本と音楽とねこと

震災・原発事故関連対談本4点

 散逸したままになりがちな対談の編集は、後生への記憶の伝承という点からも貴重であるし、どれもなかなか読み応えがあって、おすすめだ。
 とくに若い人は、これらの対談集に目をとおし、教科書には書かれていないが、とても重要な日本近代史のダークな側面を理解しておく必要があるだろう。




赤坂憲雄・小熊英二・山内明美,2011,『「東北」再生』イースト・プレス(¥1,050)'12.5.29

目次
1 鼎談
幻想のラインを撤廃せよ
分断された日本と再生への道すじ
質疑応答 どんな「生のあり方」が可能なのか
2 論考
最後の場所からの思想
近代日本を超える構想力




内田樹・中沢新一・平川克美,2011,『大津波と原発』朝日新聞出版(¥777)'12.6.1

目次
1 未曾有の経験をどう捉えるか
2 津波と原発事故はまったく異なる事象である
3 経営効率と排除される科学者の提言
4 原子力エネルギーは生態圏の外にある
5 原子力と「神」
6 「緑の党」みたいなものへ
補 私たちはどこへ向かうべきか―質疑応答に関連して

未曾有の震災後に浮かび上がる、唯一神のごとき「原発」。原子力という生態圏外のエネルギーの憤怒に、われわれはどう対峙し、無惨に切断された歴史を転換させていくべきなのか。白日のもとに晒された危機の本質と来るべき社会のモデルを語り尽くす。




神保哲生・宮台真司・飯田哲也・片田敏孝・小出裕章・河野太郎・立石雅昭ほか,2011,『地震と原発 今からの危機』扶桑社(,¥1,575)'12.6.5

目次
1 子どもたちの自主判断が津波から人々を救った―ハードで被害は防げない 釜石市の教訓
自然を相手に本来「想定」などできない
磐石なハードが「安心」というリスクを生む ほか
2 地震活動期に入った日本と「フクシマ再来」の危険性―確率8割の大地震に耐える「安全な原発」は可能か?
原発を止められなかった責任を痛感する
2000年頃から日本は「地震活動期」に入った ほか
3 あえて原発事故の「最悪シナリオ」と「冷静な対処法」を考える―漏れ続ける放射能と内部被曝のリスク
「大丈夫」報道の裏で起きていたこと
最悪のシナリオ「水蒸気爆発」とは ほか
4 数十兆円の税金をドブに捨てる与野党“原子力利権”の鉄壁―「核のゴミ」をどうするのか?
議論するだけで「河野太郎は共産党だ」
使い道がないプルトニウムが40トン ほか




飯田哲也・上杉隆・内田樹・江田憲司・開沼博ほか,2011,『私たちは、原発を止めるには日本を変えなければならないと思っています。』ロッキングオン(¥1,995)'12.6.16

目次
坂本龍一―原発問題を抱える今の日本を、世界はどう見ているのか
江田憲司―電力をめぐる「政官業のコングロマリット」を壊すには
保坂展人―スリーマイルからフクシマまで、原発推進行政と戦い続けた30年
古賀茂明―電力会社と政治家・官僚は、どのように手を組んできたのか
小出裕章―この国のアカデミズムと原発はどう結びついているのか
飯田哲也―原発推進政策の中、自然エネルギーはいかに排斥されてきたのか
田中三彦―企業、行政、メディアと戦ってきた「元原子炉圧力容器設計者」の証言
和田光弘―原発訴訟は必ず電力会社が勝つ、その仕組み
上杉隆―3・11以降の「今ここにある、そして加速度的に悪化していく危機」について
丸山重威―日本のメディアによる原発報道の歩みとは
ほか

緊急刊行!自民、民主、官僚、電力会社、企業、司法、アカデミズム、新聞、テレビ―この国において「原発を推進してきた」「それに加担してきた」当事者たちが現在まで行ってきたことと、その責任を徹底的に検証する。原発推進行政と戦ってきた14人だからこそ語れる、リアルな言葉を結集。

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