベルです
真ん中辺りの「Oh! Isn't there a lovely way to say...」というファルセットのかぶせ方が興奮します
以下、それ以外に“聴き”な曲です。
○ Do I Love You? P.Spector - V.Poncia - P.Andreoli
さらにもう1枚、ナイスなシングルを出してくれました
アンダース&ポンシアの出世作をブリティッシュ・ビート
まったく期待を裏切らない仕上がりで、オリジナルのスピード感と重さを活かし、かつ爽やかにハモってます
○ School Girl J.Milton
B面になったのがコチラ。同タイトルの曲は結構ありますが、オリジナル。
ミルトンは、もう少し良いパートナーがいれば、素晴らしい曲を世に送り出していたろうなー
今出回っている編集版で聴ける、シンボルズの公式発表曲は、このシングルが最後。
他に、「フォー・シーズンズ・メドレー」「太陽はもう輝かない」のカヴァーなど、中々なシーズンズ・フリークスっぷりを思わせる未発表曲も充実いています
「太陽は~」は、ウォーカーズのをカヴァーした仕上がりですが
結局、奮闘実らず、シンボルズは70年代に尻すぼみ
活躍の場があったのは、ルーベッツに加入したミック・クラークぐらい。
他のメンバーもちょいちょい「シンボルズ」の名前を残しながら、80年代ぐらいまでは頑張っていたとか
以上、バイ・スタンダーズやオーヴァー・ランダーズよりは格上、トレメローズやフォーチュンズよりは格下という、中途半端な位置にいた、シンボルズでしたー
っと思ったら、シンボルズが中途半端だったので、残りのシングル等を、書き足しました。
今後とも、よろしくお願いいたします。
前篇も、最終部分を変更しています。
後半に乗せようかと思っていた話を、前半のケツに付けただけです。
今後とも、ダラダラ運営にご了承を