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本と音楽とねこと

「自由」の危機

集英社新書編集部編,2021,「自由」の危機──息苦しさの正体,集英社.(9.27.2021)

 菅政権による日本学術会議会員任命拒否問題についての考察が主であるが、「表現の不自由展・その後」展示中止問題、そして、製薬会社、各国政府、マスメディア、ソーシャルメディアが結託して推進するワクチン接種キャンペーンと、わたしたちの自由を圧殺する多岐にわたる問題が取り上げられている。
 いま、いちばん懸念されるのは、「ワクチンパスポート」が事実上強制され、それが「デジタルパスポート」に転用され、超管理社会が到来することだ。
 911テロ以前は、SFのネタとしか思っていなかったことが、次から次に現実のものとなり、驚くのをとおりこして、言いようのない恐怖さえ感じる。

あいちトリエンナーレ2019の「表現の不自由展・その後」展示中止や日本学術会議の会員任命拒否など、「表現の自由」や「学問の自由」が制限される出来事が近年、相次ぐ。本書では、あらゆる「自由」が失われつつある中で、研究者・作家・芸術家・ジャーナリストらが理不尽な権力の介入に対して異議申し立てを行う。「政治的な発言」がタブー視され、息苦しさが蔓延するこの国で、それでも声を上げるには何が必要か?同調圧力に屈することなく、少しでも発言しやすい世の中になるようにと二六名の論者が集い、「自由」について根源的に考察。今、起きている出来事の本質を見抜く思考力を養うための論考集。

目次
第一章 切り崩される学問の自由
藤原辰史(歴史学者) それは何か信じられないことが起こる前触れ
姜尚中(政治学者) 学問の自由は誰のためのものなのか隠岐さや香(科学史研究者) 未来世代の「自由」を殺さないために
池内 了(物理学者) 「学問の自由」と軍事研究
佐藤学(教育学者) 学問の危機の行方
杉田敦(政治学者) 大学の自治は自由の砦
阿部公彦(英米文学者) 国策は学問を育てられるのか
石川健治(憲法学者)×望月衣塑子(新聞記者) 「自由」が奪われるときの危険な兆候を見抜く
第二章 文化芸術の自由は誰のためにあるのか
津田大介(ジャーナリスト) 「自由」を守るのは、対話を通して生まれるシティズンシップ
会田誠(美術家) すべての作品には発表の自由がある
山田和樹(指揮者) 音楽と自由
ヤマザキマリ(漫画家) 「世間体の戒律」から自由になるには
平田オリザ(劇作家) 迫り来るファシズムの時代に
桐野夏生(小説家) 恐怖を感じてもなお書き続ける
永井愛(劇作家) メディアによる忖度の構造
村山由佳(小説家) 水はいきなり煮え湯にならない
第三章 いま、声を上げる自由を
上野千鶴子(社会学者) 私はバックラッシュサバイバーである
小熊英二(歴史社会学者) 「自由」に必要なのは、対話と応答に対する信頼
山崎雅弘(戦史・紛争史研究家) 守るべきは自由
苫野一徳(哲学者) 「自由な社会」を先に進める
高橋哲哉(哲学者) 「自由」への渇望はあるか
前川喜平(元文部科学省事務次官) 教育から「自由」が奪われ続けている
鈴木大裕(高知県土佐町町議会議員・教育研究者) 新自由主義時代の「富国強兵」教育
堤 未果(国際ジャーナリスト) 政府のやることに偶然はない
終章 自由を扱う技術
内田 樹(思想家) アメリカにおける自由と統制

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