文句なしの傑作小説。
小説でありながら、ノンフィクションであるかのように読ませる。それは、ある種の小説の、最大の価値である。
世のオヤジ(本書では「おじさん」と呼称されているがその害悪からしてオヤジの方がそぐうだろう)どものパワハラ、セクハラ、性暴力の被害に苦しむ、本書の登場人物たちは、仲間と連帯し、懸命にそれらに抗う。
主人公の敬子は、魂をすり減らすなかで、アイドルグループの女性(おそらく欅坂46の平手友梨奈)にはまり、勇気づけられ、オヤジたちと闘う。
本書のリアルさ、おもしろさ、痛快さは、「読書メーター」で絶賛されているとおりである。
わたしは、若いときから、男に媚びる、というより男に媚びているように作為されたアイドルが嫌いであった。その音楽性はわたしが好むものではないが、「制服向上委員会」や「欅坂46」は、そうしたアイドル像を破壊する表現力をもっている。主人公が語るその魅力は、醜悪な男社会に抵抗するパワーを与えてくれるものであるのだろう。
「どうして親は私に殺しのテクニックを叩き込んでくれなかったのだろう」会社に追いつめられ、無職になった30代の敬子。男社会の闇を味わうも、心は裏腹に男が演出する女性アイドルにはまっていく。新米ママ、同性愛者、会社員、多くの人が魂をすり減らす中、敬子は思いがけずこの国の“地獄”を変える“賭け”に挑むことに―。「おじさん」から自由になる世界へ。
持続可能な魂の利用(読書メーター)
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