端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

食事論

2010-05-17 02:00:00 | BASARA
「よし、出欠をとるぞ!
 名前呼ばれたら返事なー」

教諭は、うきうきと出席簿を広げた。
反して生徒たちは重い空気を漂わせていた。
仲が悪いわけではないのだが。
なかなかに複雑な人間関係を構成しているのである。

「慶次!」
「ほーい」
「政宗!」
「Here!」
「日本語喋れ。 小十郎!」
「あぁ…」
「元気ないな。 幸村!」
「うおおお!」
「いい気合いだぞ! 佐助!」
「へいへい」
「かすが!」
「どうしてだ、なぜだ」
「いい加減諦めろ、小学3年生だろー? 謙信!」
「はい」
「うん、いい返事。 次…」

次の人の名前を呼ばれると。
クラスは一部を除き、途端に凍り付く。

「武田くん」
「おう」
(((やっぱ、納得いかねぇー)))

そのいかつい顔は小学生じゃないだろうとか。
何で幸村泣いてんだよとか。
そういうことを言う時期はとっくに終わっていたが。
それでも納得がいかないものはいかない。
担任の利家教諭はその間も出欠をとり続けており。
最後の生徒の名を呼び終えると副担任のまつに向き直る。

「以上! 何名出席だ?」
「全員出席にございます」
「健康で何より!」

にかっと笑うと出席簿をぱたんと閉じる。
それに印付けてないのかと言う時期も過ぎていた。

「今日は運動会だが、怪我などせぬように!
 うまい飯を食えるように運動すると思えばいい」
「犬千代様にはもうお弁当は作ってあります」

そう言うが早いか、重箱をうず高く積み上げた。
わっはっはっはと笑う教諭に。
苦笑いの生徒が半分。
残りは様々な思惑あって真剣な顔。

「政宗様、この小十郎も用意してございます」
「~♪ さすがだぜ、小十郎」

隣の席同士でひそひそ話。
ひそひそと話せないのならば、手紙を…と注意されたかすがは。
早くも20枚目の便箋に綴っていた。

「ということで。
 自分の力を最大限出してうまいものを食おう。
 勝った後の飯も格別だがな」

気合い十分、待ったなし。
ここに飢えたクラスが誕生した。(いい匂いがするため)
目指すは弁当、得るものは満足感。
いざ、合戦。

***********

台所筆頭が書きたかっただけ。

コメントを投稿