Oil on Canvas

19~20世紀前半の西洋美術、日本近代美術などに興味があります。気になったことを調べつつ、メモしています。

美術館・等、鑑賞の記録(2023年版)

2023-12-26 18:39:07 | 資料
 
  2023年 
 

 
  1月 
 


 ◆ 日本近代洋画の軌跡 -探求と創造の100年@日本橋三越本店6階美術特選画廊

 ◆ 揚州周延(後期)@川崎浮世絵ギャラリー

 ◆ 龍星閣がつないだ夢二の心~「出版屋」から生まれた夢二ブームの原点(前期)@千代田区立日比谷文化図書館

 ◆ 所蔵作品展:MOMATコレクション [2022年度第2回](後期)@東京国立近代美術館

 
  2月 
 


 ◆ 特別展示「軍人たちの描いた大陸スケッチ」@九段生涯学習館 2階 九段ギャラリー

 ◆ 龍星閣がつないだ夢二の心~「出版屋」から生まれた夢二ブームの原点(後期)@千代田区立日比谷文化図書館

 ◆ 佐伯祐三 自画像としての風景(前期)@東京ステーションギャラリー

 ◆ 総合文化展@東京国立博物館
     浮世絵と衣装―江戸(浮世絵) [本館10室] / 歴史の記録 [本館15室] / 近代の美術 [本館18室]

 ◆ レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才 @東京都美術館

 ◇ 旅するチバラキ ~連作《水郷めぐり》の全貌~ (前期)@茨城県天心記念五浦美術館

 ◇ 速水御舟展(前期)@茨城県近代美術館
 ◇ 所蔵作品展:日本の近代美術と茨城の作家たち 冬から春へ (後期)/ 木村武山 彩色杉戸絵@茨城県近代美術館

 ◇ 高野光正コレクション 発見された日本の風景@長野県立美術館
 ◇ 特集展示:信濃デッサン館コレクション@長野県立美術館

 ◇ 常設展@善光寺史料館
 ◇ 鷹司敦子記念コレクション 大正ロマンの絵封筒展@善光寺大勧進宝物殿

 
  3月 
 


 ◆ 龍子記念館60年特別展 横山大観と川端龍子@大田区立龍子記念館

 ◆ 芳幾・芳年-国芳門下の2大ライバル(前期)@三菱一号館美術館

 ◆ 佐伯祐三 自画像としての風景(後期)@東京ステーションギャラリー

 ◇ コレクション展 [2022年度第4期] 名品4-旧制千葉中学から広がる堀江正章の系譜@千葉県立美術館

 ◇ コレクション選 山本鼎とその周辺ー創作版画のはじまり@千葉市美術館
 ◇ コレクション展:房総ゆかりの作家たち 特集展示:無縁寺心澄@千葉市美術館

 ◆ MOMASコレクション [2022年度第4期](前期):セレクション、倉田白羊と森田恒友、奥原晴湖/菊沢武江@埼玉県立近代美術館

 ◇ 非公開文化財特別公開:東本願寺 大寝殿・白書院 [第57回京の冬の旅 ](*竹内栖鳳障壁画など)@真宗大谷派(東本願寺)

 ◇ ⼤阪の⽇本画(後期)@大阪中之島美術館

 ◇ ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者@美術館「えき」KYOTO

 ◇ 昭和のモダンガール展@細辻伊兵衛美術館

 ◇ 甲斐荘楠音の素顔―その知られざる素描の魅力―@星野画廊

 ◇ 開館60周年記念開館60周年記念 甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性@京都国立近代美術館
 ◇ コレクション展 [2022年度 第5回]: 画家の工芸意匠 / 伊藤快彦・長谷川良雄・霜鳥之彦@京都国立近代美術館

 ◇ コレクションルーム [春期] 特集:魅惑の昭和モダン@京都市京セラ美術館

 ◇ 近代の誘惑-日本画の実践@静岡県立美術館

 ◇ テーマ展 「近代日本画の中の馬」@馬の博物館

 ◇ 旅するチバラキ ~連作《水郷めぐり》の全貌~ (後期)@茨城県天心記念五浦美術館

 ◇ 速水御舟展(後期)@茨城県近代美術館
 ◇ [再] 所蔵作品展:日本の近代美術と茨城の作家たち 冬から春へ (後期)/ 木村武山 彩色杉戸絵@茨城県近代美術館
 
 ◆ サロン展 写真のノスタルジア / 特別陳列 関東大震災のイメージ@渋谷区立松涛美術館
 
 ◆ 東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密(前期)@東京国立近代美術館
 ◆ 所蔵作品展:MOMATコレクション [2022年度第4回]@東京国立近代美術館
 ◆ 所蔵作品展:修復の秘密 コレクションによる小企画@東京国立近代美術館

 ◆ 芳幾・芳年-国芳門下の2大ライバル(後期)@三菱一号館美術館

 ◆ 黒田記念室・特別室@黒田記念館

 ◆ 「買上展」 [第1部] 藝大コレクション展2023@東京藝術大学大学美術館

 ◆ 「東洋一」の夢 帝国図書館展 国立国会図書館国際こども図書館

 ◆ 総合文化展@東京国立博物館
    未来の国宝―東京国立博物館 書画の逸品―:田中親美 《平家納経(摸本)》[本館 2室]
    浮世絵と衣装 (浮世絵)[本館10室] 
    特集:特集:ニール号引き揚げ品—ウィーン万博をめぐる日欧の工芸文化交流— [本館14室]
    歴史の記録 [本館15室] / 近代の美術 [本館18室] 、など。

 ◆  画家たちを魅了したフランス〈辺境の地〉ブルターニュの光と風@SOMPO美術館

 
  4月 
 



 ◇ 宇都宮美術館開館25周年記念 二つの教会をめぐる石の物語@宇都宮美術館
 ◇ 陽咸二展 混ざりあうカタチ@宇都宮美術館

 ◇ そっとひらいてみれば―屏風と本でたのしむ絵― 後期:屏風でめぐる四季、本が誘う諸外国への旅―幕末~近代を中心に―@佐野市立吉澤記念美術館

 ◇ 第2回展 開花の兆し@佐野東石美術館
 
 ◇ 大観・放菴・芋銭 三友展 (前期)@足利龍泉寺美術館

 ◆ MOMASコレクション [2022年度第4期](後期):セレクション、倉田白羊と森田恒友、奥原晴湖/菊沢武江@埼玉県立近代美術館

 ◆ 本と絵画の800年 吉野石膏所蔵の貴重書と絵画コレクション@練馬区立美術館

 ◆ 春の企画展 生きものたちは なにか見てる、なにを見てる・・・・@六町ミュージアムフローラ

 ◆ 明治美術狂想曲(前期)@静嘉堂文庫美術館

 ◆ 憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷(前期)@国立西洋美術館
 ◆ 常設展@国立西洋美術館

 ◆ 大阪の日本画(前期)@東京ステーションギャラリー

 ◇ 橋本関雪 生誕140周年 KANSETSU ー入神の技・非凡の画ー(前期)@福田美術館
 ◇ 橋本関雪 生誕140周年 KANSETSU ー入神の技・非凡の画ー(前期)@嵯峨嵐山文華館

 ◇ 橋本関雪 生誕140周年 KANSETSU ー入神の技・非凡の画ー(前期)@白沙村荘橋本関雪記念館

 ◇ 光陰礼讃 -近代日本最初の洋画コレクション @泉屋博古館

 ◇ 京都工芸繊維大学コレクション―浅井忠と近代京都のデザイン@京都市勧業館「みやこめっせ」

 ◇ 企画展 学校でみる絵の中の子どもたち@京都市学校歴史博物館

 ◇ 非公開文化財特別公開〔令和5年度春期〕:平等寺 *鈴木松年 《 仁王画 》(明治19年)@平等寺(因幡薬師)

 ◇ 恐ろしいほど美しい 幕末土佐の天才絵師 絵金(前期)@あべのハルカス美術館

 ◇ 女性の美 ~近代日本画篇~展@天門美術館

 ◇ 近代日本の視覚開化 明治──呼応し合う西洋と日本のイメージ@愛知県美術館
 ◇ コレクション展:コレクション展 〔2023年度第1期〕: こだまする芸術 / 藤井さんちの手作りで趣味良い暮らし 藤井達吉と家庭手芸@愛知県美術館

 
  5月 
 


 ◇ 草雲と門人『足利切通之図』のリアル@草雲美術館

 ◇ 栃木市立美術館開館記念展 明日につなぐ物語(前期)@栃木市立美術館

 ◇ 川島理一郎展 -描くことは即ち見ること@栃木県立美術館
 ◇ コレクション展Ⅰ 田﨑草雲・小室翠雲-関東南画の源流@栃木市立美術館

 ◆ 企画展「怪談物のつくりかた ─役者の芸と仕掛けの世界─」@国立劇場 伝統芸能情報館

 ◆ 企画展「口絵・挿絵でたどる演芸速記本」@国立演芸場演芸資料展示室

 ◆ ベルギーと日本 光をえがき、命をかたどる@目黒区美術館

 ◆ 東京国立近代美術館70周年記東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密(後期)@東京国立近代美術館
 ◆ 所蔵作品展:MOMATコレクション [2022年度第4回]@東京国立近代美術館
 ◆ コレクションによる小企画:修復の秘密@東京国立近代美術館

 ◆ 令和5年度所蔵資料展 「新宿の画家たちー出会う、暮らす、描く。ー」@新宿歴史博物館

 ◆ 生誕140年特別展 「アトリエの朝倉文夫」 @台東区立朝倉彫塑館

 ◆ 企画展「没後80年 中村不折のすべて」(前期:第1期)@台東区立朝倉彫塑館

 ◆ 総合文化展@東京国立博物館
    浮世絵と衣装 (浮世絵)[本館10室]  歴史の記録 [本館15室] / 近代の美術 [本館18室]
     、親と子のギャラリー 尾・しっぽ [平成館企画展示室] など。

 ◆ 憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷(後期)@国立西洋美術館
 ◆ 常設展@国立西洋美術館

