時空, 生命の起源( 副題 過去, 現在, 未来 )
時間と空間の起源について, 現代宇宙論の欠点は, 時間と空間がどこから生まれてきたかを説明できていないことです。
この難題を解決しないかぎり, 物理学は完成しないと多くの研究者が考えています。
ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ・バンクーバー)の物理学者Mark Van Raamsdonkは, 現実について考える方法論の1つがシナリオ, 「私たちの周りにある全てのもの, すなわち, 三次元の物理的世界の全体がどこか別の場所にある二次元のチップ上に符号化された情報から生じた幻影であることになります」, ホログラムのようなもので, 二次元平面に記録された情報から3つの空間次元を持つ私たちの宇宙を完全に再現しています。
現代物理学を支える2本の巨大な柱は, 重力を時空の曲がりとして記述する一般相対性理論と原子の領域を支配する量子力学です。
1970年代初頭の一連の驚くべき発見からもたらされた, 量子力学と重力が熱力学と密接に絡み合っていることが明らかになりました。
二次元のホログラムが三次元の画像を符号化しているのと全く同じことを意味します。
1995年, メリーランド大学カレッジパーク校(米国)の物理学者Ted Jacobsonが空間内の全ての点がエントロピーと表面積との関係を満たす微小な「ブラックホールの地平線」上にあると仮定しました。
そしてそこから, 時空の曲がりの概念は用いずに, 熱力学の概念のみを用いて数学的にアインシュタインの一般相対性理論の方程式を導き出せることを発見しました。
「これは, 重力の起源について, 何か深い意味を語りかけているようにみえました」とJacobsonは言います。
2010年, この仮説はアムステルダム大学(オランダ)のひも理論研究者Eric Verlindeによって一歩前進しました。
彼は, 時空の基本構成要素(それがどんなものであるかは問わない)の統計熱力学から, 自動的にニュートンの重力法則が導かれることを示しました。
ホログラフィー, 時空の創発について, Van Raamsdonkは, ホログラフィック原理を提唱しています。
三次元の空間は何度も再分割されるが二次元の境界面はつながったままであり,三次元の宇宙は境界面上の量子もつれによって保たれているといえるとVan Raamsdonkは結論付けています。
量子もつれと時空が同じものだということになります。
Maldacenaの言葉を借りれば, 量子が最も基本的な存在であり, 時空はそこから創発することを示唆しているといいます。
また, 生命の起源は, その量子的世界から派生しているのではないかと想定されます。
ある意味, 時間が虚数と考えられる世界です。
わたしたち生命が思考する過程で微弱な光子, 電波が発生し, それがこの物理的次元に影響を与えている可能性も指摘されています。
挿絵1, ホログラフィック宇宙(左), 挿絵2, ロズウェルエイリアンインタビュー(右, 下)は, 別物