【今日の学習】 以下は、電子書籍「ムリなく話せるイメトレ英語学習法」からの引用です。 ●非時制動詞フレーズを使いこなそう 以下において、それぞれの動詞フレーズの働きを述べていくが、ここに おいても今まで述べてきたVO感覚、あるいはVC感覚、VOC感覚といっ た基本的なしくみは何ら異ならない。このことについて、あらかじめ整理 しておきたい。 その前に、もう一度指摘しておきたいのは、言葉というものはフレー ズ、つまり「ひとまとまりの意味ある単位」で成り立っているということ だ。つまり動詞というものはほとんど単独で意味を表すことはなく、目的 語や補語をともなって「ひとまとまりのもの」としてとらえる必要があ る。この視点が今までの英語教育に欠けていたのだ。 だから、いつまでも英語が言葉として定着・蓄積できないというこにな る。 [1]3つの動詞フレーズがVO感覚で使われる場合 動詞フレーズが ひとまとまりのものとして目的語 (O)になっている。 (基本形) I want milk. 私はミルクが欲しい (1) I want to drink milk. *to不定詞の名詞的用法 私は欲する (これから)ミルクを飲むことを → 私はミルクを飲みたい (2) I forgot drinking milk. *動名詞 私は忘れた ミルクを飲むことを → 私はミルクを飲み忘れた (3) I have drunk milk. *完了形 私は持っている (過去に)ミルクを飲んだことを → 私は(もう)ミルクを飲んでしまった
[2]3つの動詞フレーズがVC感覚で使われる場合 動詞フレーズが ひとまとまりのものとして補語 (C)になっている。 (基本形) Iam happy. 私は幸せです (1) I am (going) to drink milk. *be to 不定詞の構文 私は~な存在だ (これから)ミルクを飲む → 私はミルクを飲むつもりだ (2) I am drinking milk. *進行形 私は~な存在だ ミルクを飲みながら → 私は(今)ミルクを飲んでいる (3) The milk is drunk by me. *受身形 そのミルクは存在する 私に飲まれて → そのミルクは(ふだん)私に飲まれる
[3]3つの動詞フレーズがVOC感覚で使われる場合 Oは目的語を表し、補語 (C)がそれを補って説明するしくみを持ったパ ターンを持つものだ。 (基本形) Make me happy. 私を幸せにしてよ (1) I want you to drink milk. *want+人+to不定詞 私はあなたに欲する (これから)ミルクを飲むことを → 私はあなたにミルクを飲んでもらいたい Cf. Let me drink milk. *使役構文 私にミルクを飲ませてよ (2) I saw you drinking milk. *知覚構文 私はあなたを見た (あなたが)ミルクを飲んでいるのを → 私はあなたがミルクを飲んでいるのを見た (3) I had [got] the milk drunk. *被害構文 私はそのミルクを持った 飲まれていた → 私はミルクを飲まれました ここで確認してほしいのは、VOC感覚の動詞フレーズには VC感覚の動 詞フレーズが隠れていることだ。つまり(1)には命令形が、(2)には進行形が、そして(3)には受身形が隠れている。つまり、VC感覚のフレーズ をきちんと身につけなければ、VOC感覚のフレーズは自由に使いこなせな いことがわかると思う。 英語はこんなシンプルで合理的なしくみをしているのに、*印で表した 文法用語でそのしくみをバラバラにしてわけが分からない状態にさせているのだ。
CoffeeRoom 10.laughing(笑いながら) Kenny: 英会話を教えていて、とても変だと感じるのは、日本人は英語が さほど話せないのに、文法にとてもこだわりますね、まるで文法さえわかれば英語は話せると思い込んでいる感じがします。私たちの感覚ではまず「話せる」という前提があって、次に文法がくると思うのですが。これはネイティブだからそうだということではなく、日本人と同じ非英語圏の人たちでも、文法的には間違っていても英語を話していますよ。でも実際教えていて、文法を聞いてくる生徒が結構いますよ。 中嶋: そうだね。文法を知っているかどうかよりも、日本人は文法用語はよく知ってるね。実はぼくも同じ経験があるんだ。以前予備校で教えていたとき、授業後にある生徒がぼくのところに来て、「先生、先生の言っていたOとかVは何ですか?」と言うわけだ。驚いてくわしく聞くと、彼は帰国子女だと言うんだ。