端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

退魔東海伝vol.3-02

2010-10-22 01:00:00 | ワンピース
「これ、親父から」
「許可証?」
「俺の『能力』存分に使えってさ」

退魔東海伝

「『能力』って、エースにも何かあんのか?」
「…あるよ、あるよ。俺、炎出せるよ」

12人の幹部のひとり、エースはどちらかと言えば陽気である。
ニューゲートのスポークスマンはマルコとエースだ。
喋るのが仕事で、ほとんどオープンだ。
だが、彼の『能力』については裏がある。
迂闊に話しては理解されない代物。
ゾロは黙っていた。
サンジも黙っていた。
ウソップだけが知らない。

「動き止めて、地面に落とすっては決まりだな」
「落とせるかぁ?」
「俺が落とす、問題ない」
「確実か?」

ウソップが疑い、ゾロが確かめる。
エースは若干むっとしたが、当然かと思い直した。
自分だって聞くだろう。
確実でない方法を実行したくはない。

「どうすりゃ証明できるか、分からないけど。
 そうだな、遠距離から何かに火ぃつけるってーのは?」
「…やってみろ」

ゾロがタバコ出せ、とサンジに言う。
サンジは素直にタバコを一本取り出し、くわえる。
ウソップがハラハラ見守る中、エースの拳が燃え上がる。
ふっと拳を素早く前後に動かす。
すると、火が伸び、タバコのみに引火した。
なるほど、コントロールと遠距離攻撃性が証明された。

「任せる」
「どうも。なんなら、足止めもしてやんぜ?」
「そうだな、移動制限をしたほうが止めやすいか」
「ゾロぉ?俺が隊長なんだけど?」
「お前、狙撃できるか?」
「は?」

ゾロの中でピースがはまり出す。
そうか、ナミめ、シミュレーションゲームをやれと言ったのはこういうことか。

「ぱ、パチンコならできっけど…」
「なら、俺が玉に『破魔』を付加する、当てろ」
「お、おぅ」
「サンジ、てめぇは切り札だ。
 どうせ作戦通りにはならねぇ、全体をフォローしろ」
「…はぁ?」
「てめぇにゃあ、『全体が見える』はずだ。
 最適な方法を判断して実行しろ」
「偉そうに…」

サンジが苦虫を潰したような顔をした。
『それ』は、十中八九『左目』のことだろう。
使用することは、ゾロに何かしらのリスクを与えるのと同意だ。
また、差し出すつもりかよ…。

「…まとまった?」
「一応な。
 だが、現場はあくまでウソップの指示で動く」
「え、あ、おぅ」
「ボサっとするな、俺は駒だ。
 机上での話が、現場は通用しねぇことはお前が知ってるだろう」

現場は生き物だ。
達成目標しか合っていないことの方が多い。
エースの準備が出来たら連絡を、という言葉をきっかけに散会した。

ナミは離れたところで聞いていた。
そしてただ一言、呟いた。
「ゲームも侮れないわねぇ…」

********************

少しでも考えなしに行動するとうまくいかないということを。
ナミは伝えたかっただけ。
妙な知識が付与されるなど思いもせず。
ゾロのいきなりくる「名案(包帯の下に仲間の印とか)」に驚く。
でも、自分が真っ先にやってられるかあああ!!と放り投げる。
それが「ここ」のゾロです。(ぉ

ニューゲート。
いろいろあります。
これは退魔東海伝第1弾から考えていた。
人間はあいつだけっていう設定をしていたので…。
ナミさんは限りなく黒に近いグレー。
そんぐらいか。

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