445ページにわたる大作ではあるが、一気読みしてしまった。もっとも、桐野夏生さんの作品で一気読みしなかったものは一つもなかったように思う。
本作は、「代理母」をめぐる愛憎劇を描いたものであるが、ざらついたぬめりを感じながら楽しんで読むことができる。気持ち悪いことの快感あるいは心地よい気持ち悪さ、桐野作品はこれを感じとることができる点でも期待を裏切らない。
北海道での介護職を辞し憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、非正規雇用ゆえに困窮を極め、未知の「生殖医療ビジネス」に誘われる29歳女性・リキ。バレエ界の「サラブレッド」としてキャリアを積み、自らの遺伝子を受け継ぐ子の誕生を熱望する43歳男性・基。その妻で、不育症と卵子の老化により妊娠を諦めざるを得ず、「代理母出産」という選択をやむなく受け入れる44歳女性・悠子。それぞれのままならぬ現実と欲望が錯綜する、ノンストップ・ディストピア小説!
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