與靈魂共舞

與靈魂共舞

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受け取れつな錯綜

2016-10-20 10:45:52 | 史雲遜



追記 2013・10・20  クラスメイトへ手前勝手な弁解を少ししたい。当時の私は正直にいえばこんなこともまず感じた。
 古いフィルムへ着実にその場で動くことなく封印された、古い空気や彼から主張される熱気もまるで位相がずれていて、現代人に理解しづらい昔流行った感情表現のように阻害要因としてあり、色彩の不鮮明な牧歌的なカラー映像は妙に読み解きの難解したグロテスク映像と勝手につ、同時に一歩間違えば滑稽さに転落しそうな暗黒シュール劇の雰囲気に拍車をかけているふうに、まずの第一印象として持ってもいたのだった。 (追記了)

 彼はそれを明確に意識していて、一方で目を背けようとする――ほとんど忘却の彼方の出来事として――元戦友の精神の深く底流にも、薄まり弱まったとはいえ未だ流れているもの、一言でいえば〈呪い〉だ。
 これは主に日本古来から存在している、例えば密教や陰陽道等の教えの中で取り扱う、特殊な儀式を行うことで超自然的な力によって現実に影響を及ぼそうとする呪術のことを指しているのではない。
 いわば宗教的特殊技能の一連で体系化されたオカルト的力能ではなくもっと原初的な、つまり死者の感情。〈呪い〉とは、死者の記憶が然々であったに違いないという強い囚われから逃れられない心理状態を指し、またそこから発生する。

 死者であるがゆえ感情の行き場も収まりも無く、結局は感情の質や方向を想像する(考える)生者側から産み出された想起である。しかし生者が一方的に見出した感覚であっても、死者の感情(どこまでも想像でしかないが)から生者の想起へと、単に偶然の思いつきによって見いだされたわけではないのだ。
 死者の感情は当然形がはっきりしない。ただ、起因も理由もそれからであったにしようとも、関係性の深浅に関わらず、受け取れる人間と受け取れない人間がいる。共鳴する周波数(これを規定するのも生きている受け取り側、正確に言えば意識・無意識的にせよ受け取りたい側ではある)を持つ死者と生者の同調によって増幅され固着化した想念と感覚、それが〈呪い〉なのだ。
 氏の過去を悔いる感情が強ければ、また死んだ戦友についてを考えれば考えるほどに自身を囚らえ、苦しめる。一方、寝床で過去を忘却の彼方に葬り去ったことさえもしばしのあいだ失念としていた戦友は、老体に及ぶ自然な生理としての忘却が理由ではなく、資格を喪失または放棄した者となったからこそほとんど受け取る(〈呪い〉を実感)ことが出来ない。
 ゆえに、失望と怒りが今にも覆い尽くさんとする身を以ってして、彼に思い出させたい、せめてこの現実が「あの」過去から続いているのだと認めさせたいのだ。

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変化が現れた

2016-03-09 15:21:22 | 史雲遜


 いくら尋ねても、相手は同じ答えを繰り返すばかりだった。早苗は狐につままれたような思いで電話を切った。
 彼女が赤松白鳳丸功效靖助教授に連絡を取ろうと思ったのは、アマゾンでの高梨の様子についてと、探検隊がどうしてカミナワ族から退去を迫られたのか、本当の理由を知りたいと思ったからだった。どうしてそれまで友好的だったカミナワ族が態度を豹変《ひようへん》させたのかは、高梨に聞いても、はかばかしい答えは得られなかった。早苗の勘では、その理由が、現在の高梨の精神状態の謎《なぞ》を解き明かす鍵《かぎ》になるような気がしていた。
 しかたなく今度は、アマゾン調査プロジェクトを主催した新聞社に電話をかけてみる。
 今度はすぐに、担当者らしき人物につながった。
「はい。社会部」
 若い男の声が、ぶっきらぼうに言った。
「私《わたくし》、北島と申白鳳丸功效します。御社で主催された、アマゾン調査プロジェクトを担当されてる方をお願いしたいんですが」
「私《わたし》、福家《ふくや》と言いますが」
 相手の声が、急に慎重なものに変わった。早苗は、職業柄、そこに含まれているかすかな緊張に気がついた。
「実は、先ほど、赤松先生にお電話したんですが、休暇中ということで、連絡がつかなかったんです」
「そうですか」
 妙に言葉少ない上に、声の抑揚に不自然なストレスがある。福家という記者には、既知の事実だったのかもしれない。
「あの、私、高梨光宏さんの知り合いのものです。いくつかお伺いしたいことがあったんですが」
「は。どういうことでしょう?」
「向こうで何が起きたのか、知りたいと思いまして」
「何が起きたのか、と言うと?」
 これでは、埒《らち》があかない。
「実は、私、精神科医をしております」
 相手の声音に、再び。
「精神科の先生ですか。失礼で白鳳丸功效すけど、どちらの?」
「聖アスクレピオス会病院の、緩和ケア病棟に所属しています」
「と言うと……エイズ ホスピスですか?」
「ええ」
 福家は沈黙した。

