端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

退魔東海伝vol.5-02

2011-10-13 00:00:00 | ワンピース
「さて、そろそろ飽いたな……」

滅すことを生業とした者が闇に蠢く。
そこに躊躇などありはしない。
迷いなく、その力を振るうまで。

退魔東海伝

あまりいい状況にないことだけは明白だった。
遭遇してしまった場合、果たしてかわせるだろうか。
左目だけとはいえ、サンジは妖魔の気配が混じっている。
ゾロは最悪だ。
彼自身が『妖魔』と同じだから。
エースが帰った後、事務所内は雰囲気が重苦しかった。

「う、うちは大丈夫だよな」
「多分な」

上擦った声でウソップが誰ともなしに訊ねる。
素っ気なく返答したのはゾロ。
サンジが思わず目をむくと。
しれっとさらに言葉を続ける。

「幽霊に自棄に好かれる奴がいるから、どうだか?」
「…霊媒体質で悪かったな」

ウソップ相手にカミングアウトするかと焦った自分が恥ずかしく。
サンジは不機嫌を装って誤魔化した。
ゾロはというと、ウソップ特製のゴーグルを装着して。
出掛ける支度を整えていた。

「ど、どちらまで?」
「そこら辺。 ゴーグルに慣れねぇとダメだろ?」

左目の視力を急速に落としたゾロ。
ひと目で「左側が死角」だと悟られたくないと。
眼帯を頑なに拒否したため、ウソップが急ピッチで作成したのだ。

「『本当にそこら辺』だ。心配すんな」
「…方向音痴が野放しになれると思ってんのか?」
「ついてくんのか?」
「タバコ買いに行く。お前の監視はついでだ、ついで」

サンジはゾロから離れすぎると死んでしまう。
それは、左目を手に入れた代償だ。
ゾロが「その辺」と言っても。
いつの間にか「隣町」な可能性は大いにあった。
どれくらいの距離まで大丈夫なのか、試したわけではない。
だが、ナミが言ったのだ。

『目に届く範囲を保ちなさい』

それの意味するところを知るのは。
このすぐあとのことだった。

「女狐のところの奴だな?」

ドアを出てすぐ。
奴がそこにいた。
胸騒ぎ、背筋が凍る、プレッシャー。

「参る」

黒衣の鷹の目が地を蹴った。
とっさにサンジをゾロは弾き飛ばす。
共倒れだけはダメだ。

「ゾロッ!!」
「走れ!!ナミを探してこい!」

降り下ろされた剣を真正面から迎え打つ。
受けた刀がキチキチと音を立てる。
気を一瞬でも抜けば、あっさりと競り負けてしまうだろう。
鷹の目が、ゾロを品定めするようにみる。

「妖魔かと思えばそうでもない、だが人間でもない。
 なんだ、お前は?」
「…っ、ハイブリッドな半端者だ」
「ほう、面白いことを言う」

得物を横に払って、お互いが距離をとる。
胸騒ぎ、目が回る、腹から何かがこみ上げてくる。
視界が反転していく。

「先ほどより気配が不安定だな」
「な、何を……」
「初めてみるが、貴様、呼び込んだものを割ったのか?」

鷹の目が、ならば辛かろうなとこぼす。
ゾロの耳は、だんだん聞こえなくなってきた。
体がダルい。
改めて鷹の目が黒刀を構える。
その姿は見えているが、反応が鈍い。

「体が欠けているのと同じだ。
 もう、お前は動けない」

**********************

どこにいるかも分からないナミを探せと言う。
サンジを逃がすための嘘というか、無茶苦茶な発言を。
とっさに言える男が退魔東海伝ゾロ。
だから、黒魔術を行なったサンジを助けられた。
鷹の目は人間だったはず、確か…(ぉ
退魔のスペシャリストってことしか決めてなかったっけなー。

鷹の目がナミの事務所に訪ねてきたのは「暇つぶし」です。
もう一回、様子でも見に行くかー程度で、このガチンコです。
この人も大概バトラーですね。

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