 ◆ 神田明神創建1300年記念 三越創業350周年 -浮世絵や絵巻で見る- 神田明神と神田祭展@日本橋三越本店

 ◆ 大阪の日本画(後期)@東京ステーションギャラリー

 ◆ 明治美術狂想曲(後期)@静嘉堂文庫美術館

 ◆ コレクション展 [2023年度第1期] @千葉県立美術館 
   名品1ー懐かしい景色ー / 絵葉書の時代1 / 人が作り出した生き物

 ◇ 廣澤美術館コレクション 横山大観ー心で描いた風景@小山市立車屋美術館

 ◆ 顕神の夢 ―幻視の表現者― 村山槐多、関根正二から現代まで(前期)@川崎市岡本太郎美術館

 ◆ 小林古径 生誕140年記念 小林古径と速水御舟 ―画壇を揺るがした二人の天才―(前期)@山種美術館

 ◇ 岩波其残と画友 ~激動の幕末・明治時代を生きた諏訪の画家たち~@八ヶ岳美術館(原村歴史民俗資料館)
 ◇ 常設展示:没後40年清水多嘉示 生命と構築性の絵画 第2部 諏訪時代と帰国後昭和20年間の絵画@八ヶ岳美術館(原村歴史民俗資料館)

 ◇ 近代・モダン 新しい時代の絵画をもとめて@サンリツ服部美術館
 ◇ 服部一郎コレクション:近現代絵画展 語りかける絵画 描かれた人物@サンリツ服部美術館

 ◇ 開館40周年記念特別展 エミール・ガレ、自然への眼差し -我が根は森の奥深くにあり-@北澤美術館

 
  6月 
 


 ◇ 橋本関雪 生誕140周年 KANSETSU ー入神の技・非凡の画ー(後期)@福田美術館

 ◇ 橋本関雪 生誕140周年 KANSETSU ー入神の技・非凡の画ー(後期)@嵯峨嵐山文華館

 ◇ 橋本関雪 生誕140周年 KANSETSU ー入神の技・非凡の画ー(後期)@白沙村荘 橋本関雪記念館

 ◇ 新収蔵品を核に 東西作家のコンチェルト@BBプラザ美術館

 ◇ 出会いと、旅と、人生と。ある画家の肖像日本近代洋画の巨匠金山平三と同時代の画家たち@兵庫県立美術館
 ◇ コレクション展:小磯良平記念室 / 金山平三記念室@兵庫県立美術館

 ◇ 大阪市中央公会堂ガイドツアー *松岡壽 壁画・天井画@大阪市中央公会堂

 ◇ 企画展 「五井金水とゆかりの画家たち-船場で愛された絵師の画房から-」@大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)

 ◇ 特別企画展「異界彷徨―怪異・祈り・生と死―」@大阪歴史博物館

 ◇ 渡仏から110年 藤田嗣治渡仏から110年藤田嗣治展@山王美術館

 ◇ 恐ろしいほど美しい 幕末土佐の天才絵師 絵金(後期)@あべのハルカス美術館

 ◆ 木島櫻谷 ― 山水夢中(前期)@泉屋博古館東京

 ◆ 企画展 開館記念展Ⅳ 染織図案とあかね會―その思いを今につむぐ―(前期)@丸紅ギャラリー

 ◆ 所蔵作品展 MOMATコレクション 〔2023年度第1回〕(前期)@東京国立近代美術館

 
  7月 
 


 ◆ モネ、ルノワール 印象派の光@松岡美術館

 ◆ 木島櫻谷 ― 山水夢中(後期)@泉屋博古館

 ◆ 企画展 開館記念展Ⅳ 染織図案とあかね會―その思いを今につむぐ―(後期)@丸紅ギャラリー

 ◆ 甲斐庄楠音の全貌(前期)@東京ステーションギャラリー

 ◆ ビアトリクス・ポター™資料館所蔵特別展 「ピーターラビット™と仲間たち」@丸善・丸の内本店4Fギャラリー

 ◆ スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた@国立西洋美術館
 ◆ 常設展 / 美術館の悪(わる)ものたち@@国立西洋美術館

 ◆ 杉浦非水の大切なもの 初公開・知られざる戦争疎開資料@川越市立美術館
 ◆ 常設展 / 特集:岩崎勝平@川越市立美術館

 
  8月 
 


 ◇ 大観・放菴・芋銭 三友展(後期)@足利・龍泉寺美術館
 
 ◇ 顕神の夢 霊性の表現者 超越的なもののおとずれ@足利市立美術館

 ◇ 草雲と門人『富士見西郷図』のリアル@草雲美術館

 ◇ 企画展 これだけは見ておきたい 日本洋画の歩み@栃木市立美術館

 ★ 【映画】 わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏@シアター・イメージフォーラム

 ◆ 所蔵作品展 MOMATコレクション [2023年度第1回] (後期)@東京国立近代美術館

 
  9月 
 


 ◆ 第34回平和祈念展 「魅惑のプロパガンダ~虚構まみれの言葉の世界~」@蕨市立歴史民俗資料館

 ◆ 夏季展 「細川護立の愛した画家たち―ポール・セザンヌ 梅原龍三郎 安井曾太郎―」@永青文庫

 ◆ 「伝えるー災害の記憶」あいおいニッセイ同和損保所蔵災害資料 ―関東大震災100年―資料でたどる災害今昔展@UNPEL GALLERY

 ◆ テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ@国立新美術館

 ◆ 春陽会誕生100年 それぞれの闘い 岸田劉生、中川一政から岡鹿之助へ(前期)@東京ステーションギャラリー
 
 ◆ モネ、ルノワール 印象派の光(展示替え)@松岡美術館

 ◆ 堅山南風《大震災実写図巻》と近代の画家 大観・玉堂・青邨・蓬春(後期)@半蔵門ミュージアム

 ◆ 連続テレビ小説「らんまん」・牧野富太郎直筆植物画展@NHK放送博物館

 
  10月 
 


 ◆ 常設展 / もうひとつの19世紀 ―ブーグロー、ミレイとアカデミーの画家たち@国立西洋美術館
 
 ◆ 関東大震災100年企画展 震災からのあゆみ -未来へつなげる科学技術-@国立科学博物館

 ◆ 総合文化展@東京国立博物館
     [本館18室]  近代の美術
     [本館特別1室]  東京国立博物館の寒山拾得図―伝説の風狂僧への憧れ―

 ◇ 開館35周年記念 福田美蘭―美術って、なに?@名古屋市美術館

 ◇ コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画@松坂屋美術館

 ◇ コレクション展 [2023年度第3期] @愛知県美術館
    展示室5 「名品」はどこから来たのか?
    展示室7 江戸から近代へ受け継がれるやまと絵の世界 
    展示室8 木村定三コレクション 熊谷守一と夜と絵具

 ◇ 没後100年記念 内海吉堂 展(後期)@敦賀市立博物館

 ◇ きらめきはぐくむ 京都の学校と伝統工芸――西陣織・京友禅・京焼――(前期)@京都市学校歴史博物館

 ◇ 常設展 / 初代諏訪蘇山展-よみがえる革新技法-@京都工芸繊維大学美術工芸資料館

 ◇ 大好き 印象の動物・鳥・昆虫@京都府立堂本印象美術館

 ◇ 竹内栖鳳 破壊と創生竹内栖鳳 破壊と創生のエネルギー(前期)@京都市京セラ美術館
 ◇ ザ・トライアングル 山本雄教:仮想の換金 (priceless museum) @京都市京セラ美術館

 ◇ 京都画壇の青春-栖鳳、松園につづく新世代たち(前期)@京都国立近代美術館
 ◇ コレクション展 [2023年度第3回] @京都国立近代美術館
   西洋近代美術作品選 / 「京都画壇の青春」展によせて(前期) 
   抽象と現実:ポール・ストランドの写真を中心に
   河井寬次郎の模様 /大正期洋画の個性派
   デュケーショナル・スタディズ04「チョウの軌跡――長谷川三郎のイリュージョン」

 ◆ 戸張孤雁の芸術展(前期)@中村屋サロン美術館

 ◆ 伝統から革新へ ゴッホと静物画@SOMPO美術館

 ◆ 歴史(とき)を語る近代絵画―明治神宮所蔵絵画と内陣御屏風―@明治神宮ミュージアム

 ◆ 波多野華涯の世界 —女性文人画家の明治・大正・昭和—@実践女子大学香雪記念資料館

 ◆ 激動の時代―幕末明治の絵師たち(前期)@サントリー美術館

 ◆ 企画展 生誕155年 河鍋暁翠 展@河鍋暁斎記念美術館
 
 ◆ 特別展 兄と弟 渡辺長男と朝倉文夫@台東区立朝倉彫塑館

 ◆ 総合文化展@東京国立博物館
     [本館15室]  歴史の記録 :温知図録
     [本館16室] アイヌと琉球 ウィーン万国博覧会150周年
     [本館18室]  近代の美術

 ◆ モネ、連作の情景@上野の森美術館

 ◆ @JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク
   常設展示『Made in UMUT – 東京大学コレクション
   特別展示『アヴェス・ヤポニカエ〈9〉 ― 表現のダイヴァーシティ』
   特別展示『魚学コトハジメ』

 ◆ デイヴィッド・ホックニー展@東京都現代美術館

 ◆ めぐりあう大津絵 笠間日動美術館・小絲源太郎コレクションと
   神戸女子大学古典芸能研究センター・志水文庫の大津絵@八王子市夢美術館
 ◆ 第二期収蔵品展示:第二部 新規寄贈作品受贈記念 神邊コレクションの近代木版口絵@八王子市夢美術館

 ◆ 楊洲周延 明治を描き尽くした浮世絵師(前期)@町田市立国際版画美術館

 ◆ 没後80年 跡見玉枝@跡見学園女子大学花蹊記念資料館

 ◆ ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン@アーティゾン美術館
 ◆ 創造の現場―映画と写真による芸術家の記録@アーティゾン美術館
 ◆ 石橋財団コレクション選:特集コーナー展示 読書する女性たち@アーティゾン美術館

 
 
