本と音楽とねこと

未来派左翼

Negri,Antonio and Scelsi,Raf,2006,Goodbye Mr. Socialism(=2008,廣瀬純訳『未来派左翼(上)・(下)――グローバル民主主義の可能性をさぐる』日本放送出版協会)(各¥966)'10.12.11・'10.12.12)

 ネグリの眼をとおして、冷戦終結以降の世界を振り返ってみると、安直な社会民主主義や平和主義の虚妄が次から次に暴き出されてくる。破壊的思考とでもいうか、右も左もばっさり斬り捨てていく議論は刺激的であるが、「資本のコミュニズム」に対抗するマルチィチュードの公共性っつーのにいまいち説得力がない。まさか破壊行動の狂乱のなかで生じる一時的な連帯じゃあるまいし、ここいらへんが「運動家」の限界なのだろうか。




目次
1 さらば社会主義
社会主義はなぜ頓挫したのか―壁崩壊から考える
“共”はいかに発見されたか―パリのストライキから考える
“帝国”時代の戦争をどう捉えるか―ユーゴ紛争から考える
2 マルチチュード出現!
運動はどう変化したのか―シアトルのデモから考える
ネットは運動にどう影響したのか―サパティスタの蜂起から考える
なぜ暴力は正当化されるのか―ジェノヴァのデモから考える
労働はどう変貌するのか―移民問題から考える

左翼に延命の途はあるのか?疲弊した左翼をいかに再生するか?左翼政権を支えた社民的な思考モデルが時代遅れになる一方で、シアトルやジェノヴァの抗議デモ、メキシコのサパティスタの蜂起など、グローバル資本に対抗する新しいうねりが生じている。ベルリンの壁が崩壊した一九八九年以降、全世界が“帝国”化へ向かうなかで起きた様々な出来事を考察し、現状に即応できない社会主義・社民的思考に引導を渡すとともに、「みんなでひとつになる」ことを目指す柔軟な闘争形態に、グローバル民主主義への新たな希望を見出す。




目次
3 グローバル民主主義のさまざまな予兆
アメリカン・ヘゲモニーの終焉―イラク戦争から考える
マドリード・コミューン―列車爆破事件から考える
運動とともに行う統治―ブラジル・ルラ政権から考える
「帝国」貴族たちの思惑―ダヴォス会議から考える
二一世紀、中国のゆくえ―天安門事件以降から考える
宗教と政治の関係―イランの現在から考える
4 目覚めよコミュニズム
プレカリアートは未来へ向かう―May Dayから考える
統一ヨーロッパの役割―イタリアから考える

いまや保守化し自己保身に終始するようになった左翼たち。「前衛」「改革」「革命」などの創造的ビジョンはどこへ行ったのか?左翼は本来のクリエイティビティを失ったのか?シアトルやジェノヴァでの抗議デモ、ブラジルにおけるルラ大統領の試み、パリの郊外からフランス全土に広がった叛乱、不安定労働者たちによる自律的なデモ行進…一九八九年以降、およそ一五年の間に世界中で起きた出来事を分析し、そこに、未来への道を切り開く「新たなる創造性」を見出す。コミュニズムの予兆を探る、ネグリ待望の新刊。

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