端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

俺たちの関係

2007-04-28 23:28:21 | ポケモン系
晴れた空。
心地いい風。
流れる川。
いい匂いのする森の中。
流れる時間はひたすら穏やかで。
思い思いに過ごす午後は大半が昼寝をしていたそんな日。

騒動っていうのは、突然、起こる。

静かな森を爆音が震わせ。
風を熱風に変えた。
昼寝から一気に現実に引き戻されて。
皆、状況把握が出来ていないとき。
一人だけは理解していた。

チェットだ。

やれやれ、とため息ひとつ。
ちょっと待っててとだけ言い残し。
やや森の奥へ行くと。
「元凶」がそこに呆然と座り込んでいた。
いつも着ているオレンジ色の服が真っ黒になっていた。

「また失敗したの、デューイ?」
「・・・、ちょっと火を大きくしただけなんだけどなぁ」
「僕たち、まだ子供なんだよ?お父さんたちみたいにうまくいくもんか」
「チェットは冒険心がないなぁ」

自分の作り出した火のススで真っ黒になった服を手で払いながら。
デューイはむっすりと立ち上がった。
その様子を冷めた目でチェットは見つめるばかりで。
頭を掻きながら歩くデューイは、火の出し方ばかりを考えていた。
そうやって肩を並べて帰る頃には、両親がカンカンに怒っていて。
デューイは夕飯を抜きにされた。
夜になって。
チェットはこっそり様子を見に行った。
案の定、彼はひざを抱えて飢えていた。
窓から無理矢理体をねじ込み、室内に入る。

「おーい」
「・・・腹減った」
「そうだろうね、うん、だからこうして持ってきたんだ」

家からくすねて来た食料を彼に渡す。
彼は絶句して、ぽかーんと口を半開きにしている。

「今度やるときはこういう風に、バレないようにやんなよ?」
「・・・昼間と言ってること違うじゃん」
「あれは正論を言ったまでだよ。
 どんどん練習しなきゃ、強くなれないだろ?
 バレなきゃいいのさ、バレなきゃ」
「お前、時々黒いよなー」
「世渡り上手と言ってくれ」

僕らが、大人と子供の中間点にいた頃の話。

1 コメント

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久々に (黒兎)
2007-04-30 23:35:06
なにこの萌えわんこ共…!!
ウヒョーイ!(何

チェットかわいいなあ…(*´∀`)
まだひのこも使えない感じ?
そうして大人になってゆくのだね!
デューイも素敵!
黒いというか、悪知恵が働くというか(笑
いいコンビだvv

是非この辺りの子供っぽい二人をもっとプリーズ。
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