  11月 
 


 ◇ 対照の妙 牛田雞村展」(前期)@町立湯河原美術館
 ◇ 常設展;湯河原を愛した画家たち@町立湯河原美術館

 ◆ 新収蔵品展:特集展示 — 藤田嗣治の初期作品@平塚市美術館
 ◆ 横山美術館名品展 明治・大正の輸出陶磁器@平塚市美術館

 ◆ 100年前の未来:移動するモダニズム 1920–1930@神奈川県立近代美術館・葉山

 ◆ 森田恒友の表現 -日本の風景を追求した画家-@熊谷市立熊谷図書館・美術展示室

 ◆ ある図案家の仕事 -宮中の染織デザイン-(前期)@港区立郷土歴史館

 ◆ 日本画の棲み家@泉屋博古館東京

 ◆ 激動の時代―幕末明治の絵師たち(後期)@サントリー美術館

 ◆ 葛飾応為「吉原格子先之図」 ―肉筆画の魅力@太田記念美術館

 ◆ 戸張孤雁の芸術展(後期)@中村屋サロン美術館

 ◆ 生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ(前期)@東京国立近代美術館
 ◆ 所蔵作品展:MOMATコレクション [2023年度第2回] @東京国立近代美術館
 
 ◆ 総合文化展@東京国立博物館
     [本館 3室]  特集:仏画のなかのやまと絵山水
     [本館10室] 浮世絵と衣装―江戸(浮世絵)
 
 ◆  コレクション展:動物園にて ―東京都コレクションを中心に(前期)@東京都美術館

 ◆ 松本竣介トリビュート@gallery TOWED

 ◇ 秋季特別展 橋本関雪生誕140周年記念 「東洋へのまなざし 日本と中国の情景」@小林美術館
 ◇ 季節展 「四季の万華鏡 —秋のささやき—」@小林美術館

 ◇ 特別事業 「トランスボーダー 和歌山とアメリカをめぐる移民と美術」@和歌山県立近代美術館
 ◇ 特別展 「原勝四郎展」@和歌山県立近代美術館
 ◇ 小企画展 「原勝四郎と同時代の画家たち」@和歌山県立近代美術館

 ◇ 日々是探究―京都高等工芸学校教員たちの模写と手習い@京都工芸繊維大学美術工芸資料館

 ◇ 特別日中拝観@金戒光明寺
 ▢ 竹内栖鳳墓所@金戒光明寺

 ◇ 開館90周年記念展 竹内栖鳳 破壊と創生のエネルギー(後期)@京都市京セラ美術館
 ◇ コレクションルーム [秋期]: 小企画「京都市動物園開園120周年記念展示」@京都市京セラ美術館

 ◇ 京都画壇の青春-栖鳳、松園につづく新世代たち(後期)@京都国立近代美術館
 ◇ コレクション展 [2023年度第3回] @京都国立近代美術館
   西洋近代美術作品選 / 「京都画壇の青春」展によせて(後期) 
   抽象と現実:ポール・ストランドの写真を中心に
   河井寬次郎の模様 /大正期洋画の個性派
   デュケーショナル・スタディズ04「チョウの軌跡――長谷川三郎のイリュージョン」

 ◇ コレクション展@新潟県立近代美術館
    [展示室1] 近代美術館の名品 ―新収蔵品を中心に
    [展示室2] 異国に渡った芸術家たち

 ◇ 尾竹三兄弟と師弟@新潟市潟東樋口記念美術館・@新潟市歴史民俗資料館
 ◇ 常設展;金子孝信コーナー@新潟市潟東樋口記念美術館

 ◇ 會津八一と棟方志功@新潟市會津八一記念館

 ◇ 発掘された珠玉の名品 少女たち ― 夢と希望・そのはざまで 星野画廊コレクションより@新潟市美術館
 ◇ 芸妓(げいぎ)が近代(モダン)新潟花街(かがい)文化研究@新潟市美術館/
 ◇ 一九一五年・新潟美人総選挙@新潟市美術館
 ◇ コレクション展3 画家カリエールをめぐって@新潟市美術館

 
 
  12月 
 
 

 

 ◆ 楊洲周延 明治を描き尽くした浮世絵師(後期)@町田市立国際版画美術館

 ◆ 特別展 竹久夢二 ―「いつもプロセスにいたい」―@白根記念渋谷区郷土博物館・文学館
 ◆ 常設展 〔文学館〕@白根記念渋谷区郷土博物館・文学館

 ◆ パリに愛された日本人画家たち -レオナールフジタを中心に-@日本橋三越6階美術特選画廊

 ◆ 特別展「1909 現代名家百幅画会 -百幅百態、皆、当今の名手たり- @日本橋高島屋S.C.本館8階催会場
 ◆ 知られざる陶彫(とうちょう)「陶の仏 ―近代常滑における陶彫」@高島屋史料館TOKYO

 ◆ 令和5年度特別展「ある図案家の仕事 -宮中の染織デザイン-」(後期)@港区立郷土歴史館

 ◆ 常設展:印刷の日本史 / 印刷の世界史@印刷博術館
 ◆ 明治のメディア王 小川一眞と写真製版@印刷博術館

 ◇ 天心が託した国宝の未来 ― 新納忠之介、仏像修理への道@茨城県天心記念五浦美術館
 ◇ 常設展@@茨城県天心記念五浦美術館

 ◇ 常設展示 美術部門 水戸の美術Ⅱ [令和5年度] :近現代の洋画ー人物を描くー@水戸市立博物館
 ◇ 水戸市民会館 オープン記念特別展示 市立博物館コレクション展
              :第4期 個性豊かな美の世界 近現代の作家たち@水戸市立博物館

 ◇ 国吉康雄展~安眠を妨げる夢~福武コレクション・岡山県立美術館のコレクションを中心に@茨城県近代美術館
 ◇ 所蔵作品展::日本の近代美術と茨城の作家たち 秋から冬へ / 色彩の響きをきく/みる

 ■ 【第13回埼玉県学芸員合同研究発表会 ―ミュージアムフォーラム―】 
   近現代美術「戦時下の美術 -埼玉県の美術家の動向を中心に」 鴫原 悠(埼玉県立近代美術館 学芸員)
   @ 埼玉県立近代美術館

 ◆  MOMASコレクション [2023年度第3回] セレクション(前期) /魅惑のリアリズム@埼玉県立近代美術館

 ◆ 上野アーティストプロジェクト2023 いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間@東京都美術館
 ◆ コレクション展:動物園にて ―東京都コレクションを中心に(後期)@東京都美術館

 ◆ パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ@国立西洋美術館
 ◆ [再] 常設展 / 小企画展:もうひとつの19 世紀―ブーグロー、ミレイとアカデミーの画家たち@国立西洋美術館

 ◆ 福岡アジア美術館所蔵作品展 うるおう アジア ―近代アジアの芸術、その多様性―@中村研一記念小金井市立はけの森美術館
 ◆ 所蔵作品による 中村研一が見た中国@中村研一記念小金井市立はけの森美術館

 ◆ HAIBARA Art & Design 和紙がおりなす日本の美@三鷹市美術ギャラリー
 
 ◆ 関東大震災100年ー隠蔽された朝鮮人虐殺@高麗博物館

 ◆ コレクション展 恭賀新正 -新年を寿く縁起物@早稲田大学會津八一記念博物館
 ◆ 富岡コレクションの近代絵画@早稲田大学會津八一記念博物館

 ◆ 秋季企画展 没後130年 河竹黙阿弥―江戸から東京へ―@早稲田大学坪内博士記念演劇博物館

 ◇ 生誕140年 竹久夢二のすべて@高崎市美術館

 

日本国内にある西洋絵画(カミーユ・ピサロ編)

2020-04-20 21:21:31 | 資料

 日本国内の美術館、法人等に所蔵されているカミーユ・ピサロ作品をまとめてみました。

 可能な限り作品情報とリンクさせるため、カタログ・レゾネの作品番号を便宜以下のように表記し、付してあります。

 「PDR」 : 『Pissarro : Critical Catalogue of Paintings』(Joachim Pissarro, Claire Durand-Ruel Snollaerts, Skira, Wildenstein Institutes, 2005)
 「V」  : 『Camille Pissarro : son art, son oeuvre』(Ludovic-Rodo Pissarro, Lionello Venturi, Alan Wofsy Fine Arts, 1989)

 
 吉野石膏コレクション(◇山形美術館へ寄託)[山形] 

◇ 「モンフーコーの冬の池、雪の効果」 1875年 油彩・カンヴァス PDR390

 
 
◇ 「ポントワーズの橋」 1878年 油彩・カンヴァス PDR551

 
 
◇ 「ポントワーズのル・シュ」  1882年 油彩・カンヴァス PDR675

 
 
 ◇ 「花を摘む農婦」 1882年 油彩・カンヴァス PDR687

 

◇ 「暖をとる農婦」 1893年 油彩・カンヴァス PDR739

 
 
 ◇ 「ロンドンのキューガーデン、大温室前の散歩道」 1892年 油彩・カンヴァス PDR944

 

◇ 「ルーアンのエピスリー通り、朝、曇り空」 1898年 油彩・カンヴァス PDR1222


 

 「吉野石膏コレクション」が日本で一番多くピサロ作品を所有していると思われます。吉野石膏株式会社、公益財団法人吉野石膏美術振興財団のどちらかが所有しているものと思われます。全部か、一部かはわかりませんが、山形美術館に寄託されているようで、すべて常設展示されているかどうかは不明です。ただ、山形美術館では、数年に間に一定期間だけ、「吉野石膏コレクション」の全体を公開する展覧会もあるようです。

 
 福島県立美術館 [福島] 

 ◆ 「エラニーの菜園」 1899年 油彩・カンヴァス

 

 
 諸橋近代美術館 [福島・猪苗代] 


 ◆ 「ポントワーズ丘陵、牛飼いの少女」 1882年 グワッシュ・紙


 
 茨城県近代美術館 [茨城] 


 ◆ 「グラット=コックの丘からの眺め,ポントワーズ」 1878年頃 油彩・カンヴァス PDR557  

 

 ◆ 「農家の娘」 1892年 パステル・紙

 群馬県立近代美術館 [群馬] 

 
  ◆ 「エラニーの教会と農園」 1884年 油彩・カンヴァス PDR754 (Google Art & Culture
 
 

