端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

MUSIC HOUR11

2010-04-03 02:00:00 | ワンピース
「あの可愛いゾロをどこにやってきたの」
「…病み上がりでどうかしてたんだよ」
「俺は安心したぞ! おかえり、ゾロ!」
「へいへい」

元に戻った。
けど、戻らないものもある。

ミュージック・アワー

職場復帰すると、妙な人だかりが出来ていた。
目当ては「笑顔の俺」らしく。
ケータイ片手に俺の顔を狙っている。
笑うか、阿呆。
落胆を隠せないナミには、盛大にため息をつかれた。
サンジめ、景気よく愛想を振りまきやがったな。

「行くでしょ? サンジくんのライブ」
「そのつもりだ」
「会場がここなんだってな!
 今日はもう店仕舞いしちゃうんだろ?」
「何言ってんのよ!
 稼ぎ時じゃない!ライブ終わったら夜の部開始!」
「えー!!!!」

現在の時刻16時、復帰ライブは18時。
終わるのは21時くらいだから、これはオールナイトだ。
今のうちに休んでおきたいところ。
欠伸をかみ殺し、人でごった返す浜辺を見渡す。
これのほとんどが「サンジ」目当てだという。

「サンジって有名だったんだな」
「当たり前だろ、ってゾロは知らなかったのか!?」
「知らん、テレビは見ねぇしCDも聞かねぇ」
「生きたマリモ化石、って呼んでいいか?」
「…楽しい人生だったろ、ウソップ」
「ご、ごめんなさい!
 調子乗りましたああああ!!」

ウソップの頭をゴリゴリしていると。
ああ、ここにいたと声。
忘れもしない、ルフィの声だ。

「はじめまして、だよな。
 サンジのライブ来るだろ?」
「ああ」
「特等席用意しといた。
 もう開場するからすぐ行ってくれ」
「今から?」
「早すぎることはないぞ、あっと言う間に埋まるから」

ウソップの頭を解放し、会場に向かう。
17時になろうかというタイミングだったが。
ルフィの言う通り、会場として用意されたスペースは埋まりそうだ。
人の間を縫って、連れてこられた席は真ん中後ろの席。
ステージから見て、一番見える場所なのだという。

「サンジがさ、見て欲しいって言ってたから」
「…こんな席でなくたって見えるのに」
「サンジがゾロのこと見たいんだってさ」

人の声がフッと消え。
ギターの音がし、一斉に歓声が上がった。
ライブが始まる…!!

冒頭は激しいリズムの曲。
華奢な体からはあまり想像出来ない力強い声。
問答無用に引き込まれる。
奴の声が俺を揺さぶる。
目線が合うとにやりと笑う。
見えてるぞと指を指す。
俺は黙って腕組みして、指だけでリズムを刻む。
ライブ終盤に持ってきたアノ曲にはめまいがした。
あぁ…俺はあいつに堕ちた。

ライブ終了後。
俺が向かった先には。
「張り切りすぎた」と照れくさそうに笑うあいつ。
思わず抱きしめて「苦しい」と伝えると。
はははは、とサンジは笑った。

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サンジが歌うのは。
レミオロメン(漠然と)とかアジカンの「夕暮れの紅」のイメージしてた。
ライブ冒頭は「リライト」のつもりで!(あほ

コンサートに行くと分かる、あのサーッという歓声。
やっぱいいよね、コンサート。

どこまで狙ってたんでしょうねぇ、サンジ。
天然で好意をぶつけてたのかなぁ。
歌ってるときって気分高ぶってるから。

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