まず、一冊目。
上原善広,2011,『被差別の食卓』新潮社(電子書籍版)('16.5.11)
被差別民のソウルフードには、差別する側が食べることは許されないがゆえに、「贅沢」な食味にあふれている。本書で紹介されている世界各国の被差別民のソウルフードには、そのおいしさが行間から伝わってくるものが多い。博多の「もつ鍋」もおそらく被差別民の食卓にルーツがあるのだろうと想起し、身近にあるソウルフードを見る目が少し変わった。
目次
第1章 ソウルフード―アメリカ
ハーレムの豚もつ煮
フライドチキンの秘密 ほか
第2章 奴隷たちの楽園―ブラジル
国民料理は奴隷料理
ダダの笑顔 ほか
第3章 漂泊民の晩餐―ブルガリア、イラク
ロマの“浄・穢観”
「トマス」「トラハナ」冬の朝食 ほか
第4章 禁断の牛肉料理―ネパール
カースト制度の国
不可触民サルキ ほか
第5章 被差別の食卓―日本
団地からの風景
日本版ビーフジャーキー「さいぼし」 ほか
大阪のある被差別では、そこでしか食べられない料理がある。あぶらかす、さいぼし…。一般地区の人々が見向きもしない余り物を食べやすいように工夫した独自の食文化である。その“むら”で生まれ育った著者は、やがて世界各地にある被差別の民が作り上げた食を味わうための旅に出た。フライドチキン、フェジョアーダ、ハリネズミ料理―。単に「おいしい」だけではすまされない“魂の料理”がそこにあった。
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