 
 DIC川村記念美術館 [千葉] 


  ◆ 「麦藁を積んだ荷馬車、モンフーコー風景」 1879年 油彩・カンヴァス PDR611 (Google Art & Culture

 


 
 埼玉県立近代美術館 [埼玉] 


  ◆ 「エラニーの牛を追う娘」 1884年 油彩・カンヴァス PDR775 (Google Art & Culture
 
 

 丸沼芸術の森 [埼玉] 

 
 ◆ 「草刈りする女性」 製作年不詳 水彩・紙


 
 国立西洋美術館 [東京] 


  ◆ 「冬景色」 1873年 油彩・カンヴァス PDR286

  

 ◆ 「立ち話」 1881年頃 油彩・カンヴァス PDR658 (Google Art & Culture

    *第七回印象派展 (1882年)出品作。

 ◆ 「収穫」 1882年 テンペラ・カンヴァス (Google Art & Culture

     *第七回印象派展 (1882年)出品作。

 ◆ 「エラニーの秋」 1895年 油彩・カンヴァス

 

 
 石橋財団アーティゾン美術館 [東京] 


 ◆ 「ブージヴァルのセーヌ河」 1870年 油彩・カンヴァス PDR154 (Google Art & Culture

 

 ◆ 「菜園」 1878年 油彩・カンヴァス PDR577 (Google Art & Culture

 

  
 三菱一号館美術館 (◇寄託作品)[東京・丸の内] 


 ◇ 「窓から見たエラニー通り、ナナカマドの木 」 1887年 油彩・カンヴァス PDR846

 

  ◇ 「エラニーのロックおばさんの農園」 1893年 油彩・カンヴァス PDR1002

 
 
 *三菱一号館美術館に寄託されている個人コレクションで、ふだんなかなか展示されないですが、所蔵品展などで見ることができるかもしれません。


 
 松岡美術館 [東京] 


 ◆ 「丸太作りの植木鉢と花」 1876年 油彩・カンヴァス PDR481

 

 ◆ 「羊飼いの女」 1887年頃 グワッシュ・紙 V1418

 ◆ 「カルゼール橋の午後」 1903年 油彩・カンヴァス PDR1489
  
 

 
 東京富士美術館 [東京] 


 ◆ 「ロンドン、ハイドパーク」 1890年 デトランプ・デトランプ、カンヴァスに移された紙 V1449
 
 

 ◆ 「春、朝、曇り、エラニー」1900年 油彩、カンヴァス PDR1322 (Google Art & Culture) 

  

 ◆ 「秋、朝、曇り、エラニー」1900年 油彩・カンヴァス PDR1341
 

 
 ポーラ美術館 [神奈川・箱根] 
 

 ◆ 「エヌリー街道の眺め」 1879年 油彩・カンヴァス PDR595

 

 ◆ 「エラニー村の入り口」 1884年 油彩・カンヴァス PDR752
 
 

  ◆ 「エラニーの花咲く梨の木、朝」 1886年 油彩・カンヴァス PDR823

     *第八回印象派展(1886年)出品作。 

 
 上原美術館 [静岡] 
 

 ◆ 「エラニーの牧場」 1885年 油彩・カンヴァス PDR792 

     *第八回印象派展(1886年)出品作。

 
 静岡県立美術館 [静岡] 


 ◆ 「ライ麦畑、グラット=コックの丘、ポントワーズ」 1877年 油彩・カンヴァス PDR523 (Google Art & Culture) 

 

 
 鞍ヶ池アートサロン(トヨタ鞍ヶ池記念館内) [愛知] 
 

 ◆ 「エラニーの眺め」 1884年 油彩・カンヴァス PDR777 

 

 ◆ 「エラニーの牧場」 1885年 油彩・カンヴァス PDR809

 

 
 ヤマザキマザック美術館 [愛知] 


 ◆ 「ルーアンの波止場・夕陽」 1896年 油彩・カンヴァス PDR1146

 

 
 岐阜県美術館 [岐阜] 
 

 ◆ 「牛の番をする農婦、モンフーコー」 1875年 油彩・カンヴァス PDR423



 
 京都国立近代美術館 (◇寄託作品) [京都] 
 

 ◇ 「樹霜、木の枝を折る女」 1889-90年頃 油彩・カンヴァス PDR877 

 

 
 福田美術館 [京都] 
 

 ◆ 「エラニーの積み藁と農婦」 1885年 油彩・カンヴァス PDR810 

 

 姫路市立美術館 [兵庫] 
 

 ◆ 「花咲くプラムの木」 1889年 油彩・カンヴァス PDR865 

 

 大原美術館 [岡山] 


 ◆ 「ポントワーズのロンデスト家の中庭」 1880年 油彩・カンヴァス PDR635

 

 ◆ 「りんご採り」 1886年 油彩・カンヴァス (Google Art & Culture

    *第八回印象派展(1886年)出品作。

 ひろしま美術館 [広島] 
  

 ◆ 「水浴する女たち」 1896年 油彩・カンヴァス PDR1107

 

 ◆ 「ポン=ヌフ」 1902年 油彩・カンヴァス PDR1413

 

 鹿児島市立美術館 [鹿児島] 


 ◆ 「ポントワーズの農園 (ポントワースのレザールの丘)」 1882年 油彩・カンヴァス PDR693

 

 サントリーコレクション 

 
  ◆ 「積み藁と干し草車」 1858年 油彩・板  PDR34

 

  ◆ 「エラニーの農園」 1885年 油彩・カンヴァス PDR806

 

  ◆ 「チュイルリー公園の午後、太陽」 1900年 油彩・カンヴァス PDR1313

 


 2020年4月現在の情報です。時の経過によって、内容と一致しないものも出てくることをご容赦ください(内容の変更が確認でき次第、修正してゆきます)。
 
 また、美術館に所蔵されていても、常設展示されていないことがほとんどであると思われます。見に行かれる際は、事前に美術館のホームページなどをお調べになって足をお運びください。

オンライン・カタログ・レゾネ まとめ(仮)

2020-03-09 20:26:25 | 資料
◆ オノレ・ドーミエ / Honoré-Victorin Daumier [1808-1879]
 The Daumier Register / https://www.daumier.org (2020年2月16日閲覧)

◆ ギュスターヴ・クールベ / Gustave Courbet [1819-1877]
 La Vie et L’œuvre de Gustave Courbet , Tome I & II (Robert Fernier)/ Wildenstein Plattner Institutes (2020年4月19日閲覧)

◆ ジェームス=マクニール・ホイッスラー / James Abbott McNeill Whistler [1834-1903]
 The Paintings of James McNeill Whistler: A Catalogue Raisonné (University of Glasgow) / https://www.whistlerpaintings.gla.ac.uk (2020年2月16日閲覧)

◆ カミーユ・ピサロ / Camille Pissarro [1830-1903]
 Critical Catalogue of Paintings (Joachim Pissarro and Claire Durand-Ruel Snollaerts)/ Wildenstein Plattner Institutes (2020年4月19日閲覧)

◆ エドゥアール・マネ / Édouard Manet / [1832-1883]
 Edouard Manet Catalogue Raisonné (Denis Rouart and Daniel Wildenstein)/ Wildenstein Plattner Institutes (2020年4月19日閲覧)

◆ エドガー・ドガ / Edgar Degas [1834-1917]
 Edgar Degas 1834-1917 The digital critical catalogue by Michel Schulman / http://www.degas-catalogue.com/index.html (2020年2月16日閲覧)

◆ ポール・セザンヌ / Paul Cézanne [1839-1906]
 The Paintings, Watercolors and Drawings of Paul Cezanne (An online catalogue raisonné under the direction of Walter Feilchenfeldt, Jayne Warman and David Nash) / http://cezannecatalogue.com (2020年2月16日閲覧)

◆ クロード・モネ / Claude Monet [1840-1926]
 Claude Monet:Biographie et catalogue raisonné (Daniel Wildenstein)Wildenstein Plattner Institutes (2020年4月19日閲覧)
 Monet:Catalogue raisonné - Werkverzeichnis (Daniel Wildenstein)Wildenstein Plattner Institutes (2020年4月19日閲覧)

◆ オディロン・ルドン/ Odilon Redon [1840-1916]
 Odilon Redon:Catalogue Raisonné de l'Oeuvre Peint et Dessiné (Alec Wildenstein)Wildenstein Plattner Institutes (2020年4月19日閲覧)

◆ ギュスターヴ・カイユボット / Gustave Caillebotte [1848-1894]
 Gustave Caillebotte : Catalogue Raisonné des Peintures et Pastels (Marie Berhaut with Sophie Pietri)/ Wildenstein Plattner Institutes (2020年4月19日閲覧)

◆ ポール・ゴーギャン / Paul Gauguin [1848-1903]
 Gauguin:Catalogue Volume I (Georges Wildenstein)/ Wildenstein Plattner Institutes (2020年4月19日閲覧)
 Gauguin:Catalogue Raisonné of the Paintings 1873-1888 (Daniel Wildenstein)/ Wildenstein Plattner Institutes (2020年4月19日閲覧)

◆ ジャン・ベロー / Jean Béraud [1849-1935]
 Jean Béraud The Belle Époque: A Dream of Times Gone by (Patrick Offenstadt)/ Wildenstein Plattner Institutes (2020年4月19日閲覧)

◆ ジョルジュ・スーラ / Georges Seurat [1859-1891]
 Seurat : L’œuvre peint, Biographie et Catalogue Critique (Henri Dorra and John Rewald)/ Wildenstein Plattner Institutes (2020年4月19日閲覧)

◆ ポール・セリュジエ / Paul Sérusier [1864-1927]
 Le comité Paul Sérusier / www.comite-serusier.com(2020年3月9日閲覧)

◆ エドゥアール・ヴュイヤール / Édouard Vuillard [1868-1940]
 Vuillard: The Inexhaustible Glance : Catalogue Raisonné of Paintings and Pastels (Antoine Salomon and Guy Cogeval with Mathias Chivot)/ Wildenstein Plattner Institutes (2020年4月19日閲覧)




