端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

ダイアリー・オブ・ベーカリー

2012-03-12 00:00:00 | テキスト(よろず)
俺とパンとの共存生活。
と言っても俺は所詮、パンに養われている身だ。
大袈裟だって?
大真面目だよ。

ダイアリー・オブ・ベーカリー

監視生活3日目
牛乳とあんパンの組み合わせにバターを投入。
なんだ、この濃厚な味は。
俺って天才かもしれない。

監視生活7日目
誰だ、バターとあんパンを合わせた奴は。
太った、絶対太った、やばい、痩せないと。
さすがに3食これは飽きた。

監視生活9日目
原田がカップラーメンを持ってきた。
「お湯は?」と聞いてきたけど、ないと答えたら。
「……ごめん、俺、知らなかったから」と目を伏せられた。
え、俺、どうすればいいの?

監視生活10日目
お湯のデリバリーと称して、沖田さんが来た。
俺の死亡フラグが立った瞬間。
「いやあ、脂肪フラグでぃ」と心まで読まれた。
そして、目の前でカップラーメンを食って帰った。

監視生活12日目
二日連続で人に会っちゃったから寂しい。
あんパンに名前を付けてみる。
とりあえず、あん子ちゃんにしてみた。
いまいちだったので、早々に食べた。

監視生活14日目
だめだ。
どうにか誤魔化してみたけど、パンじゃだめだった。
分かってたけど、パンは人じゃない。
誰か訪ねてきてくれ、それか早くマルタイ動け、マジで。

監視生活18日目
パンに『ウノスケ』とつけた。
ウノスケに牛乳をぶっかけて食べてやった。
後悔はしていない。

監視生活20日目
『ソウゴ』に割り箸を突っ込んで、ライターで炙ってやった。
意外とうまい。
ウノスケから乗り換えることにする。

監視生活22日目
なんか目が覚めた。
覚醒した瞬間に、用意してた『ソウゴ』を壁にぶちまけた。
確かに頭の中身はぎっしり悪意が詰まってるけど、あの人はひとだ。
あんパンじゃない。

監視生活23日目
あんパンのへそが、副長のつむじに見えてきた。
あ、やべ、興奮してきた。

監視生活24日目
はぁはぁしてきた、やばい、どうしよう。
副長のつむじをかじるとか……!!
いやいや、つむじじゃなくて、うなじだから、時代は!!

監視生活25日目
副長に会いたい、声が聞きたい、字がみたい。
参った、何か持ち込めばよかった。
パンをかじりながら、外をぼんやり眺める。
マルタイ、全然動かないな……。


「……大丈夫か、山崎?」
「ひ、ひゃあああ、ふ、副長!!!!」
「もう監視しだしてからひと月だろう?
 中間報告と食事を差し入れにきたんだが…」
「ああああ、そんな!副長がわざわざ来なくても!!」
「俺が来たかったんだ、悪いか」
「い、いえ…!!!」
「……よく耐えてやってる」

ぱきんと割り箸を割る音。
ビニールから出てきたのは、持ち帰り用の牛丼1個。
ほれ、と差し出した彼の右手は大きい。
久しぶりにみる、彼の人の手。

「……仕事ですから」
「そうか」

監視生活27日目
あんパンの味がしない。
牛丼を食ったせいだ。
うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
あんパンを壁に投げつけた。

監視生活28日目
マルタイがようやく動いた。
合図を出して、光の早さで撤収した。
まず駆け込んだ先は。

「すみません!!! 並一つ!!!!!」

お疲れ、俺。
それと。
これまでの同志・あんパン&牛乳よ。
明日からしばらくユニット解散で。

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誕生日おめでとう!!
某兎さんに捧ぐ、某兎さんに得スペシャル(たぶん)


3日目にして既に味に飽きてる山崎。
この時点で既に6回もユニットを組んでる山崎。

7日目でカロリーに気付いた山崎。
この時点で既に6回もバターとのユニットを組んでる山崎。

味に飽きたろうと労いに来て、しょんぼり原田。
その原田を見て、目の前であったかいラーメンを食っていた沖田。
いつも通り過ぎて山崎、怒る気もなし。

12~22日目までの10日間、人恋しさに頭が沸く。
名前をつけているうちに楽しくなってきて、隊員の名前を付けだした。
背徳感に はまる。

ついに人恋しさにぶっ壊れる。
パン相手に本域で胸が苦しくなってくる。

25日目
突然、頭が冴える。
屯所に帰りたい、あの人に会いたい。
あんパンを平常心でかじれる程度に回復。
邪念に里心が勝った瞬間。

まさかの土方来訪にメーターが振りきれる。
牛丼は土方スペシャル。
それを躊躇いなく食えるほど、山崎は飢えてた。
物理的にも、ご飯の温かさにも、人の温かさにも、副長にも。

あんパン以外のモノを食べたばっかりに味覚崩壊。
味が濃いものを食べると、些細な味は感じられない。
うぉったぁああああああああああ!!と財布握りしめて駆け込む牛丼屋。
さぞかしうまかったろうな。

しばらくぼんやりとして、ミントンして。
また次の任務に就く。
今度は指令書を持って。

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