対談部分はまるで議論がかみ合っておらず、興ざめ。永井均の「きみは人を殺してもよい、だから私はきみを殺してはいけない」という命題は多少興味深かったものの、なんかどうでもよい禅問答を延々と繰り広げてるだけで、こんなんじゃタイトルに惹かれて買った人は幻滅するだけだろう。
「文藝」98年夏号で話題をさらった特集の単行本化。"それだけが自分の生を肯定できる瞬間であるなら殺すべきだ"……ニーチェに造詣が深いだけにラジカルな発言を頻発する永井氏と、問い自体の欺瞞を鋭く突こうとする小泉氏。前半では、ときに論点がすれ違いもするが、お互い譲らず議論に火花が散る。後半、各々が独自に論じる部分では、特に永井氏の"うまく自暴自棄になることが、人がよく生きるこつ"や、小泉氏の"(法律以外に)「殺してはいけない」というルールはないのに、問うことこそ学校化された思考法"など、哲学者らしい根源的な切り口が随所に提示され、新鮮な体験が味わえる。(守屋淳)
『ことし読む本いち押しガイド1999』
(メタローグ/amazon.co.jp)
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