「到着」
「すげぇ…」
「な? 海って感じだろ?」
「夏だなぁ」
ミュージック・アワー
大学生の頃に見つけた、いわゆる「隠れ家」。
昼間でも人はほとんどおらず。
目の前には白い砂浜と青い海しかない。
ここに最初に辿り着いた経緯は割愛するが。
自分の方向音痴に初めて感謝した、とだけ言っておく。
ズボンのポケットに手を突っ込んで。
ただひたすらに海を見つめる。
吸い込まれるような色をした海。
「…昼の海って、空の色を反射して青いだろ?」
「あぁ…?」
「俺は、この濁りのない色が好きでさ。
一人でここに来ちゃあ、心の洗濯をしてるんだ」
「心の洗濯?」
「生きてると澱むだろ?
気持ちとか考えとか。
誰かに話すのは柄じゃないからここで処理してた」
「…俺も、心の洗濯したかったのかも」
「ん?」
「夜にさ、時々海に出かけるんだ。
真っ暗な中で、波の音がして星空が見える。
それだけなんだけど、癒されるんだよな」
並ぶ『サンジ』は癖なのか、髪を掻き上げる仕草をした。
『俺』の髪は短髪だから、風なんて関係ないのに。
自然と口元が緩む。
なぁ、と『サンジ』に声をかける。
んー?と答える。
互いに海を見つめたまま。
「…俺、生で歌ってるお前が見たい」
「何で急に?」
「海見てたらさ、色が」
お前の瞳の色だったから。
「…ば、ばっかじゃねぇの」
「『俺』の声じゃ萎える。
『てめぇ』の声で歌え。
強くあろうとしなくていい。
そのままで十分『サンジ』だ」
「…うん」
赤面する自分の顔っていうのは。
見ていて落ち着かない。
あー、こいつの顔が見たい。
「サンジ歌えよ。
見ててやるから」
「偉そうに」
言う顔は嫌そうじゃない。
泣きそうな顔をして、くしゃくしゃだ。
お前のライブ、楽しみにしてる。
そう言ったら。
おぅ、明後日な と返す。
そこで記憶は途切れた。
*********************
ポエマーゾロ。
おまっ、恥ずかしいやつ!!
泣き顔ゾロ。
ミホークにでも泣かされたんか。
もしくは、くいな。
これにて、男前サンジ(中身はゾロ)、メロリンゾロ(中身はサンジ)はおしまい。
次回より通常シフトに戻ります。
「すげぇ…」
「な? 海って感じだろ?」
「夏だなぁ」
ミュージック・アワー
大学生の頃に見つけた、いわゆる「隠れ家」。
昼間でも人はほとんどおらず。
目の前には白い砂浜と青い海しかない。
ここに最初に辿り着いた経緯は割愛するが。
自分の方向音痴に初めて感謝した、とだけ言っておく。
ズボンのポケットに手を突っ込んで。
ただひたすらに海を見つめる。
吸い込まれるような色をした海。
「…昼の海って、空の色を反射して青いだろ?」
「あぁ…?」
「俺は、この濁りのない色が好きでさ。
一人でここに来ちゃあ、心の洗濯をしてるんだ」
「心の洗濯?」
「生きてると澱むだろ?
気持ちとか考えとか。
誰かに話すのは柄じゃないからここで処理してた」
「…俺も、心の洗濯したかったのかも」
「ん?」
「夜にさ、時々海に出かけるんだ。
真っ暗な中で、波の音がして星空が見える。
それだけなんだけど、癒されるんだよな」
並ぶ『サンジ』は癖なのか、髪を掻き上げる仕草をした。
『俺』の髪は短髪だから、風なんて関係ないのに。
自然と口元が緩む。
なぁ、と『サンジ』に声をかける。
んー?と答える。
互いに海を見つめたまま。
「…俺、生で歌ってるお前が見たい」
「何で急に?」
「海見てたらさ、色が」
お前の瞳の色だったから。
「…ば、ばっかじゃねぇの」
「『俺』の声じゃ萎える。
『てめぇ』の声で歌え。
強くあろうとしなくていい。
そのままで十分『サンジ』だ」
「…うん」
赤面する自分の顔っていうのは。
見ていて落ち着かない。
あー、こいつの顔が見たい。
「サンジ歌えよ。
見ててやるから」
「偉そうに」
言う顔は嫌そうじゃない。
泣きそうな顔をして、くしゃくしゃだ。
お前のライブ、楽しみにしてる。
そう言ったら。
おぅ、明後日な と返す。
そこで記憶は途切れた。
*********************
ポエマーゾロ。
おまっ、恥ずかしいやつ!!
泣き顔ゾロ。
ミホークにでも泣かされたんか。
もしくは、くいな。
これにて、男前サンジ(中身はゾロ)、メロリンゾロ(中身はサンジ)はおしまい。
次回より通常シフトに戻ります。
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