ローゼンフェルドが最後に指摘しているとおり、コロナ禍においてエッセンっシャル・ワーカーに感謝するのであれば、彼ら、彼女らを称賛するだけではなく、じゅうぶん生活していけるだけの賃金を保障すべきだ。
アメリカ合衆国だけでなく、日本やイギリスにおいても、あまりに低すぎる最低時給を引き上げるべきだとの意見が強く主張されている。ネオリベラリズムの嵐が吹き荒れてきたこの三か国において、株主資本主義がまかりとおり、労働組合の組織率は激減し、勤労者の賃金はきわめて低い水準に落とし込まれてきた。労働者派遣や個人業務請負の拡大も、低賃金不安定労働者が増加してきた一因である。
まずは最低賃金を引き上げよとのローゼンフェルドの主張は単純明快であるが、賃金格差の拡大と低賃金不安定就業者の増加を正当化する俗説に一つ一つていねいに反論してのその主張は、強い説得力をもつ。
本書は、アメリカの社会学者がさまざまな企業・業界の実態調査に基づき、常識への反論を試みる書である。給料を決定する4つの要因(「権力」「慣性」「模倣」「公平性」)を手がかりに広く信じられている誤解を解き、給料を上げるための方策と真に公平な賃金制度への道筋を示す。コロナ危機を踏まえた「エピローグ」を収録。
目次
1 給与についての疑問
何が給与を決めるのか?
私たちは何が給与を決めると思っているのか
2 成果主義は正しいのか
自由市場に背く雇用主
成果の測定の問題と能力主義の落とし穴
ボスのボス
3 その仕事だからその給与なのか
良い仕事が悪い仕事になるとき
悪い仕事は良い仕事になる
4 公平な賃金を目指して
格差を再考する
公平な賃金を目指して
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