端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
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退魔東海伝vol.5-01

2011-10-11 00:00:00 | ワンピース
「あいにく情けは持ち合わせておらんのだ」
聞こえたかどうか、定かでなく。
正義の居所も定かでない。
ただ、そこに「鷹の目」はいた。

退魔東海伝

「まだ所長さん帰ってこない?」
「留守だ」
「えー、まだいないのぉ」
「一本電話入れろって何べん言や分かる?」
「だぁーって、親父に聞かれたくないんだもん」

肩を落としながらも、勝手知ったるというやつで。
冷蔵庫から缶ジュースを取り出す。
餌食は、決まってウソップのキープ缶だ。

「たまには補充しろよぉー」
「期待するな」
「ナミに何の用だ?」
「依頼だよ、親父の周りを嗅ぎ回ってる奴がいてさ。
 そいつをおっ払ってもらいたんだ」
「『俺たち』にか?」

彼らは表向き「掃除屋」、本業「退魔屋」だ。
追い払うということは本業の方なのだろうが。
やっていることは、どうも人間くさい。
ナミを通して依頼したいとなると、ますます分からない。
ナミを通す依頼は「VIP」依頼である。

「最近、親父がイラついててヤバいんだよ。
 そのうち、街が壊れちまう」
「大袈裟だなぁ、おい」
「ウソップ、何が起きても俺は助けねぇぞ」
「お、おどかすなよぅ、ゾロぉ」

胸を押さえながら、ウソップが悲鳴を上げる。
彼には、ゾロに見捨てられたら生き残れない自信があった。

「そんときゃ、俺が助けてやるさ」
「さ、サンジぃ……」

目を煌めかせながら、ウソップが感激の声を上げる。
彼には、サンジに甘やかされて育つ自信があった。

「この際だから、もう、頼んじゃおっかなぁ。
 被害出てからじゃ遅いし」
「そんなに親父さんはおっかないのか?」
「いやぁ、そっちもだけど、その、な?」

エースがチラッとウソップをみた。
それだけでゾロは察する。
以前、エースは言った。
ゾロとエースは『同族』だ、と。
『人間でない何か』であると告白したのと同じだ。
そんな彼が、ウソップをみた。
『人間』の前で話してよいか、と聞いたのと同意だろう。
今更だ。

「追い払うのは『鷹の目』か?」
「どうにかできないかね?」
「ちょい待ち、誰だよ『鷹の目』って」

サンジの問いにゾロが渋々答える。
腕組みをして思案顔だ。

「『俺たち』の強化版」
「同業者が何でニューゲートに用があるんだ?」
「……お前はそのままでいろよ、ウソップ」

サンジの顔が強ばる。
同業者がニューゲートを調べている。
そして、エースは『被害』が出ると言った。
それは、ニューゲート邸が『真っ黒』ということだ。
嫌な予感しかしなかった。

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唐突に退魔東海伝。
サルベージしたら没にしたやつがあったので出してみた。
読み返したらそれなりに面白かったし。(※個人的意見です)
お蔵入りの理由は、ルフィがうまく絡ませられなかったせいだと思います。
加筆してどうにかしたいと思っていますが…。
オリジナル設定がルフィを想定してないからしょうがないよね。

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