環境と福祉を縦糸に、経済史を横糸にしてざっくり編み込んだ、壮大な比較文明学の労作である。
ポスト工業社会の持続可能な未来像として、人口問題や南北問題もふまえながら、労働生産性から資源効率性(資源集約性から労働集約性)への転換を説く部分はとくに参考になった。
目次
第1章 持続可能な福祉社会―数十年の視座から
環境‐福祉‐経済
定常型モデルの可能性 ほか
第2章 グローバル・システム―数百年の視座から
自由貿易と「公‐共‐私」
不等価交換とエコロジー ほか
第3章 風土/開放定常系―数千年~数億年の視座から
拡大型文明と定常型文明
空間・地理の優位へ
第4章 グローバル定常型社会へ―ローカルからの出発
「グローバル・ミニマム」はあるか
「ローカルからグローバルへ」の全体構造
環境問題が深刻化し、またグローバル化の進展にともなって格差が拡大するなかで、地球規模での福祉社会の実現をいかにしてめざすのか。本書は、有限な地球社会において持続可能な福祉社会の実現をはかるには、経済成長を絶対的な目標としない、環境・福祉・経済を統合した新たな社会モデルを構築することこそが必要であるとして、「グローバル定常型社会」という新しい世界像を提示し、かつローカルなレベルからの実現の方途を示す。今後人類社会が選択すべき道筋を提起する、すぐれた理論的かつ文明史的考察。
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