【絵画】 『ロッテルダム、蒸気』 ポール・シニャック 1906年

2015-02-24 21:18:40 | 資料
(図版1)

artmight.com  *実物は全体的にもっと薄い色彩で構成されています。(参考:Google Arts&Culture

[タイトル]     ロッテルダム、蒸気
          (仏) / Rotterdam, Les fumées
          (英) / Steamboats, Rotterdam
[作者]       ポール・シニャック / Paul SIGNAC [1863-1935, フランス]
[年代]       1906年
[技法・材質]    油彩・カンヴァス
[サイズ(cm)]   73.0×92.0
[作品番号]     Cachin 436
[所蔵]        島根県立美術館 [島根・松江]
[見た場所]     「新印象派―光と色のドラマ Neo-Impressionism, from Light to Color」@あべのハルカス美術館 (2014.10) / @東京都美術館 (2015.2)


 2014年10月、大阪・あべのハルカス美術館。「新印象派 光と色のドラマ」にこの作品が展示されていた。以前から一度みてみたかったもの。ただ、実物を目の当たりにして、いきなり目に飛び込んくる「躍動感」に、ゾクッとした。


 グワッと、鮮やかさが迫ってくる。ここまで「動き」のある”シニャック”をこれまで見たことがない。上記の画像データでは、全体的にブルーが濃く出てしまっている。。しかし、実物の色彩は、もう少し薄いブルーで構成されていて、白い蒸気の”もくもく”感が、よりよく伝わる。


 点描といえば、シニャックの親しい友人で点描画の開拓者、ジョルジュ・スーラがまず思い浮かぶ。彼の点描作品は、時間が止まって見える。そういった印象が強い。まだ、幅広く作品を見ることができたわけでなはないが、シニャックの作品もその「止まった」傾向の作品が少なからずあるように思う。


 それらの点描作品は、パレットでなく、見る人間の目で色彩が混ざり合う。対象物を「点」で描き、補色を用いて色彩の調和を図ろうとすればするほど、科学的に計算された、静的な雰囲気を持つ。そんな印象を受ける。


 それが、画期的で魅力的な試みなことであることは周知の事実。しかし、たとえば、カミーユ・ピサロが新印象派から距離多く一つの理由になったのは、そういった静的で、感情がなくなってしまい、どこかレアリスムのような雰囲気があるからではないかとと思われる。


 しかし、この≪ロッテルダム、蒸気≫は、間違いなく「動いている」。


 1891年に、スーラが亡くなって、15年。シニャックの点描は、従来のイメージをやや変えるものに変化しているといえるのかもしれない。「点」に太さを持たせ、水面の波、蒸気の煙を通じて、「動き」を表現している。それが、全体を通じて、ロッテルダムの街を活気づかせている。≪ロッテルダム、蒸気≫には、情景がある。たくさんの”蒸気”を通じて、本来描かれていない人々の営みが見えてくるようだ。


 ここまで大きな動きのあるものは非常に珍しいのかもしれない。シニャックの姿勢がそうさせたのか、ロッテルダムという街がそうさせたのか。≪ロッテルダム、蒸気≫が示すものは、スーラからひとつ点描 (DIVISIONISM, POINITISM) を発展させた姿のひとつと言えるのかもしれない。


 シニャックの油彩作品総目録[1](モノクロ図版)で確認する限り、1900年付近から、シニャックは蒸気を描くようになり、部分的に興味があった様にはうかがえる。それらの実物にあたっていないので、はっきりとは言えないが、積極的に動きのある作品という印象はない。それにしても、なぜ、この≪ロッテルダム、蒸気≫で、いきなり「動き」が出てきたのだろう。
(図版2)
 [タイトル]     ウォータールー橋、曇り
           (仏) / Waterloo Bridge, temps gris
           (英) / Waterloo Bridge, Gray Day
 [作者]       クロード・モネ / Claude MONET [1840-1926, フランス]
 [年代]       1903年
 [技法・材質]    油彩・カンヴァス
 [サイズ(cm)]   65.1×100.0
 [作品番号]     Wildenstein 1569
 [所蔵]        ワシントン・ナショナルギャラリー [アメリカ合衆国・ワシントンDC]


© National Gallery of Art, Washington DC., Chester Dale Collection 
 
 1880年16歳のシニャックは、雑誌『ラ・ヴィ・モデルヌ』主催のクロード・モネの個展を見て、画家を志したといわれている。32年後の1912年。モネのヴェネツィア滞在期作の展覧会「ヴェネツィア」がベルネーム・ジュヌ画廊で開催された。それを見たシニャックはモネ自身に称賛する内容の書簡を送っている[3]こともよく知られている。そのことからも、シニャックの画業のスタートから、1912年までの32年間。モネの作品が、シニャックの興味の対象のひとつであり、決して小さな存在でなかったことは、あったことは想像できる。

 
 そのことから、この≪ロッテルダム、蒸気≫にしても、「川」と「橋」、船の「蒸気」、といったキーワードはモネが描いた、ロンドンのウォータールー橋、チャーリングクロス橋を連想させる。シニャックは、モネがテムズ川を描いた「ウォータール」、「チャーリング・クロス」といった連作を、どこかで見ていただろうか。


 モネがロンドンで制作した連作が公開されたのは1904年、ベルリンとパリ。特に知られているのはパリのデュラン=リュエル画廊で5月9日から6月4日まで開催された展覧会「Monet.Vues de la Tamise a Londres」[4]。現在、ワシントン・ナショナルギャラリーの≪ウォータールー橋、曇り≫もその時に発表された(No.12)。


 しかし、当時、シニャックはヴェネツィアに滞在しており、後日、モネのこれらの絵を見た直接・間接的な事実は見つからない。特徴的なものが似ていても、≪ロッテルダム、蒸気≫が、「モネの影響である」と言い切ってしまうには、画家の個性への敬意を欠いてしまう恐れも感じる。しっかりとした調査をするだけの能力や手段、資料もないので、ここでは推測もできない・・・。

 
 そのヴェネツィア滞在の2年後、1906年の4月から5月にかけて、シニャックはロッテルダムやアムステルダムを旅行して、油彩や水彩を描いた[1]。

Oude Haven en Maasbruggen 1939 そのタイトルにもあるように、描かれた場所はオランダ・ロッテルダム。左の写真は1939年のロッテルダム上空を写したもの。背景にアーチ橋が見える。これは、5連アーチになっていたマース橋(Maasbruggen)という鉄道橋であることから、シニャックは街を流れるマース川の蒸気船を描いていたということがわかる。描かれた具体的な場所は、特定されているのかわからない。 

 シニャックが描くマース橋を見ると、横に伸びる鉄道橋の直線の上にもう1本線が描かれている。橋桁を見ると明らかなように。実は、この後ろにもう1本(四角いピントラス構造の)橋があったことを示している。点描はある程度、実景をデフォルメしてしまうような印象を持っていたが、その中にあっても、シニャックは風景のディティールをしっかりカンヴァスに収めようとしていることがうかがえる。
Wikimedia Commons

 また、2本の橋のうち、アーチ状の鉄道橋はアーチの境目に橋げたを設置しており、≪ロッテルダム、蒸気≫では、やや薄目に描かれている。このことから、アーチ橋後ろにあったと推測できる。


 そのことから、少なくとも、マース橋の左側、シニャックは(写真)左上の方向から、マース川と橋を描いていたことが推測できる【*下記コメント、欄にてご指摘を頂きました、正しくは「右上」から。】。


 色彩、情景の魅力だけでなく、ヨーロッパの都市風景画を見るときの興味は、シニャックは実際どのあたりから描いたのだろうか?ということ。パリの場合、19世紀に都市計画による街並みの改造があり、それ以降大きく変化していない。日本とは異なりヨーロッパは、描かれた場所がそのまま残っている傾向が多いように思う。現在、ロッテルダムの街並みは、シニャックが見たものとはやや異なったものになっていると思われる。1940年5月10日に、ナチスによるロッテルダムの爆撃により、それらの街並みは失われてしまった。


 そういったことから、シニャックが描いた≪ロッテルダム、蒸気≫は、19世紀の産業革命以降、モネが描いたロンドンのように、ところどころで蒸気がゆらめくマース川を通じて、ロッテルダムが発展してゆく、当時の様子が感じ取れるひとつの資料といえるかもしれない。 


 ≪ロッテルダム、蒸気≫(図版1)を含めて、シニャックはロッテルダムの港の光景を場所を変えて、油彩で4枚描いている。2点は個人のコレクションになっているが、残り1枚の、一番大きい作品は、ロッテルダムのボイマンス美術館が所蔵している。

(図版3)
Paul Signac - The Port of Rotterdam - Google Art Project [タイトル]     ロッテルダムの港
            (仏) / Le port de Rotterdam
            (英) / The Port of Rotterdam
 [作者]       ポール・シニャック / Paul SIGNAC [1863-1935, フランス]
 [年代]       1907年
 [技法・材質]    油彩・カンヴァス
 [サイズ(cm)]   87.0×114.0
 [作品番号]     Cachin 448
 [所蔵]        ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館 [オランダ・ロッテルダム]

Wikimedia Commons 
 

 ≪ロッテルダム、蒸気≫(図版1)は長らくパリにあったが、島根県立美術館が、1997年に購入した。これだけのものが、国内の公立美術館が所蔵しているというのは素晴らしいことだと思う。2013年、フランスのジヴェルニー印象派美術館で開催された展覧会「Signac, les couleurs de l’eau / シニャック、水の色」に≪ロッテルダム、蒸気≫(図版1)が出品された。国内外に貸し出されている。


 ≪ロッテルダム、蒸気≫は、水辺に揺らめく蒸気船とその煙。その数の多さに、20世紀初頭のオランダ・ロッテルダムの街が生き生きと映し出されている。夕日が美しい水辺の美術館、島根県立美術館にふさわしいコレクション。今度は、いつか、島根で再会したい。


 * 現在、上野の東京都美術館で開催されている「新印象派-光と色のドラマ」展に出品されており、3月29日まで見ることができる。



 - 参考資料 -

[1] 『Signac: Catalogue raisonné de l'oeuvre peint』 Françoise Cachin, Gallimard, 2000 Cat.436,448 p10,11,135,136,276,281,376,377

 p374年表。1904年2.5-3.29までブリュッセルに滞在。Exiposition des peintres impressionnistes, a La Libre Esthetique de Bruxelles. Signac expose t toiles. 11月19日からパリに滞在。