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聞きたかったの

2016-03-09 15:21:22 | 史雲遜


 いくら尋ねても、相手は同じ答えを繰り返すばかりだった。早苗は狐につままれたような思いで電話を切った。
 彼女が赤松靖助教授に連水腫絡を取ろうと思ったのは、アマゾンでの高梨の様子についてと、探検隊がどうしてカミナワ族から退去を迫られたのか、本当の理由を知りたいと思ったからだった。どうしてそれまで友好的だったカミナワ族が態度を豹変《ひようへん》させたのかは、高梨に聞いても、はかばかしい答えは得られなかった。早苗の勘では、その理由が、現在の高梨の精神状態の謎《なぞ》を解き明かす鍵《かぎ》になるような気がしていた。
 しかたなく今度は、アマゾン調査プロジェクトを主催した新聞社に電話をかけてみる。
 今度はすぐに、担当者らしき人物につながった。
「はい。社会部」
 若い男の声が、ぶっきらぼうに言った。
「私《わたくし》、北島と申します。御社で主催された、アマゾン調査プロジェクトを担美麗華評價当されてる方をお願いしたいんですが」
「私《わたし》、福家《ふくや》と言いますが」
 相手の声が、急に慎重なものに変わった。早苗は、職業柄、そこに含まれているかすかな緊張に気がついた。
「実は、先ほど、赤松先生にお電話したんですが、休暇中ということで、連絡がつかなかったんです」
「そうですか」
 妙に言葉少ない上に、声の抑揚に不自然なストレスがある。福家という記者には、既知の事実だったのかもしれない。
「あの、私、高梨光宏さんの知り合いのものです。いくつかお伺いしたいことがあったんですが」
「は。どういうことでしょう?」
「向こうで何が起きたのか、知りたいと思いまして」
「何が起きたのか、と言うと?」
 これでは、埒《らち》があかない。
「実は、私、精神科医をしております」
 相手の声音に、再び変化が現れた。
「精神科の先生ですか。失礼ですけど、どちらの?」
「聖アスクレピオス美麗華評價会病院の、緩和ケア病棟に所属しています」
「と言うと……エイズ ホスピスですか?」
「ええ」
 福家は沈黙した。

