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本と音楽とねこと

デフレの正体

藻谷浩介,2010,『デフレの正体──経済は「人口の波」で動く』角川書店(新書,¥760)'11.7.10

 アマゾンのレビューでは酷評されているが、内需不振の原因が人口構成の超高齢化と、高齢者への富の偏在にあることにまちがいはなく、問題の本質は的確に捉えられていると思う。人口問題と富の世代間分配、この最も重要な二変数を経済分析の柱とする立論は至極まっとうなものだ。

目次
思い込みの殻にヒビを入れよう
国際経済競争の勝者・日本
国際競争とは無関係に進む内需の不振
首都圏のジリ貧に気づかない「地域間格差」論の無意味
地方も大都市も等しく襲う「現役世代の減少」と「高齢者の激増」
「人口の波」が語る日本の過去半世紀、今後半世紀
「人口減少は生産性上昇で補える」という思い込みが対処を遅らせる
声高に叫ばれるピントのずれた処方箋たち
ではどうすればいいのか(1)高齢富裕層から若者への所得移転を
ではどうすればいいのか(2)女性の就労と経営参加を当たり前に
ではどうすればいいのか(3)労働者ではなく外国人観光客・短期定住客の受入を
高齢者の激増に対処するための「船中八策」

「生産性の上昇で成長維持」という、マクロ論者の掛け声ほど愚かに聞こえるものはない。日本最大の問題は「二千年に一度の人口の波」だ。「景気さえ良くなれば大丈夫」という妄想が日本をダメにした。これが新常識、日本経済の真実。

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