「物流は世界史をどう変えたのか」を読んだ。
章立ては以下の通りだ。
第一章 フェニキア人はなぜ地中海貿易で繁栄したのか
第二章 なぜ、東アジアはヨーロッパに先駆けて経済発展したのか
第三章 イスラーム王朝はいかにして国力を蓄積したのか
第四章 ヴァイキングはなぜハンザ同盟に敗れたか
第五章 なぜ中国は朝貢貿易により衰退したのか
第六章 地中海はなぜ衰退し、バルト海・北海沿岸諸国が台頭したのか
第七章 喜望峰ルートは、アジアと欧州の関係をどう変えたか
第八章 東インド会社は何をおこなったか
第九章 オランダはなぜ世界で最初のヘゲモニー国家になれたのか
第十章 パクス・ブリタニカはなぜ実現したのか
第十一章 国家なき民は世界史をどう変えたのか1-アルメニア人
第十二章 国家なき民は世界史をどう変えたのか2-セファルディム
第十三章 イギリスの「茶の文化」はいかにしてつくられたのか
第十四章 なぜイギリスで世界最初の工業化(産業革命)が生じたのか
第十五章 アメリカの「海上のフロンティア」とは
第十六章 一九世紀、なぜ西欧とアジアの経済力に大差がついたのか
第十七章 社会主義はなぜ衰退したのか
これだけ見てもなかなかおもしろそうだ。
例えば第一章の一番最初のページで、「フェニキア人は、しばしば、ユールラテス川上流に定住し内陸貿易を担ったアラム人と対比される」とある。
もう先に読み進められない。アラム人ってなに?となる。そこでWikipediaで調べてみる。
次の文章には、「アラム人がアラム文字を作り出し、それがヘブライ文字やアラビア文字、シリア文字などの元になったが、一方でフェニキア人はアルファベットの元を作った。」とあるので、Wikipediaで文字を調べてみる。こんなやり方じゃ全く先に進まない。
線文字Bが1952年にギリシャ文字に対比されて読み解かれていった話などこの本には書いていないことまでWikipediaで知ってしまう。
楽しい。
いわば勉強のためのきっかけを教えてくれる本なのだ。知らなかった単語が大量に書いてあり、つまづきながらも調べていく。それが楽しい。
第二章の中国のところでは、大月氏が私のイメージしていた場所よりもずっとカスピ海に近い地域の国なんだなぁとちょっとびっくりした。(P.44)
第三章ではダウ船ってなんだよ、という感じ。グジャラート商人とか知らないし。Wikipediaでみると有名なんだろうなあ、とおもう。すっかり知らないということがじつは恥ずかしいことなんだと理解。
第四章ではヴォルガ川を初めて知った(ごめんなさい)。Wikipedia情報で恐縮だが「モスクワとサンクトペテルブルクの中間にあるヴァルダイ丘陵の海抜225mを源流」としているようだ。3690kmの全長というものすごく長い川なのに、225mが源流の標高となるとどれだけなだらかなんだ、となる。ちなみに長さは世界15位。
第五章の中国関連では、マラッカ王国やら鄭和の艦隊の話、そしてイスラム教化の流れなどが語られているのだが、マラッカ王国とか知らないよね。調べましたとも。段々とイスラム教に変わっていく感じはちょっと意外。イスラム教について日本ではあまり喧伝されていないが、実は魅力的な宗教だということにならないだろうか。
イスラム教への改宗についても調べてしまった。キリスト教文化圏では許されていること(自由と平等など)がイスラム教圏では完全な自由がないために帰って自分の方向性を理解しやすいなどの利点を説明したサイトなどを閲覧。正直私自身がその境地に行けるとは思えないが、その気持ち(不便であるくらいに方向性が決まっている方が楽になるという気持ち)は理解出来ないでもない。
第六章ではバルト海への派遣の移動を説明しているが、森林資源などの枯渇が原因であるようだ。エーアソン海峡についての記述があったが、そういうのを調べていると、湾(バルト海なので湾というのは不適切だけどね)の出入り口が閉まってしまっている。おもったよりもバルト海ってとても大きな湖的な感じなんだな、と思った次第。
第七章でのアフォンソ・デ・アルブケルケやフレンシスコ・デ・アルメイダの話。知らないので調べたけど結構インドでやりたい放題やっているように見える。こういう人たちがポルトガルを強くしたんだろうなぁ。喜望峰ルートによってヨーロッパとインドやアジアとの結びつきが強くなったということは理解だけど、これが地中海ルートよりも便利だから(?)というのはちょっとわかりにくい。というかわかっていない。運河がなかったからかなぁ。
第八章の東インド会社については結局はアルメニア人とかポルトガル人の商人たちと連携できたところが国策会社だけではできないパワーを持っていたということになるのかなぁ。
第九章でオランダの強みを説明しているが、地中海が食料自足ができなくなりポーランド付近での穀物を海上ルートで運ぶ際に強みを発揮したということのようだ。だとしたらオランダが強くなったのは地中海での木材資源や食料資源の枯渇が原因となる。あまりオランダの特質を説明できていないように感じるな。
長くなるのでここからは抜粋で。。。
アルメニア人ってユダヤ人のようにあちこちに根付いているのだ、ということは知らなかったなぁ。
セファルディム(ユダヤ人の南の方の人たち)とか言葉を知らない。調べてみるとアシュケナジムという言葉と対比的に存在しており、いずれにせよユダヤ人だが南欧系とか北欧系とかの違いになるようだ。ちなみにアシュケナジムには天才が多数生まれている。すごいな。
この他にも色々と勉強になった。とても面白い本だった。