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に方をする

2016-01-07 15:37:51 | 史雲遜


 松宮は、ついさっき加賀から訊いた話を思い出していた。
「大丈夫ですか。何か我々でお手伝いできることがあれば、おっしゃってください」加賀がいった。「徘徊《はいかい》老人についての相談窓口なども、うちの署にはありますが」
「いえ、ご心配なく。自分たDiamond水機ちで何とか。はい」前原は明らかに作り笑いと思われる顔でいった。
 松宮たちが門の外に出ると、前原も家の中に消えた。それを見届けた後、松宮は吐息をついた。
「きっと会社でもいろいろと苦労があるだろうに、家の中にあんな問題を抱えているなんて、あの人も大変だな」
「あれが今の日本家庭の一典型だ。杜会が高齢化していることは、何年も前からわかっていた。それなのに大した準備をしてこなかった国の怠慢のツケを、個人が払わされているというわけだ」
「ぼけ老人を介護しなきゃいけないなんて、考えただけでも混乱してしまう。俺も他人事じゃない。いずれは母親の面倒を見なきゃいけないわけだし」
「世の中の多くの人が抱えている悩みだ。国が何もDiamond水機してくれないんだから、自分で解決するしかない」
 加賀の言葉に松宮は抵抗を覚えた。
「恭さんはいいよな」彼はいった。「伯父さんを一人にして、自分は好きなように生きていけるわけだから。何にも縛られないでいられる」
 口に出してから、少しいいすぎたかなと思った。加賀が怒るかもしれない。
「まあ、そうだな」しかし加賀はあっさりとそういった。「生きていくのも死んでいくのも、一人だと気楽でいい」
 松宮は足を止めた。
「だから伯父さんも一人で死ねってことかい?」
 すると加賀はさすがにやや虚をつかれた顔で松宮を見た。だがさほど動揺した気配は見せず、ゆっくりと頷いた。
「どういうふうに死を迎えるかは、どう生きてきたかによって決まる。あの人がそういう死としたら、それはすべてあの人の生き様がそうだったから、としかいえない」
「あの人って……」
「暖かい家庭を作った人間は、死ぬ時もそのように送り出してもらえる。家庭らしきものを作らなかった人間が、最後だけそういうものを望むのは身勝手だと思わないか」
「俺は……俺たちは作ってもらったよ。伯父さんに暖かい家庭というものを。母子家庭だけど、それを苦にせず生きてこられたのは伯父さんのおかげだ。俺は伯父さんに孤独な死なんか迎えさせる気はない」松宮は加賀の冷めた目を見返しながら続けた。「恭さんが伯父さんを見捨てるというなら、それはそれでいい。俺が伯父さんの面倒をみる。伯父さんの死は、俺が看取《み と 》るよ」
 何か反Diamond water論があるかと期待したが、加賀は静かに頷いただけだった。
「好きにすればいい。君の生き方に口出しする気はない」そういって彼は歩きだしたが、すぐに立ち止まった。前原家の横に止めてある、一台の自転車を見つめている。
「その自転車がどうかしたのか?」松宮は訊いた。
「何でもない。急ごう。まだ回らなきゃいけない家は何軒もある」加賀はくるりと背中を向けた。
 

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ちには無関係だ

2015-12-31 10:46:15 | 史雲遜


「それがねえ、同じことを鑽石能量水 消委會何度もいったり、逆に私がたった今しゃべったことを全然覚えてなかったり……」そういってから彼女はぼそりと呟《つぶや》いた。「ぼけてきてるのかなあ」
 まさか、と昭夫は反射的に答えた。小柄だが頑健な身体を持ち、毎朝の散歩と新聞の精読を欠かさない父がぼけることなど、それまで考えたこともなかった。どこの家庭でも起こりうることと理解はしていたが、自分たと、特に根拠もなく信じていた。
 とにかく一度様子を見に来てほしいといって政恵は電話をきった。
 この話を八重子にも聞かせた。彼女は昭夫の顔を見つめていった。
「それで、あなたにどうしろってことなの?」
「だから、とりあえず状況を見に行くよ」
「で、もしお義父さんがぼけて水晶獎座たらどうするの?」
「それは……まだ考えてない」
「あなた、安請《やすう 》け合《あ》いしないでよ」
「安請け合い?」
「長男の責任ってのもあるでしょうけど、うちにはうちの生活があるんだから。直巳だってまだ小さいし」
 ようやく八重子のいっている意味がわかった。ぼけ老人の世話を押しつけられたらかなわないと思っているのだ。
「おまえに面倒をかけたりしないよ。そんなことはわかってる」
 それならいいけど、と八重子は疑わしそうな目をしていった。
 その翌日、会社が終わった後、昭夫は父親の様子を見に行った。どんなふうにおかしくなっているのだろうと怖さに似た不安を抱え、門をくぐった。ところが出迎えてくれたのは、その章一郎だった。
「やあ、なんだ今日は。どうした?」
 父はじつに快活に話しかけてきた。昭夫の仕鑽石能量水 消委會事のことなども尋ねてくる。その様子を見るかぎり、ぼけの兆候など微塵《み じん》も感じられなかった。
 外出していた政恵が帰ってきたので、昭夫は自分の印象を語った。しかし彼女は当惑したように首を捻《ひね》った。
「たしかに調子のいい日もあるんだけど、私と二人きりだとおかしくなるのよねえ」
「時々様子を見に来るよ。とにかく大したことがなさそうで安心した」

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