端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

馬威駆乗りDS

2011-11-03 00:00:00 | BASARA
土曜の午後である。
伊達はいつもと同じように、車庫から愛車を引っ張りだした。
世間は受験の追い込みに精出す時期だが。
推薦枠でも、受験枠でも申し分ない彼にはあまり関係のないトピックである。
彼にとって寒さの方が重要で。
いつまで耳出しでいけるかなぁ、とそればかりだ。
ゴーグルとグローブを装着し、エンジンをかける。

「ぬおおおおおっ!!」

伊達の目の前を猛スピードの自転車が走り抜けた。
彼は唐突に「乗ったら自転車は車と同じです」と書かれたポスターを思い出した。

dragon と tiger の場合

別の土曜。
伊達は、町内を一周しようとバイクを引っ張りだした。
目的は特にない。
受験日は近いが、今詰め込みをやったところで大差ないだろうし。
むしろ、変に詰め込んだら混乱するんじゃないか。
だったら、知識を沈殿させよう。
そのための気分転換、というのが彼の言い分である。
静かにバイクを走らせる。
まもなく「曲芸集団」の写真が撮られた大通りに出ようかというところ。
信号で待っていると、真っ赤なバイクが停まるのがみえた。
前傾姿勢でフルフェイス。
まるでレーサーである。
運転手がメットを脱ぎ、頭を振った。
後頭部から尻尾が生えている。
犬か、と率直な感想を思っていると。
あ、と口が開くのが早いか。
「犬」が伊達に向かって走ってきた。
まるで本当に犬だ。

「この間、新聞に載った御仁では!?」
「……何のことだ」
「暴走一輪車! 貴殿のゴーグルに見覚えがある」
「Ah...」

変な奴に関わってしまったと伊達は後悔した。
信号はとっくに青になっているのだから、走り出せばよかったのだ。
だが、いつの間にかバイクを道に寄せて降りており。
両腕をしっかり掴まれているのだから、それは無理だ。

「俺もアンタを知ってる」
「どこかで会ったろうか?」
「疾風ママチャリ、って有名だぜ、アンタ」

言った途端、顔を真っ赤にしてしまった。
以前見かけた姿はあまりにもインパクトがありすぎた。
小十郎に聞いたらあっさりと「疾風ママチャリですよ」
すごい通り名を持ったものだが。
実物を目の前にして思うことは、こいつ赤が似合うなぁであった。

「生活がかかっております故…」
「今日はいいのか」
「はぁ、受験前なので気分転換をしておったのです」
「受験? アンタ、いくつ?」
「18」

バイクに乗っているのだから、18歳以上は当たり前だが。
目の前の男は、齢18に見えない。
まして、受験を控えている状態にちっとも見えない。
幼さはいい意味で大学生かと思うほどお気楽な雰囲気を出していた。

「受験日は?」
「推薦なので明日だったかと」
「なんで言いきらねぇんだよ」
「実感が沸かないので」
「ふぅん?」
「貴殿は、その…」
「アンタと同い年で、3週間後センターだよ」
「気分転換ですか」
「そんなとこだ」

名前、聞いていいですか。
伊達。 アンタは?
真田幸村です。
一応、覚えておいてやるよ。
ありがたい、俺も覚えておきます。
まぁ、もう会うことはねぇだろうが。
そうでしょうか。
Ah?

二人は、ガードレールに寄りかかる。
視線は一切合わさず、独り言のように交わしていた会話。
真田の「そうでしょうか」の言葉に。
伊達はついに顔を真田に向けた。
真田は無邪気に笑って、言った。

俺は、また近いうち会えると思います。

************************

蒼紅好きなら逢せないとダメですよね。
ああ、首絞めとる首絞めとる。
バイクの知識がないのに、バイクを使う話を書いちゃダメだよ。
このシリーズ、書くのは楽しいんだけど調べものが不可欠です。


伊達政宗の誕生日が8月もしくは9月と言われています。
旧暦で言うか、今の暦で言うかによって差が出るのだそうです。
というわけでそこから計算していくと。
バイクの免許は18歳から(大型自動二輪の場合)。
3か月は大人しく乗っていたのだから、時期は11月とか12月。
一輪車騒動を起こしてるから、順当に1月くらいかなぁと思って書いた。
真田幸村は、まだ初心者マークだといいなぁ。

繰り返しますが、この話はバイクが絡みます。
私自身はバイクに縁がないのでさっぱり分かりません。
もし、妙なこと書き散らしても寛大な心でスルーお願いします。

コメントを投稿