
中国風占いの泣きどころ( 副題 五術、命卜相医山(仙)、沿革 )
「命」と「相」について、中国風占いには、古くから「五術」と呼ばれるものがあります。
神仙道や養生法に関する「山術」,漢方医学の「医術」,人生の運勢を見る「命術」と人相を見る「相術」,そして吉凶を予測する「卜術」です。
それぞれ理論は異なりますが、普通の生活の中で「命術」と「相術」は同列に語られることが多いようです。
「命術」の考え方には八字占い、紫微斗数(星を使う占い)、姓名占いなどが含まれ、「相術」は現象や様相を観察することで、例えば手相や人相などです。
命術は、とても重視され、子どもが生まれた時にその子の一生の運勢を占ったり、結婚の際に八字占いによって相性を見てもらったりします。
それ以外にも、毎年の運勢や事業運を占うなどさまざまです。
古代には、相術を研究した帝王もいて、命術と相術の占い結果によって家臣を選んでいたといいます。
「八字占い」とは、甲乙丙丁などの10の要素の「十干」と子丑寅などの「十二支」に基づき、人の出生年・月・日・時刻を正確に記録したものです。
「年干・年支」「月干・月支」「日干・日支」「時干・時支」の八文字を使って占うので俗に「八字」,日本では「四柱推命」と呼ばれます。
八字占いは中国の伝統的な結婚に欠かせません。
婚約前、両親は新郎新婦の「八字」を占い師に渡し、この結婚が円満かどうか占ってもらいます。
結婚は、人生の一大事です。
今でもこのような八字占いはよく行われています。
最近では「紫微斗数占い」が流行しています。
紫微斗数という占術は、古くて新しい占いです。
今から1,300年ほど前、西暦618~907年の唐の時代が発祥です。
約1,200年間もベールを覆ったままになっていた神秘の占いが今から30年ほど前から台湾で書籍が出始めました。
四柱推命の発祥も「紫微斗数」と同じ年代の中国ですがこの四柱推命は難解な占いです。
生年月日,出生時刻から人の一生が占えますが、難解故に書物で伝わってきてもその解釈が難しかったようで、日本では様々な解釈が生まれました。
実際に現在でも鑑定結果が占い師によってバラバラで悩んで居られるお客様も多いのが現状です。
紫微斗数は、占う理論が四柱推命とは全く異なります。
紫微斗数は、一定の法則にしたがって「命盤」というホロスコープに決められた「星」という様々な文字を配置して最後に「命盤」の12のマス目(12の宮)に配置された星の位置により人の一生の状態を読み取ります。
日本では知名度も低く、紫微斗数の名称すら聞いたことが無い人達も多いのが現状です。
日本に伝来間もない頃の紫微斗数は、命盤の12宮に配置された星の種類を観て占っていました。
この方法を「星曜派、あるいは三合派」といいます。
その後、「四化飛星法」「新四化飛星法」「欽天四化飛星法」というのが広がりました。
欽天四化は、理論的に難しいのですが「必ず、いつ起こる」という事が判る技術です。
また、中国人は「相は心より生まれる」と考えています。
特に相術に詳しい『黄暦』(伝統的な暦法)を開くたびに骨相占いのページが目に留まります。
顔のほくろの分布図だったり、たくさんの線が描かれた手相だったり、人の頭や顔を上から下まで細かく分けて分析し、ほくろやしわ,後頭部の形までも区別してさまざまに理論付けしていることには感心します。
相術は、広く伝わり、周代(紀元前11世紀頃~同256年)には政治的な人材を選ぶのに相術師の協力を求めました。
顔のほくろの位置で男女別にその人の運命を占うこともします。
中国史上、相術によって優秀な志士を集めるのは珍しいことではありませんでした。
秦, 漢代(紀元前221年~220年)以降、開国の君主を補佐してきた人物のほとんどは相術に精通していました。
特に有名なのが、三国時代(220~280年)の諸葛孔明と明代(1368~1644年)の劉伯温です。
清代(1616~1911年)中興の名臣,曾国藩も国を治め,兵を治め,家を治め,学問を治めるのに優れ,さらに相術にも長けていて,『氷鑑』という人相に関する本を著し,歴史家から「人の才能と人格をうまく見極め,適材適所で人材を生かした」という評価を得ました。
「五官」すなわち「眉,目,耳,鼻,口」を観察することによって通常はその人の性格や考えを基本的に分析することができます。
簡単に言うと「眉毛」は健康と地位を「目」は意志力と心根を「鼻」は富と健康を「唇」は幸福と俸給,対人運を「耳」は寿命を表しています。
手相術というさまざまな掌紋による判断もあります。
また、善行を積み運命を変えることもします。
中国伝統の玄学とは、古くは『老子』『荘子』『周易』を解釈,研究することでした。
深く研究し続けなければその深い意味や知恵を理解することはできません。
風水や運勢占い、日柄選び、姓名学など日常生活と密接に関係する「術数」の面では頻繁に応用され、世代を重ねて研究と発展が続いています。
現在に伝わる玄学と言えば「中国術数」という印象かあります。
「術数」に関してよく聞くのは「一に縁, 二に宿命, 三に風水」です。
一般的にこれらが個人の運命を決める決定的な要素とされています。
「縁」は抽象的な概念で人と人の世との一種の目に見えないつながりです。
中国人は、説明がつかない事柄を「縁」という字に帰着させることが多いようです。
先ず先に天が定めた縁があり、その後に人の縁が定めた関係とその発展があり、そのどちらも善縁と悪縁に分かれると考えています。
風水に至ってはさらに神秘的なようでもっと具体的です。
「生死有命、富貴在天」(人の生死や富貴は天命によって定まるもので、人間はどうすることもできない)。
それに応じてさまざまな運勢占いが生まれました。
どの占いも悪い事態を避けて縁起の良い方へ進むように導き、今後起こる事を予知し運勢を良い方に変える策を講じることを掲げています。
また「鉄版神数」の継承者で有名な占い師にいただいた運勢表は、過去に対しては正確でも、未来に対してはあくまで参考程度でしかないようです。
何故?人の世は常に移り変わり行くものだからだです。
運命のことわりの巧妙なところは、「変」の字にあります。
風水にしろ人相にしろどんな占いの結果であっても、その人の日ごろの善行によって運命は必ずプラスに変えられると思います。