[2] 『新印象派―光と色のドラマ Neo-Impressionism, from Light to Color』 あべのハルカス美術館、東京都美術館 2014-15年 p131 No.98

[3] 『クロード・モネ 視覚の饗宴 1940-1926』 カリン・ザーグナー TASCHEN 2010年 p184

    1912年、ヴェネツィア展を見たシニャックからモネへの手紙。

[4] 『Monet Catalogue Raisonne』Daniel Wildenstein, Wildenstein Institute, Koln, 1996 Vol.4 p1019

  巻末の展覧会リスト。


[5] France tv info. 「Signac, le pointillisme expliqué en trois (petits) points」[1 avril 2013] (2014年11月1日閲覧)


【絵画】 『林檎の木』  カミーユ・ピサロ 1896年

2014-09-19 21:24:17 | 資料
 
(図版1) 

WIKIART.org

[タイトル]    林檎の木
          (仏) / Femme et enfant dans un pre, Soleil Couchant, Eragny (La Pommes, Soleil Couchant, Eragny)
          (英) / Woman and child in the field, Sunset at Eragny (Apple Trees, Sunset, Eragny)      
[作者]      カミーユ・ピサロ / Camille PISSARRO [1830-1903]
[年代]      1896年
[技法・材質]   油彩・カンヴァス
[寸法(cm)]     81.5×66.0
[所蔵]      個人蔵
[備考]      RV 977, PDR 1132
[見た場所]   エミール・クラウスとベルギーの印象派@東京ステーションギャラリー (2013.7)

 
  ありふれたモチーフ、美しいグリーン 
 

 2013年7月、東京ステーションギャラリーの展覧会『エミール・クラウスとベルギーの印象派』で見た、とても立派なピサロの作品。1884年にピサロが移り住んだ北フランスのエラニー=シュル=エプトの風景を描いたもの。

  おそらく、この真ん中にあるのが、林檎の木。大きな人物は、手にカゴのようなものを持っており、子供か、妹か?の面倒を見ながら、何かしら仕事をしていた様子だろうか。林檎の木を中心に据えている構図だが、人物がこちらを向いているので、林檎の木と一緒に撮った写真のような雰囲気もある。


 実物は、とても細かく筆を重ねていて、林檎の木が青々としている。ピサロは1885年以降の点描期を過ぎて、細かい筆致ながら、やや印象主義的な温かみのある筆遣いに緩やかに変化していった傾向がある。この≪林檎の木≫も、光の当たり加減、木の種類などで、グリーンが多彩に変化する。それが、81.5×66センチメートルの決して小さくないカンヴァスに、敷き詰められていて、重層感があった。赤レンガの東京ステーションギャラリー(『エミール・クラウスとベルギーの印象派』)の暗めな展示室からライトを当てていることで、額の立派さが引き立った面も多少あるかもしれない。しかし、何気ない木々の風景なのに、品のような美しさを感じたのは、単にそのせいだけではない。
  
  ふたつのタイトル、ふたつの視点 
 


 この絵には2つのタイトルがある。一つは≪林檎の木≫、もう一つは英題の≪草原の女性と子ども、エラニーの夕暮れ≫というもの。


 『エミール・クラウスとベルギーの印象派』展のカタログに記載された≪林檎の木≫の英題表記は《Woman and child in the field. Sunset at Erany≫だった。実際に見た時には、その色合いから、あまり夕暮れの印象は感じられなかった。私の場合、英題を見て、はじめて夕暮れの光景だとわかった。

 ただ、図版をよく見ると、2人の人物や木の影が長く伸びているところから、太陽が低い位置にあることが想像でき、日没に近い時間帯であることがわかる。比較的新しい、2005年のヨアキム・ピサロ&スノレールの研究[2]では、林檎の木よりも、風景全体をとらえた表題の記載になっている。『エミール・クラウスとベルギーの印象派』展の英題も、これを基準にしているのだろう。


 しかし、林檎の木のことをよく知っている専門家やピサロ作品をよく見ている人以外は、なかなかこれが「林檎の木」であることは認識しづらい。当時の私も、そのような理由から、なぜ、≪林檎の木≫というタイトルになったのかが気になった。


 1939年のL・ピサロ&ヴェントゥーリの研究[1]時点での、元々のタイトルは≪林檎の木、エラニー、夕暮れ / La Pommes, Soleil Couchant, Eragny≫と両方の視点が併記されていた[1]


 ただ、何より、ピサロの構図が、カンヴァスの中央に林檎の木を捉えている。日本語のタイトルは≪林檎の木≫は、おそらく、ここからつけられたのかもしれない。


 描かれた構図でみるのか、風景全体をみるのか。見る人によって、その印象は変化するかもしれない。青々としたリンゴの木、いくつかのグリーンで描かれる夕暮れの光景。その両方ともこの作品の魅力になっている。 
  
  ピサロの自信作? 
 


 ≪林檎の木≫が描かれたは1896年、ピサロは、1~3月、6月にも短期間、9~11月と、この年のほとんどをフランス西部の都市・ルーアンに滞在している。ルーアンでは晩年の都市風景画の連作の先駆けとなる作品群を描いていたことはよく知られている。


 そのなかで、≪林檎の木≫、ピサロが8月の夏の間のエラニーに滞在したときに、描かれたものだと思われる。絵画の中の親子の服装や林檎の木の葉が青々としていること、9月にはデュラン=リュエルに買い取られたエラニーを描いた4枚の油彩画のうちの1枚であることがわかっている[2][3]


 また、ピサロはリュシアン宛(1896年9月2日)の手紙で、[3]「そのうちの3つはルーアンを描いたものよりも良い」[3]と述べていて、この時期のエラニーの描いた作品には、画家自身、ある程度の自信を持っていたことがうかがえる。実物の仕上がりから見ても、ピサロが言及した「3枚」の中に、≪林檎の木≫を含んでいる可能性が高い。


 1896年はピサロにとってルーアンの年だった。 4月26日にはルーアンの作品に関する話題の中で、リュシアン宛の手紙で「私は新印象主義から完全に解放されたのだ![2]と明確に述べている。この≪林檎の木≫も、そのような背景から、新印象主義からの自分の画風を取り戻したピサロの自信を感じることができるかもしれない。


 実際の作品も、筆致は細かいものの、印象派らしい優しさ、温かみのようなものを私は感じる。まだ、「傑作」という言葉を使えるほど、多くの作品に当たって比較わけではないが、ピサロが印象派を超えた画風として新印象派を模索し、その中で10年近く続いた悩みや障害を乗り越えた、画家の農村風景画のひとつの収穫がこの絵にはあるように感じられた。
  
  なかなかお目にかかれない 
 


 ≪林檎の木≫は、国内のピサロや印象派関連の展覧会カタログでは、見たことがない。展示された記録をさかのぼると、1896年から、1915年にミネアポリス美術館、1967年にフィルブルック美術館、1988年にニューヨーク、サザビーズと、アメリカで展示された。日本では、2010年にサントリーミュージアム[天保山]で開催された『印象派とモダンアート』展。2012年の『カミーユ・ピサロと印象派、永遠の近代』(ただし、兵庫県立美術館のみ、「特別出品」のため、カタログには掲載されていない)。2013年の『エミール・クラウスとベルギーの印象派』展。

 2013年時点で、プライベート・コレクションになっている。おそらく日本にあるものだと思われるが、もう、なかなかお目にかかれない作品かもしれない。多彩なグリーンで、美しく青々とした林檎の木。もうすこし先の未来で、また再会したい。

 
- 参考資料 -

[1] 『Camille Pissarro son Art- son Oeuvre: A Catalogue Raisonne』
    Ludovic Rodo Pissarro / Lionello Venturi, Alan Wofsy Fine Arts, 1989 
No.977 「La Pommes, Soleil Couchant, Eragny」

[2] 『Pissarro: Critical Catalogue of Paintings』
    Joachim Pissarro / Claire Durand-Ruel Snollaerts,  Skira / Wildenstein, 2005 [Vol.3] p714,715
    No.1132 「Femme et enfant dans un pre, Soleil Couchant, Eragny」

[3] 『Camille Pissarro : letters to his son Lucien』 Camille Pissarro; John Rewald; Lionel Abel; Lucien Pissarro, New York : Pantheon Books 1943 p287,288,p293,294

 ピサロは息子リュシアンに宛てた1896年4月25日の手紙では、ルーアンに関する作品の話題の中で「I am completely liberated from neoimpressionism!」とはっきりと述べている。

 また、同年9月2日に手紙では、その一部に、画家が≪林檎の木≫を含むと思われる4点の作品に言及している。

 
 My dear Lucien,

 I am preparing to go to Rouen, providing, that is, that Durand-Ruel grants me the necessary funds. I am very anxious to know whether he will want to take the four pictures of Eragny, three of which seem to me better than the Rouen paintings. It is true that the motifs are of green trees and that the general tone is rather grave and restrained, and the collectors don't like anything with a grave note.   [PARIS, SEPTEMBER 2, 1896]


 リュシアンへ。

 私は、ルーアンに行く準備をしているよ。必要な資金を提供をしてくれることを、デュラン=リュエルは承諾してくれている。
エラニーを描いた4枚の絵を、彼が購入してくれるかどうか、私はとても心配なんだ。そのうちの3つはルーアンを描いたものよりも良いものだと思うんだ。しかし、モチーフは緑の木でありふれた色調なんだ。そのことは、かなり重大で、抑制的なんだけど、実際、コレクターはたちはこの重大な特徴について、何一つ好まないんだよ。 [1896年、9月2日、パリ]


  *いろいろ悩みながら訳しては見ましたが、恥ずかしながら、文法・単語の選択など、かなり怪しいレベルの英訳に仕上がっております。その点ご留意を、または、ご指摘をいただければと思います。