向こうではそんなことは聞いたことがないというわけだ。 Kenny: そうでしょうね。私もそうですよ。 中嶋: 問題は、文法や文法用語を知ることではなくことばの意味を知ることだよ。たとえば、プロローグでの会話に、( )書きで laughing などと書いたが、これはシナリオなどで使われているト書きの手法なんだ。つまりそのセリフを「笑いながら」言う、ということを表している。他にも、crying (泣きながら)とか shouting(大声で叫 びながら)といったものもある。そんな気持ちでセリフを話してください、ということだ。 こういうのは、「これは進行形であり、主語とbe動詞が省略されているものだ」といった説明よりも、動詞にingがついた形は「~しながら」といった意味になるんだ、と知ることの方が大切だと思うよ。 さらに言わせてもらえば、教育文法では be動詞+現在分詞(is crying)を動詞 cry の変化だと教えていることだ。 Kenny: へぇー、だから (Are you) laughing? Don't laugh.(笑ってるの?、笑わないでよ)といった簡単な表現もできないんだ。とにかく日本人は、文法用語から文を組み立てようとしてる感じですね。 中嶋: すでに,130ページの【イメトレNO.33】で次のような例文をあ げたが、これは分詞構文と呼ばれている。 Staying in Paris,I couldn't do any shopping. パリに滞在中、私は買い物ができなかった 文法はともかく、動詞にingがついていたら「~しながら」といった意味になると知っていたら、staying in Parisだけでなんとなく意味がとれるものだよ。またこの文では、それが副詞的に使われているということだ。 Kenny: ネイティブは文法を知らなくても英語が話せる、というのはこのことなんでしょうね。 中嶋:ただ英語のしくみということでここで指摘しておきたいんだが、ここにとりあげたing形動詞フレーズも「ひとまとまりの状態」を表すということだ。そしてそれが名詞のように(名詞的用法)、形容詞のように(形容詞的用法)、そして副詞のように(副詞的用法)使 われることだ。 「~的」という表現をしているのは、単に品詞としての名詞、形容詞、副詞ではなく、動詞が導くフレーズそのものが その働きをするからだ。ただ、名詞として使われる場合は、「パリに滞在しながらのこと」といった意味になる。 I am staying in Paris. *形容詞的に 私はパリに滞在しています I like staying in Paris. *名詞的に 私はパリに滞在するのが好きです Staying in Paris,I couldn't do any shopping. *副詞的に 中嶋: ちょっとくどくなるが、そもそも名詞的用法とか、形容詞的用法とか、あるいは副詞的用法といった説明をする場合には、その本質をきちんと教えるべきなんだ。たとえば、名詞的用法だが、あることを表現する場合に名詞があればそれを使うが、動的なことを表す場合には動詞を借りてこなければならないということだ。つまり造語(増語)法だよ。たとえ ば、「泳ぎ」という意味で have a swimのように swim を名詞として使う場合もあるが、どうしても「泳いでいる状態」を表したい ときには、swimという動詞からの造語として swimmingを使う方が動的だ。だから I like swimmingのように使うわけだ。 また drink milkに戻るが、確かに I drink milk every day.と使えば、それは行為を表す。しかし I like drinking milk.となれば drinking milk だけで「ミルクを飲みながらのこと」といったイメージとなるわけだ。それを文法では動名詞、つまり動詞が名詞のように使われていると説明するわけだ。 Kenny: 中嶋さん、あなたの説明に大切なことが抜けていますよ。あなたは、「動詞が名詞のように使われている」と言いましたが、それは動詞フレーズ全体が名詞のように使われる」ということですね。 中嶋:これは参ったね。その通りだよ。よく文法書に「動名詞は動詞にing をつけたもの」とか、「不定詞はto+動詞の原形」などと説明してるが、これは間違っている。動詞というのはほとんど補語や目的語 をともなってフレーズを作り上げるものなんだ。つまり「意味ある単位」「ひとまとまりの行為や状態」を表すということだ。 Kenny: なるほど、こんな大事なことが日本の英語教育に欠けているんですね。