端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

幻想の淵

2007-08-16 12:42:56 | 自己終結
ふたつの世界がぶつかった。
ふたつの螺旋が交わった。
ふたつの運命がすれ違う。

ご都合主義で、弾けて混ざる。

「ここどこだよ!!?」
「さぁ? 落ちたんだから地下なんだろうが…」
「ねぇねぇ、出口どこ~?」

アルビオールが整備中のために徒歩で移動していたのは、ついさっきまで。
グダグダと歩いていたルークをティアがいさめた直後。
前触れなく、突如として『地面』が無くなったのである。
これまでのセフィロト消失による『地盤落下』などではなく。
落とし穴が急に現れたと言うべきか。
パッと消えたことで、まるで漫画のような反応を認めたルークが落ち始めた頃には。
パーティ全員で落ちていた。
うおっ、だの、ひゃっ、だの短い悲鳴だけをあげる。
落ちた先は明かりが一切なく真っ暗で。
だが、なぜか仲間たちの姿ははっきりと明かりの下にあるかのように見えていた。
下をたたいてみると、どうやら床があるようだ。
よっこらしょとルークが立ち上がると、先に立ち上がっていたジェイドがつぶやく。

「おかしい…、まるで音素が感じられない。
 まったくの無風というのもひっかかる。
 そんな場所は、存在しない…」
「ジェイド…?」

「おい、そこ、誰だ!?」

聞き覚えのない声が突然聞こえた。

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ユウナレスカを倒したことで、究極召喚はなくなった。
『シン』は究極召喚ででしか倒せないと言われていた。
だけれど、それはマヤカシの希望だ。
マヤカシの希望をぶち壊して、新たな方法を模索することにしたのはよかったが。
全く思いつかないのが現状だった。
ティーダは頭をかきむしる。

「だあ!!次巻まで待てねぇ!!」
「何読んでんだよ!!」

頭にブリッツ公式ボールがヒット。
ゴッ、とありえない音がするのは、その剛速球故である。
ワッカは近づき、本をひょいと拾い上げる。
最近流行っているブリッツボール漫画である。
実際にブリッツやってる人間が読むものか?
呆れながら問い詰めようとしたとき、きゃっと悲鳴が上がった。
瞬く間にショックから復活したティーダが駆け出す。
う~ん、やっぱりあのスピードは武器だなと思いつつワッカも走り出す。
「落ちるぞ!!!」
アーロンの声が聞けたかどうか。
パーティ全員真っ逆さま。
最初に落ち始めたユウナが必死に召喚獣を呼ぼうと杖を振る。
が、キィィンと無効化されたような頭にだけ響く音がするだけで反応がない。
そうしている間にも落ち続け、ついには真っ暗な空間にたどり着いた。

「ここは?」
「さぁな。 落ちたんだから地下だろうけどな」
「出口が見えないわ…」

エボン寺院の地下設備かと思ったが、アーロンが「…知らんぞ」と言ったので。
この正体不明の謎の空間は『謎の空間』となってしまった。
おい、キマリ引っ付くんじゃねぇよ。

「ん~。まぁ、何事も行動ってね。
 周りを歩いてくるから、何かあったら口笛吹いて」

そう言うと、踵を返して走っていく。
全力で走っているようで、もうボールも届かない。
そんなに離れて口笛聞こえるのかよ、と思った一同を代表してユウナが「ひゅっ」と吹くと。
ドドドドドドドドドッと走り戻ってきた。
犬か!?と感想を持ったのも束の間。
「なにかあったのか!?」と見つめられて、一同固まる。
ただ呼んだだけである。
ダラダラと背中に嫌な汗を流す中、アーロンが口を開く。

「俺も行こう、お前じゃ手がかりを見逃しそうだ」
「こんなとこでサングラスしてるあんただって見逃すんじゃね?」
「おしゃれだ、気にするな。行くぞ」
「おしゃれって関係あんの?」

歩き出していく二人を見送る。
それにしても、ここは風がない。
「なんだろ、ここ…」
ユウナのその一言がこの空間の全てであった。


二人が歩いていくと。
遠くに人が見えた。
明かりがないのに、人がくっきりと見える。
不思議な不思議な空間に人がいた。
しかも複数人。

「おい、そこ、誰だ!?」

ティーダが叫ぶ。
ルークが見つめる。

二つの世界の主人公が出会う。

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次回、本格始動。
たぶんおそらくきっと!!
「お前、腹出しってありえなくね!?」
「お前、ズボンが左右非対称ってありえなくね!?」 をお楽しみに!

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