インターネット失敗百選

ECコンサルタントがネットサービスの失敗事例を1日1個紹介しそのメカニズムを解剖。中尾政之著「失敗百選」のパロディです。

【その15】1ch.tv

2006年01月26日 | Weblog


これも超鳴り物入りでスタートしたサービス。

西和彦氏が「アスキー立ち上げ時の10倍興奮した」という日本最大級の掲示板を目指したサービス。

当時2ちゃんねるが抱えていた3つの問題

 (1)サーバ負荷が耐え切れずに2chの運営が破綻する恐れがあった点
 (2)完全匿名制により投稿責任の所在が不明確であった点
 (3)アンダーグラウンドなイメージが付きまとう点

を改善して利用者を一気に呼び込む戦略だったが、

 (1)サーバ負荷問題は収束し、
 (2)匿名制については、ログを取得を開始したことでの投稿者責任がある程度明確化され、
 (3)アングライメージについても、老若男女が訪れるそのメジャー感から払拭された。

つまり、西氏が描いた戦略はその時点では正しかったはずだが、対抗馬の2ちゃんねるを取り巻く環境が大幅に改善されてしまったために、「2chに変わる健全な巨大掲示板」というニーズそのものがなくなってしまったといえる。


また、1ch.tvの画面デザインを見ると、高齢者向けのサイトと見間違うほどの文字の大きさだ。ロゴのセンスもプロのクリエイターが作ったものには見えない。ユーザービリティの悪さも敗因の一つと言えるだろう。プロデューサー西氏とエンジニアあめぞう氏に加えてデザイン的なセンスを持つ人間もいれば良かったように思う。


当時、西氏は「(2chなどの掲示板では)投稿者に対し適切な対価が払われていない」と指摘し、将来的に投稿者に利益を支払うビジネスモデルを検討していた。

その指摘は正しかった。数年後に2chから「電車男」が生み出され、はてなが有料検索を行っている。しかし、「電車男」はネットではなく紙媒体や映画に対する対価であるし、はてなは個人の情報発信というよりはまず質問者ありきの回答だ。

西氏が目論んだ、個人の情報発信者に対価が支払われるモデルはいまだ確立されていない。




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1 コメント

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Unknown (ブロガー(志望))
2006-03-14 20:39:36
お邪魔します。



「西和彦氏の賞味期限が既に切れていた」事も関係し

ていたのではないでしょうか。
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