端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
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醜い美しさ

2007-05-23 12:35:45 | 矛盾している10のお題
今まで、自分が手にかけた人間を積み上げたらどうなるだろう?



傭兵として、生きてきた。
元々が戦乱に乗り込んで、仕事を得る身分だ。
死が蔓延していようと戸惑うことはなくなっていた。
いちいちキリがない。
自分こそ、死を振りまく「元凶」なのだから。

数え切れないほど、人を殺してきた。
戦いの規模が大きければ大きいほど、人が死ぬ。
血の海と化した大地を踏みしめ。
俺は、何も考えなくなっていた。
「そこに正義はあるのか!?」なんて、青いことを言うつもりもなかった。
権利もなかった。
俺は「傭兵」だ。

剣を抜き。
相手を見据え。
斬り払う。

たったこれだけでいい。
これだけで人が死ぬ。
理屈などいらない。
噴出す、血と無念の情。
お前らに恨みはないが、仕事でね。


弓を引いて。
狙いを定めて。
撃ち抜く。

彼女はいつも苦しそうにする。
なぜだ?
襲ってきたのは、向こうだぞ?
そう言うと、彼女は悲しそうに言った。

「彼らにも、家族がいる。友達がいる。大切な人がいる。
 その人たちから、私は、彼らを奪った。
 人生を終わらせてしまった」
「いつかはそうなる。
 遅いか早いか、それだけにすぎない」
「そうかもしれない。
 でも、私は『狙って』当てたの。
 いつかではなく、『今』終わらせるために」

「確信犯よ。
 あなたたち傭兵よりも、もっと殺すことに特化しているのかもね」

「それでも、続けなければならない。
 私には、目的があるんですもの」


殺した人間を積み上げる。
自分の山は、きっと醜くて怨念にまみれているだろう。
当然だ、ただ機械的に殺した連中ばかりだ。

彼女の山も、醜くくドス黒いだろう。
しかし。
その死の山の中に。


君も混ざった。



俺から見れば、醜いだけでなく。



美しさを感じるよ・・・。

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