魔物を退けながら、川下に向かって歩いていく。
夜でしかもデコボコした道も相まってか、ルークは歩きにくそうにしていた。
早く帰りたい、まだ出口に着かないのか、お前は何なんだと五月蠅く言いながら。
今、彼を置いていくのは簡単なことだ。
譜歌で眠らせてしまえばそれで終わり。
けれど、それは無責任だ。
「あなたの声のせいで、居所がバレているのが分かってる?」
「な、何ぃ?」
「この戦闘の多さは、あなたがきっかけなんだけど」
「…う、うるせー。俺がこんなとこを歩いているのはお前のせいだろうが」
「だから、あなたをバチカルに送ろうとしてるんじゃない」
ぐっ、と言葉に詰まるのを見届けると、迷うことなく歩く。
歩きながら、無意識に首にかけたペンダントを触る。
大切なひとたちがそれぞれの思いを込めて、それぞれの経緯で。
私の手元に渡ったペンダント。
大丈夫、私は冷静よ。
「…なぁ」
「何?」
「お前は怖くねぇの?」
「怖い?」
歩くことをやめないで、振り返る。
彼は何だか難しそうな顔をして、上の空になっていた。
続ける。
「暗いし、魔物もいるし、そんでもって水の音がするんだぜ?」
「私は平気よ」
このペンダントがあれば、どんな状況だって怖くない。
みんなが護ってくれている気がするから。
「そっか…。やべぇ、トイレに行けねぇ…」
歩き続けてどれだけ経ったろう。
鬱蒼としていた木が、ようやく切れてきた。
ヘトヘトになりながらもついてきた彼は、すっかり参っていた。
声を掛けようとしたとき、悲鳴が上がった。
「わー!! お、お前ら、漆黒の翼か!?」
「え?」
状況を把握出来ずにいると、悲鳴を上げた男はさらに話し続ける。
「ここら辺を荒らし回っている男女三人組の盗賊! って、あんたら二人か」
「人違いしたのはそっちだろうが!!!」
ルークの意見と初めて一致した。
男は悪かったよ…と言いながら、私達をまじまじと見た。
私が何か言おうとするより早く男が切り出した。
「あんたら、これからどこ行く?
から馬車で戻るのも何だからよ、商売させてくれないか?」
「馬車…って、辻馬車ですか?」
「ああ、目的地は首都だよ」
「本当かよ!乗る乗る、絶対乗る!」
「一人これぐらいだけどいいかい?」
馭者はすっと紙を出してきた。
あまりの高額な値段に言葉が出ない。
ぼったくりもいいところだ。
「父上が払うよ」
「ダメダメ、即金だよ、即金」
迷った。
彼を確実に送り届けるなら、ペンダントを質に入れてでも乗るべき。
けれど、このペンダントは唯一無二の大切な物。
せめぎ合って、最終的には「軍人」の自分が勝った。
「これで…」
「お?おー、なかなかの上等品だ!いいぜ、乗りな!」
「よかった、これでもう靴が汚れなくて済むぜ」
「……………よかったわね」
****************************
ティア視線にしてみました。
軽く…ですが。
そうじゃないと、ペンダント語れませんし。
うちのルークは目聡くないので、ペンダントに気付かないし。
「…なぁ」から始まる段落は、私の連想です。
夜で、敵がいて、水音したら、トイレに行けなくなるなぁと思って…。
ただでさえペンダントを手放したことでも悲しいのに。
ルークが「靴」を気にして喜んだことが激しく怒っていることが分からない。
罪…だねぇ。
夜でしかもデコボコした道も相まってか、ルークは歩きにくそうにしていた。
早く帰りたい、まだ出口に着かないのか、お前は何なんだと五月蠅く言いながら。
今、彼を置いていくのは簡単なことだ。
譜歌で眠らせてしまえばそれで終わり。
けれど、それは無責任だ。
「あなたの声のせいで、居所がバレているのが分かってる?」
「な、何ぃ?」
「この戦闘の多さは、あなたがきっかけなんだけど」
「…う、うるせー。俺がこんなとこを歩いているのはお前のせいだろうが」
「だから、あなたをバチカルに送ろうとしてるんじゃない」
ぐっ、と言葉に詰まるのを見届けると、迷うことなく歩く。
歩きながら、無意識に首にかけたペンダントを触る。
大切なひとたちがそれぞれの思いを込めて、それぞれの経緯で。
私の手元に渡ったペンダント。
大丈夫、私は冷静よ。
「…なぁ」
「何?」
「お前は怖くねぇの?」
「怖い?」
歩くことをやめないで、振り返る。
彼は何だか難しそうな顔をして、上の空になっていた。
続ける。
「暗いし、魔物もいるし、そんでもって水の音がするんだぜ?」
「私は平気よ」
このペンダントがあれば、どんな状況だって怖くない。
みんなが護ってくれている気がするから。
「そっか…。やべぇ、トイレに行けねぇ…」
歩き続けてどれだけ経ったろう。
鬱蒼としていた木が、ようやく切れてきた。
ヘトヘトになりながらもついてきた彼は、すっかり参っていた。
声を掛けようとしたとき、悲鳴が上がった。
「わー!! お、お前ら、漆黒の翼か!?」
「え?」
状況を把握出来ずにいると、悲鳴を上げた男はさらに話し続ける。
「ここら辺を荒らし回っている男女三人組の盗賊! って、あんたら二人か」
「人違いしたのはそっちだろうが!!!」
ルークの意見と初めて一致した。
男は悪かったよ…と言いながら、私達をまじまじと見た。
私が何か言おうとするより早く男が切り出した。
「あんたら、これからどこ行く?
から馬車で戻るのも何だからよ、商売させてくれないか?」
「馬車…って、辻馬車ですか?」
「ああ、目的地は首都だよ」
「本当かよ!乗る乗る、絶対乗る!」
「一人これぐらいだけどいいかい?」
馭者はすっと紙を出してきた。
あまりの高額な値段に言葉が出ない。
ぼったくりもいいところだ。
「父上が払うよ」
「ダメダメ、即金だよ、即金」
迷った。
彼を確実に送り届けるなら、ペンダントを質に入れてでも乗るべき。
けれど、このペンダントは唯一無二の大切な物。
せめぎ合って、最終的には「軍人」の自分が勝った。
「これで…」
「お?おー、なかなかの上等品だ!いいぜ、乗りな!」
「よかった、これでもう靴が汚れなくて済むぜ」
「……………よかったわね」
****************************
ティア視線にしてみました。
軽く…ですが。
そうじゃないと、ペンダント語れませんし。
うちのルークは目聡くないので、ペンダントに気付かないし。
「…なぁ」から始まる段落は、私の連想です。
夜で、敵がいて、水音したら、トイレに行けなくなるなぁと思って…。
ただでさえペンダントを手放したことでも悲しいのに。
ルークが「靴」を気にして喜んだことが激しく怒っていることが分からない。
罪…だねぇ。
このペンダントを取り戻す日が超楽しみだ・・・!!
>「そっか…。やべぇ、トイレに行けねぇ…」
ルーク素敵すぎる(*´∀`)!!
話にしか聞いてなかった魔物もいたんだもんね!
海もあったんだもんね!
そりゃあオバケくらいいるよ ね!(*´∀`)
ルーク視点だと、
何か渡したぞ、何か悲しそうな顔してるぞ、
で終わりそうな気がするぜ・・・
最終的に取り戻すんだから、覚えてはいるんだろうけど、
このときの彼に取っちゃ、どうでもいいことだろうしね。
罪だねぇ・・・