午前零時を少々回った頃,ずっと昔にラジオから録音した古い音楽テープなどを押入の隅からやおら取り出してきてはカセット・デッキで再生する。最近はそんなショーモナイことをして夜を過ごすことが,ままある。とうとうヤキが回ったか?
いやいや,別に過ぎ去った「栄光の日々」を思い出そうとしているわけではない。もちろん「身辺整理」にとりかかる意思を固めたわけでもない。ただ単に,ほかに適当なBGMが見付からな . . . 本文を読む
数週間前のことになるが,マルセル・ムルージ Marcel Mouloudjiが1950年~60年代にかけて録音した古い歌の数々を集めたCDを購入した。3枚組で全70曲が入った結構なボリュームのBOX SETである。個人的にはムルージの歌には少なからず「当たり外れ」があると思っており,さらに加えて,そのCDに対しては何の事前情報も予備知識も持ち合わせてはいなかったのであるが,それらを承知でエイヤッ . . . 本文を読む
ジルベール・ベコー Gilbert Becaudが死んだ。74才だったそうだ。新聞はもとより,インターネットのWWWのあちこちでもいろんな人が哀悼の意を表している。その思い入れの程度は人によりさまざまであるが,確かに多くの人々を惹きつけ魅惑した最良の歌い手の一人だったのだと思う。かくいう私自身も,ずっとずっと昔にフランス語の勉強をはじめた頃,当時よく聞いていたNHKラジオの音楽番組で気に入ったシ . . . 本文を読む
今年度,福島県会津地方における比較的大きな河川調査の仕事を引き受けた。かなり広範囲の地域に及ぶ調査で,大雑把に言うと次のような町や村を辿る旅である。
仕事の始まりは会津若松市。そこを起点として,会津本郷町→下郷町→田島町→舘岩村→檜枝岐村→伊南村→南郷村→只見町→金山町→三島町→柳津町→会津坂下町と会津地方のさまざまな町や村を道中双六のように巡回し,再び会津若松市へと戻る。川の調査であるから . . . 本文を読む
ここ最近,深夜の秘かなタノシミ,というか夜更け時の束の間のヤスラギとして,シャルル・アズナブール Charles Aznavourのライブ・ディスクなどを聞いている。それも昔のものではなく比較的最近の,1997年から98年にかけて「パレ・デ・コングレ」で行われた公演のライブである。CD2枚組なものだから,一晩一枚にとどめて毎晩交互に聞いたりしている。これが結構飽きないんだな。とはいっても,別にじ . . . 本文を読む
少し前,インターネットのAmazon.co.jpから,洋楽CDを扱い始めたとの連絡を受けた。パソコン仕事の合間の息抜きに,どれどれ,とばかりにそのHPをちょいと覗いて検索してみると,我が食指をそそるものが何点か見出されたので,結局,セルジュ・レジアニ Serges ReggianiのCDなんぞを5枚いっぺんに注文してしまった。何しろ,安い! いずれも1枚967円(消費税は別途)で,まとめれば送料 . . . 本文を読む
先日,カルトーラ Cartolaの晩年のライブ録音CDをインターネットの「ヤフー・オークション」で入手した。落札価格は1,000円ポッキリだった。音楽CDの出品物をあれこれ漫然と眺めているとき,洋楽のジャンルで《 CARTOLA/LIVE 》なるタイトルが目に付いたので,ほう,これは珍しいとばかり御祝儀代わりに1,000円入札をしておいたら,その後誰も入札せずに結局私が落札してしまった次第である . . . 本文を読む
先日,インターネットでフランス共和国のサイトをいくつか巡回しているとき,ほんの偶然に,マルセル・ムルージ Marcel Mouloudjiが1994年6月14日に死んでいたことを知って少なからぬショックを受けた。それは自らの間抜けぶりに対して心底ガックリしたというよりは,何というか「歴史的必然」といったものを改めて我が身に突きつけられたような気がして思わず狼狽してしまった,といった方が当たって . . . 本文を読む
ここしばらく公私ともどもすこぶる多忙の状態が続いており,言うなれば切迫・緊縛・ジリ貧の日々。HPなども全然手付かずのまま徒に時は過ぎゆき,気がつけば季節はやがて春になろうとしている。数日前,我が家のミモザが開花し始めたという噂をどこからか伝え聞いた。さよう,あくまで噂であって,自ら進んで事実確認することすら決して能わず,自然の連綿たる歩みが傍らをさりげなく通り過ぎてゆく様を,ただただ呆然と立ちつ . . . 本文を読む
大晦日の夜,風呂に入りながら年を越した。妻子らはその数日前から里帰りしていたので,年末における私自身の生活時間はまったくのルーズ,勝手気ままに過ごしていた次第である。
ややぬるめの湯に浸かりながらしばらくボーッとしていると,別に20世紀が終わろうとしてるからといって改めて何の感慨が湧くというわけでもないが,ともかく実にいい気持ちだった。《行く年の 思い流すか 晦日風呂》 はるかな昔,こんな俳 . . . 本文を読む
最近,ミーシャは毎日が憂欝である。我が家族のなかで最も自主性に富み,かつ最もワガママなこのお嬢さんは,もとより幼少の頃から憂愁の影をそこはかとなく漂わせている感じの子ではあったのだが,ここ数ヵ月はとりわけ憂欝気分が一層つのるばかり。キッチンの扉を無理矢理こじ開けて外に出てゆくこともめっきり少なくなったし,屋外のスズメやヒヨドリに向かってガラス越しに「ンルルル,ンルルル」することもなくなったし,ア . . . 本文を読む
昨晩,NHK・ETVでクリス・ムーンというイギリス人に関するドキュメンタリー番組を見た。地雷廃絶のために世界各地を日々奔走している平和活動家だという。
今世紀の初頭以来,世界中のいたるところで勃発し今なお絶えることのない数多くの民族紛争・政治闘争・内戦・革命・反革命等々の「置きみやげ」として,とりわけ発展途上諸国においては夥しい数の対人地雷が未だに埋設されたままになっているらしい。その数は8 . . . 本文を読む
先月の下旬,岐阜県及び長野県方面に一週間ほど続けて出張した。どちらも紅葉期の山間地域における渓流魚の調査である。現在私が抱えているそのような境遇というか生業は,しばしば人をして羨みの言葉を投げかけるに相応しいようだ。なかなか結構なお仕事ですな! いやいや,別に物見遊山気分で出掛けているわけでは決してなく,イワナやアマゴの産卵期がちょうど紅葉の時期に一致するため,それを逃しては仕事にならないという . . . 本文を読む
標題(その4)を久しぶりに書き記す。これまでにダウン・ジャケット(1977),チロリアン・シューズ(1971),タイプライタ(1966)という具合に現在から過去へと時代を辿っていったが,今度は逆に時間を少し遡ってみる。
1970年代の後半に電動タイプライタを購入した(丸井自由が丘店で,10回クレジットにて)。購入を決意するに至った理由の半分は,ビジネス(生物分類のデータ整理)及びプライベート . . . 本文を読む
一昨日に記したレオ・フェレ Leo Ferreについて蛇足めいたことを少々。今から13年前の1987年4月14日,横浜・紅葉坂の県立音楽堂でフェレの来日コンサートを見た。それは我が横浜・関内「セピアの時代」末期のことである。
まだ肌寒い春の宵,紅葉坂の古びた小さなホールにはそれでも500人ほどの“物好きな”観客が集まっただろうか(何とか興業として成立したのか知らん)。舞台の袖からゆっくり現れ . . . 本文を読む