[4] 『エミール・クラウスとベルギーの印象派』 東京ステーションギャラリー、ほか 2013年 p92 No.40 「林檎の木」
 

【絵画】 『ブラン氏の肖像』 エドゥアール・マネ, 1879年頃

2014-08-02 08:26:25 | 資料
 
(図版1) 
Édouard Manet - Portrait of Monsieur Brun - Google Art Project
Wikimedia Commons (Google Art Project)

[タイトル]   ブラン氏の肖像
         (仏)/ Portrait de Monsieur Brun
        (英)/ Portrait of Monsieur Brun
[作者]     エドゥアール・マネ /Edouard MANET [1832-1883]
[年代]     1879年
[技法・材質]  油彩・カンヴァス
[寸法(cm)]   194.3×126.0
[所蔵]     国立西洋美術館 [東京・上野]
[備考]     旧松方コレクション、Rouart/Wildenstein 326、Edgar Degas
[見た場所]   「モネ、風景をみる眼―19世紀フランス風景画の革新」(参考出品)
         @国立西洋美術館 (2013.12, 2014.1, 2014.3)
         国立西洋美術館・常設展 (2014.5, 2014.7)


 2013年12月。やっと出会えた。1年前の2012年の12月、国立西洋美術館の常設展にあるはずのこの作品は、そこになかった。翌年の4月の常設展にもなかった。2013年に開催されたマネの海外巡回展「Manet: Portraying Life」(*)のため海外に貸し出し中だと分かったのはもう少し後のこと。国立西洋美術館の《ブラン氏の肖像》、ブリヂストン美術館の《自画像》、2013年の前半は、何故か、マネは見れない。そんな感覚があった。

 2013年末、国立西洋美術館の展覧会「モネ、風景をみる眼」で「参考出品」という形で展示されていて、初めて見ることができた。

 
 この絵の第一印象は、想像以上に、大きい。。その表情は「かっこいい」のだろうか?「かわいい」のだろうか?。それとも、「おもしろい」のだろうか?マネが描くブラン氏の表情は、見る人によってその印象が変わるのかもしれない。私の中では、ちょっとお茶目に見えて、それでも、どこか威厳を保とうと、背伸びしているおじさん。そんな風に見える。思わす笑ってしまいそうになる。どこか憎めない(憎む必要はないのだが・・・)、愛着を感じる。


 マネは印象派の画家たちに慕われながらも、印象派展には出品しなかったことから、印象派グループの画家とはみなされていない。しかし、この作品では、背景の描写を見ると、木の葉や道にさす光の捉え方は、まさにクロード・モネのような印象主義的なものになっている。
 
(図版2)
Manet Emilie Ambre as Carmen [タイトル]   カルメンに扮したエミリー・アンブルの肖像
         (仏)/ Portrail d'Emilie Ambre dans le rôle de Carmen
         (英)/ Portrait of Emilie Ambre in role of Carmen (Portrait of Émilie Ambre as Carmen)
 [作者]     エドゥアール・マネ / Edouard MANET [1832-1883]
 [年代]     1880年
 [技法・材質]  油彩・カンヴァス
 [寸法(cm)]    92.4×73.5
 [所蔵]     フィラデルフィア美術館
         [アメリカ合衆国・ペンシルベニア州・フィラデルフィア]
 [備考]     Rouart/Wildenstein 334


 《ブラン氏の肖像》(図版1)が描かれた背景は、国立西洋美術館の「作品解説」のとおり。療養中のパリ郊外のベルビューに滞在した。そこで知り合ったとされるオペラ歌手のエミリー・アンブル。モデルのアルマン・ブラン氏は彼女の友人であったことからマネと知り合ったようだ。


Wikimedia Commons 

 
 《ブラン氏の肖像》は、エドガー・ドガが生涯所有していた。よくこんなに大きな絵を買ったものだなぁと。ドガの死後、1918年3月に「第1回売り立て」(No.78)があり、ジョルジュ・プティ画廊が31000フランで購入[2]。1923年には松方幸次郎が、デンマーク人コレクターのウィルヘルム・ハンセンのコレクションを買い取った。モネ7点のほか、コロー、ピサロ、ドガ、など約30点[4]の中に、マネの《ブラン氏の肖像》もあり、この絵には80,000フランという価格がついていたという[2]。


 そして、最近、国立西洋美術館でこの絵を見てふと気づいたのだが、《ブラン氏の肖像》の額の下のほうには、「EDOUARD MANET」の文字とともに、「65」の数字が打ちつけられていた。これが何を意味する数字なのか?いまとても気になっている。この額がいつこの絵にかけられたのか?にも通ずるところでもある。国立西洋美術館の作品紹介のページの文献歴に「Madsen, Karl. Malerisamlingen Ordrupgaard: Wilhelm Hansens Samling: Malerier, Akvareller, Pasteller, Tegninger af franske Kunstnere, Copenhagen, 1918, p. 28, no. 65.」という記載がある。おそらく、カール・マドセンという人が1918年にハンセンのコレクションをまとめた書籍だと考えられる。ハンセンはNo.61からNo.69までの9点のマネを所蔵していたことがわかる。残念ながら図版はなかったが、その65番目に《ブラン氏の肖像》の表記がある[8]。ひとつの想像としては、松方幸次郎の前の所有者のウィルヘルム・ハンセンが自身のコレクションに作品番号を振っていた可能性もあるだろうか。


 以前、この絵の歴史をさかのぼるうちに知ったことだが、国立西洋美術館の作品解説で指摘されている通り、《ブラン氏の肖像》(図版1)はブラン氏の手に渡らなかったという。なぜだろうと不思議に思っていたが、最近その意味がようやく分かった。モデルのブラン氏のために、小さな作品を別に描いていた。

 
(図版3)
Édouard manet - Portrait de Monsieur Brun. [タイトル]    ブラン氏の肖像
          (仏)/ Portrait de Monsieur Brun
          (英)/ Portrait of Monsieur Brun
 [作者]     エドゥアール・マネ / Edouard MANET [1832-1883]
 [年代]     1880年
 [技法・材質]  油彩・カンヴァス
 [寸法(cm)]   55.0×35.5
 [所蔵]     個人蔵
 [備考]     Rouart/Wildenstein 327 、Sotheby's (New York, 2011.05.03)
 [出典]     Wikimedia Commons

 2011年5月、ロンドンのサザビーズで開催された「IMPRESSIONIST & MODERN ART EVENING SALE」で540万2500ドル(約4億3460万円:*2011年5月平均、1ドル81円計算)という値がついたもう1枚の《ブラン氏の肖像》(図版3)。大きさは数字上では、縦が半分、横が3分の1くらいに小さくなった作品。同じように見えるが、印象はちがう。小さいほうの《ブラン氏の肖像》(図版3)は大きいほう(図版1)と比べて、若干、横幅があるせいか貫録・威厳が出て、やや落ち着いた印象を受ける。

 余談だが、サザビーズの「Catalogue Note」の参考図版に国立西洋美術館の《ブラン氏の肖像》(図版1)が掲載されているが、所蔵先が「ブリヂストン美術館、東京」となっている。1975年に出版されたマネのカタログ・レゾネを参照したと思われる。国立西洋美術館の作品ページによると、《ブラン氏の肖像》(図版1)は、1953年からブリヂストン美術館に寄託されていて、1984年に松方幸次郎氏の遺族によって、国立西洋美術館に寄贈された。

 

 なぜ、2枚描かれたのだろうという興味がわく。ひとつ考えられるのは、 個人のために、マネが194.3×126.0の《ブラン氏の肖像》(図版1)の大きさを絵を描いたというのは少し引っかかる。ブラン氏の友人を描いた《カルメンに扮したエミリー・アンブルの肖像》(図版2)にしても92.4×73.5と1メートルに満たない。

 想像にすぎないが、もしかしたら、マネは、もっと大きな場所へ展示を考えていたのではないか。たとえば、サロンとか。


 ただ、サザビーズの解説の指摘のほうが現実的かもしれない。マネの肖像画は目に見える姿ではなく、モデルの特徴を描くことに特化している印象がたしかにある。(モデルを喜ばせるの要素を考慮しない)率直な表現手法で、等身大以上の大きさで”バーン”と描かれてしまったとすると・・・。モデルのブラン氏に気に入られなかったということも想像できる。


 さらに、2010年に三菱一号館美術館で開催された展覧会『マネとモダンパリ』のカタログの指摘にある「サインがない」ということから未完の作品ではないかという可能性も興味深い。

 
 少なくとも、マネの死後までアトリエにあったものであることからも、国立西洋美術館の《ブラン氏の肖像》(図版1)のほうが、マネが見た率直なブラン氏が描かれているといえるかもしれない。


 - 参考資料 -

[1] 『マネの生涯』 アンリ・ペリュショ 講談社 1983 p268-369

[2] 『巴里・印象派・日本 - ”開拓者”たちの真実』 吉川節子 日本経済新聞社 p194-201

[3] 『国立西洋美術館公式ガイドブック』 淡交社 2009 p33

[4] 『幻の美術館 甦る松方コレクション』石田修大 丸善ライブラリー 1996 p79

[5] 『フランス絵画の19世紀』 島根県立美術館、横浜美術館 2009 No.60 「カルメンに扮したエミリーアンブルの肖像」p156,157

[6] 『マネとモダン・パリ』 三菱一号館美術館 2010 No.96 p218,219

[7] 『Edouard Manet Catalogue Raisonne』 Denis Rouart/ Daniel Wildenstein
    La Bibliotheque des Arts, 1975 No.326,327,334 p254,255,258,259

[8] 『Wilhelm Hansens Samling: Malerier, Akvareller, Pasteller, Tegninger af franske Kunstnere』Madsen, Karl. Malerisamlingen Ordrupgaard:, Copenhagen, 1918, p. 28, no. 65



 - 「Manet: Portraying Life」(*) -

   2012.9.13-2013.1.13 Toledo Museum of Art , Ohio
   2013.1.26-2013.4.14 Royal Academy of Arts , London

 2012年から2013年にかけて開催された、マネの人物画の展覧会「Manet: Portraying Life」。アメリカ合衆国・オハイオ州のトリード美術館とロンドンのロイヤルアカデミー・オブ・アーツを巡回。

 有名な作品がこぞって出品された。それ以外で、この記事や日本に関係があるところだと、《カルメンに扮したエミリーアンブルの肖像》(図版2)やブリヂストン美術館の《自画像》[1878-79年頃]そして、国立西洋美術館の《ブラン氏の肖像》が出品。日本にも巡回してほしかった・・・。


◆ 《Toledo museum lone U.S. host for exhibit of Manet’s portraits》 (Columbus Dispatch, 2012.10.14)

 トリード美術館があるオハイオ州の地元紙「コロンバス・ディスパッチ」に掲載された展覧会の記事。《ブラン氏の肖像》の写真がトップでバシッと載っている。左にあるのは《クレマンソーの肖像》というのもすごい。記事の左の「View Slideshow」から展示風景を見ることができる。《ブラン氏の肖像》は2枚も。他の作品が権利の関係で写真撮影がNGだった?なんてことでなければ、ブラン氏はオハイオの人にちょっと愛されていた?

