金融恐慌について書かれた類書は数多くあるが、本書はそのなかでも明快に問題の核心をつく出色の内容である。新自由主義の正体はなんなのか、この日ごろからあたまから離れぬ問題についての理解がいっそう深まった気がする。
目次
金融化ということ
資本市場の規模拡大
実体経済の付加価値の配分
証券文化の勃興
社会を変える金融化
金融化の普遍性、必然性?
学者の反省と開き直り
「危機を無駄にするな」
国際協調
「適切な」報酬制度
現状維持に終わる金融改革
金融化は不可逆的か
過去三〇年間、アングロ・サクソン諸国の資本主義の進展には一つの目立った特徴があった。金融業が実体経済に対する支配権を強化していく「経済の金融化」傾向である。時として金融市場が危機状態に陥ることだけが金融化を問題視する根拠ではない。それは、社会、政治、教育などにも憂うべき結果をもたらす現象なのだ。金融改革、弊害の是正はいかにあるべきか。日本の社会や資本主義への理解が深い碩学による警世の書。
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