章立ては以下の通りだ。
第一章 フェニキア人はなぜ地中海貿易で繁栄したのか
第二章 なぜ、東アジアはヨーロッパに先駆けて経済発展したのか
第三章 イスラーム王朝はいかにして国力を蓄積したのか
第四章 ヴァイキングはなぜハンザ同盟に敗れたか
第五章 なぜ中国は朝貢貿易により衰退したのか
第六章 地中海はなぜ衰退し、バルト海・北海沿岸諸国が台頭したのか
第七章 喜望峰ルートは、アジアと欧州の関係をどう変えたか
第八章 東インド会社は何をおこなったか
第九章 オランダはなぜ世界で最初のヘゲモニー国家になれたのか
第十章 パクス・ブリタニカはなぜ実現したのか
第十一章 国家なき民は世界史をどう変えたのか1-アルメニア人
第十二章 国家なき民は世界史をどう変えたのか2-セファルディム
第十三章 イギリスの「茶の文化」はいかにしてつくられたのか
第十四章 なぜイギリスで世界最初の工業化(産業革命)が生じたのか
第十五章 アメリカの「海上のフロンティア」とは
第十六章 一九世紀、なぜ西欧とアジアの経済力に大差がついたのか
第十七章 社会主義はなぜ衰退したのか
これだけ見てもなかなかおもしろそうだ。
例えば第一章の一番最初のページで、「フェニキア人は、しばしば、ユールラテス川上流に定住し内陸貿易を担ったアラム人と対比される」とある。
もう先に読み進められない。アラム人ってなに?となる。そこでWikipediaで調べてみる。
次の文章には、「アラム人がアラム文字を作り出し、それがヘブライ文字やアラビア文字、シリア文字などの元になったが、一方でフェニキア人はアルファベットの元を作った。」とあるので、Wikipediaで文字を調べてみる。こんなやり方じゃ全く先に進まない。
線文字Bが1952年にギリシャ文字に対比されて読み解かれていった話などこの本には書いていないことまでWikipediaで知ってしまう。
楽しい。
いわば勉強のためのきっかけを教えてくれる本なのだ。知らなかった単語が大量に書いてあり、つまづきながらも調べていく。それが楽しい。
第二章の中国のところでは、大月氏が私のイメージしていた場所よりもずっとカスピ海に近い地域の国なんだなぁとちょっとびっくりした。(P.44)
第三章ではダウ船ってなんだよ、という感じ。グジャラート商人とか知らないし。Wikipediaでみると有名なんだろうなあ、とおもう。すっかり知らないということがじつは恥ずかしいことなんだと理解。
第四章ではヴォルガ川を初めて知った(ごめんなさい)。Wikipedia情報で恐縮だが「モスクワとサンクトペテルブルクの中間にあるヴァルダイ丘陵の海抜225mを源流」としているようだ。3690kmの全長というものすごく長い川なのに、225mが源流の標高となるとどれだけなだらかなんだ、となる。ちなみに長さは世界15位。
第五章の中国関連では、マラッカ王国やら鄭和の艦隊の話、そしてイスラム教化の流れなどが語られているのだが、マラッカ王国とか知らないよね。調べましたとも。段々とイスラム教に変わっていく感じはちょっと意外。イスラム教について日本ではあまり喧伝されていないが、実は魅力的な宗教だということにならないだろうか。
イスラム教への改宗についても調べてしまった。キリスト教文化圏では許されていること(自由と平等など)がイスラム教圏では完全な自由がないために帰って自分の方向性を理解しやすいなどの利点を説明したサイトなどを閲覧。正直私自身がその境地に行けるとは思えないが、その気持ち(不便であるくらいに方向性が決まっている方が楽になるという気持ち)は理解出来ないでもない。
第六章ではバルト海への派遣の移動を説明しているが、森林資源などの枯渇が原因であるようだ。エーアソン海峡についての記述があったが、そういうのを調べていると、湾(バルト海なので湾というのは不適切だけどね)の出入り口が閉まってしまっている。おもったよりもバルト海ってとても大きな湖的な感じなんだな、と思った次第。
第七章でのアフォンソ・デ・アルブケルケやフレンシスコ・デ・アルメイダの話。知らないので調べたけど結構インドでやりたい放題やっているように見える。こういう人たちがポルトガルを強くしたんだろうなぁ。喜望峰ルートによってヨーロッパとインドやアジアとの結びつきが強くなったということは理解だけど、これが地中海ルートよりも便利だから(?)というのはちょっとわかりにくい。というかわかっていない。運河がなかったからかなぁ。
第八章の東インド会社については結局はアルメニア人とかポルトガル人の商人たちと連携できたところが国策会社だけではできないパワーを持っていたということになるのかなぁ。
第九章でオランダの強みを説明しているが、地中海が食料自足ができなくなりポーランド付近での穀物を海上ルートで運ぶ際に強みを発揮したということのようだ。だとしたらオランダが強くなったのは地中海での木材資源や食料資源の枯渇が原因となる。あまりオランダの特質を説明できていないように感じるな。
長くなるのでここからは抜粋で。。。
アルメニア人ってユダヤ人のようにあちこちに根付いているのだ、ということは知らなかったなぁ。
セファルディム(ユダヤ人の南の方の人たち)とか言葉を知らない。調べてみるとアシュケナジムという言葉と対比的に存在しており、いずれにせよユダヤ人だが南欧系とか北欧系とかの違いになるようだ。ちなみにアシュケナジムには天才が多数生まれている。すごいな。
この他にも色々と勉強になった。とても面白い本だった。