諏訪湖のほとりに静態保存されていたD51-349号機。実はもう1両、同じD51型が静態保存されている。今回紹介するⅮ51-824号機である。先の349号機は煙突の形状に特徴があったが、824号機は除煙板に特徴がある。
屋根付きで機関車を保護するように保存されている。デンター(炭水車)においては、デンター内に雨や雪が入らないように囲いがされている。
デンター(炭水車)の前照灯は、シールドビーム式に交換されていた。
Ⅾ51-824のナンバープレートは公式、非公式ともに健在。車両重量表記(積12.5/空9.0)は公式側は残存していたが、非公式側はなかった。また、浜松工場製造銘板はどちらもなくなっていた。その穴には、実際に取り付けてあった箇所が確認できる。
824号機の特徴は、国鉄長野工場製(現:JR東日本長野総合車両センター)が設計・製造した除煙板。通称長工デフとも呼ばれている。
空気圧縮機。目視でじっくり確認すると、国鉄松任(まっとう)工場(現:JR西日本金沢総合車両所松任支所)の銘板を確認できた。
これはその銘板をUPしたもの。ただし、画像の通りペンキでべったりと塗りつぶされた状態であった。
D51-824号機説明板(画像をタップすると拡大できます)。
キャブ内(電車でいう乗務員室)は、左右どちらとも階段を使って立ち入れる。
*撮影当日は雪が降っており、また階段も傾斜が大きいため、上り下りする際は手すりを使ってゆっくりと上り下りしてください。特に冬場は凍結が大きく、下手すると、転倒して怪我します。
キャブ内。比較的綺麗な状態を保っていた。各種スイッチや機器類の破損もほとんどなかった。加減弁はいたずら防止の観点から針金でがっちりと封印されていた。
圧力計は本体も綺麗で針やカバーの破損・紛失はなかった。
対して、速度計は、本体は残存していたが、針とカバーが紛失していた。
運転席から見た光景。まるで機関士になった気分。静態保存しているSLの運転席に座って眺めるのもまたいい。824号機は、雪国の多い地域で活躍していたため、旋回窓が装備されている。
機関助士が石炭を投函するための火室扉も空いた状態になっていた。しかし、それ故に中はひどい状況。なぜか?
火室内は、石や砂、さらには、廃材、お菓子のごみ、空き缶がごみ箱のように捨てられていた。
第1~第4動輪。すべての動輪で「Ⅾ51824」の刻印を確認できた。
分かりにくいが、薄くⅮ51824の刻印がある。画像は第1動輪。
クロスヘッド。ペンキでべったり塗られていて、刻印は発見できなかった。
ただ、左クロスヘッドソケットにはⅮ51824の刻印があった。ピンボケしていて分かりにくいが…。
左メインロッドビッグエンド・リターンクランク部。
1970(昭和45)に廃車となってから半世紀が経過した824号機。しかし、説明板の記載にもあったように科学的遺産や教育材料として今でも大切に保存・展示されているのはせめてもの救いであると思う。なお、画像右下にある集煙装置は、実際に同機が現役時に装着していたものである。
*D51-824号機 経歴*
1943(昭和18)年3月16日浜松工場製。新製配置、浜松機関区。
1945(昭和20)年9月、静岡機関区へ転属。
1949(昭和24)年6月、上諏訪機関区へ転属。
1957(昭和32)年、長野工場で重油併燃装置を取り付け。
1959(昭和34)年、同除煙板を交換。
1964(昭和39)年4月、松本機関区(現:JR東日本松本総合車両センター)へ転属。
1970(昭和45)年8月、廃車。のち現在に至る。
撮影日・場所…2019(平成31)年1月9日(木)・長野県諏訪市湖畔公園
アクセス…JR中央本線上諏訪駅を下車して徒歩10分
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