◆《Manet: Portraying Life – review》 (The Guardian, 2013.1.21)

 ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツを見たガーディアン紙の記事。《ブラン氏》の顔を「blancmange-faced」と表現しているのが面白い。なるほど。

【絵画】 『エプト河の釣人たち』  クロード・モネ 1887年

2014-04-13 08:47:23 | 資料
 


WIKIART.org

[タイトル]   エプト河の釣人たち
          (仏)/ Pecheuse a la ligne au bord de l'Epte
          (英)/ Anglers on the Bank of the Epte (Woman fishing on the banks of the river Epte)

[作者]     クロード・モネ/ Claude MONET [1840-1926]
[年代]     1887年
[技法・材質]  油彩・カンヴァス
[寸法(cm)]   81.0×100.0
[所蔵]     個人蔵 [国立西洋美術館へ寄託]
[備考]     Wildenstein 1134
[見た場所]   国立西洋美術館・常設展 (2013.4, 2014.5)
          「モネ、風景を見る眼-19世紀フランス風景画の革新」[No.58]
          @ポーラ美術館 (2013.8)、@国立西洋美術館 (2013.12, 2014.1, 2014.3) 


 
  背景の色彩、水面による反射 
 


 モネが1887年に描いたとされる自宅があったジヴェルニーのエプト川のほとりを描いた作品。のどかな情景。

 2013-14年にかけて開催された「モネ、風景を見る眼」展で久しぶりにこの絵を見たとき、「あれ、こんなかんじだったけ?」と。水面や背景の空がピンクの色彩にはじめて気づいた。以前、常設展で見たときは壁が白だったせいで、ほとんど印象に残っていなかった。企画展ということで、やや暗い館内のなかで、作品に照明を当てていること、作品が架かる壁が水色だったこと、作品が持つ色彩を際立たせたのかもしれない。


 描かれた時間帯が正確にはわからないが、このピンク色から、おそらく、これから夕暮れではないかと想像する。


 正面を見ると、岸辺に茂る青々とした草。その力強い線に生命力を感じる。また、釣竿は、優美で繊細な1本の線で描かれている。釣りをしているのは、モネの娘のシュザンヌ・オシュデ[1864-1899]だと考えられている[3][4]。全体的に、とてもさわやかな印象を受ける。

 
 画家は≪ボート遊び≫を描いたもの、≪ポプラ≫、≪睡蓮≫などの連作で、”水面による反射”や”水の中の世界”に興味を持つようになってゆく。それらが描かれていない1887年の段階で、≪エプト河の釣り人たち≫のはこれらの兆候のはじまりに位置づけられる作品なのかもしれない。

 
  1889年という年記について 
 


 この画像データは若干上下がトリミングされている。実際の絵の右下には、署名と年記がなされている。展示によると、描かれた年は1887年とされているが、なぜか、実際の作品には「Claude Monet 89」と記載されていた[1]

 1889年に描かれたのか?。気になって、後日その理由を調べてみると・・・、どうも、この絵が描かれたときは年記がされてなかったようなのだ。


 ダニエル・ウィルデンシュタインのカタログによると。1920年に、モネが正確な日付を覚えていない中で、「89」と付け加えられたとある。≪エプト河の釣り人たち≫は同年に、ベルネームジュヌ画廊とデュラン=リュエル画廊が共同購入している[4]。これは憶測だが、その際に記入を求められたのかもしれない。


 そして、現在、1887年制作と考えられているのは、とてもわかりやすい手がかりがあったからだろう。『大回顧展モネ 印象派の巨匠、その遺産』展のカタログでは、シュザンヌの服装がひとつの決め手になっているという指摘があった[3]。≪ジヴェルニーの林、イーゼルに向かうブランシュ・オシュデと本を読む シュザンヌ・オシュデ≫[1887年 ロサンゼルス・カウンティ美術館]やジュサンヌの全身像を描いた≪散歩する人≫[1887年 メトロポリタン美術館]で描かれたものと同様の服装であることがわかる。

 
(図版2)
Monet The stroller (Suzanne Hoschede) [タイトル]  散歩
          (仏)/ La Promeneuse
          (英)/ Taking a Walk (Suzanne Hoschede, The stroller)
 [作者]    クロード・モネ/ Claude MONET [1840-1926]
 [年代]    1887年
 [技法・材質] 油彩・カンヴァス
 [寸法(cm)]   100.0×70.0
 [所蔵]    メトロポリタン美術館 [アメリカ合衆国・ニューヨーク]
 [備考]    Wildenstein 1133   

 Wikimedia Commons
 
 


 モネは1887年にジヴェルニーの自宅付近で、彼の子供たちや、ジヴェルニーの自宅近くのエプト川とポプラの木をモチーフにした風景画をいくつも描いている。また、背景の(おそらくポプラの)木の葉が青々としている時期などからも、1887年にモネが娘たちを描いた作品群と同じ時期の作品として、分類できるのかもしれない。

 
  パリ講和会議 
 



 ≪エプト河の釣人たち≫は、年記がされた1920年のうちに日本人の松井慶四郎[1868-1946]という人物が購入している[2][3]。松井は当時(1915年から)在フランス日本大使を務めていた外交官で、前年の1919年には第一次世界大戦の戦後処理として、パリ講和会議に日本の全権大使として出席した。松井は≪エプト河の釣人たち≫を購入した1920年に男爵の称号を得ており、ウィルデンシュタインのカタログには「Baron Matsui」の名で記載されている[3]

 パリ講和会議には、松井の上席にあたる日本の首席全権大使として西園寺公望[1849-1940]が出席している。西園寺のパリ留学時代の親友で、当時のフランスの首相はジョルジュ・クレマンソー[1841-1929]も出席している。クレマンソーは、モネ晩年期の友人で、≪睡蓮≫の作品群をオランジュリー美術館へと、オーダーした人物としても知られている。

 実際に彼らが親しい間柄だったのかどうかはわからない。ただ、歴史の表舞台にいた人物たちの会話の中に、「モネ」という名前が聞こえてきそうで興味深い。松井は、どのようなきっかけでモネに興味を持ったのだろう。≪エプト河の釣人たち≫は、1919年のパリ講和会議後に購入された。

 
  日本へ。寄託作品であること 
 


 
 その後、≪エプト河の釣人たち≫は、明治から昭和にかけての実業家、今村繁三[1877-1956]のコレクションに入っている[2]。今村にとって、松井は叔母の夫にあたる。現在は別の個人の所有物で、1967年から国立西洋美術館に寄託展示されている。


 記録上、もう30年以上国立西洋美術館に所蔵されていることになっている。ただあくまで、個人の寄託作品なので、今後も常設展示される保証はない。そう思うと、いつもこの≪エプト河の釣人たち≫と≪柳≫を前にすると、その情景に目を奪われながらも。いつも、「また、会えますように」という気持ちになる。


 

- 参考資料 -

[1] 『モネ、風景を見る眼-19世紀フランス風景画の革新』 ポーラ美術館、国立西洋美術館 2013-2014 No.58 p109-111

[2] 『西洋絵画の到来 -日本人を魅了したモネ、ルノワール、セザンヌなど-』 宮崎克己 日本経済新聞出版社 2007 p294

   ≪エプト河の釣人たち≫の購入者は駐仏大使の松井慶四郎であることがわかる記載がある。

[3] 『大回顧展モネ 印象派の巨匠、その遺産』 国立新美術館 2007 No.41 p95

  釣りをしている人物はその服装からジュザンヌ・オシュデであると指摘。

[4] 『Monet Catalogue Raisonne』Daniel Wildenstein, Wildenstein Institute, Koln, 1996 Voi.3 No.1133,1134 p429,430

  「1889年」という年記に関する経緯が記載されている。

[5] 『世界の印象派 光の讃美』 松坂屋美術館 1991 No.14  





【展覧会】[2回目] カイユボット展 ― 都市の印象派 @ブリヂストン美術館

2014-01-13 07:26:56 | 資料


 11月。用事のついでに、10月に続き2度目のカイユボット展。展示作品の多くはプライベートコレクション。この先、お目にかかれなそうなものがほとんどだと思うので、もう1度見ておこうと、足を運んだ。


 
 Ⅱ 室内、肖像画
 



4. 『ピアノを弾く若い男』1876年 石橋財団ブリヂストン美術館 (1876年 第2回印象派展)

 床(カーペット)と壁の装飾まで丁寧に描かれている。また、ピアノに反射する柱など、光の反射も丁寧に描かれている。たぶん、自分の気づかないところ、細部までこだわって描かれているように感じる。


14.『室内-窓辺の女性』1880年 個人蔵 (1880年 第5回印象派展)

 窓辺に立っている女性の黒い服装。これは『印象派美術館』という書籍に図版があって知っていた。ほぼ無意識的に、女性の服装は全身が「黒」だと思っていた。しかし、実際は、スカートがやや暗く緑がかった色になっている。実物を見なければ、わからないこと。特に色彩に関することは、興味深い。

 カイユボットの作品は、どうしても、エドゥアール・マネに重ねてしまう部分がある。カイユボットが意識してたというよりも、お金には困らないブルジョアの人なりの視点=孤独・空虚感=現代性のようなもの。


 
 Ⅲ 近代都市パリの風景
 



24.『パリの通り、雨』1877年 マルモッタン・モネ美術館、パリ

 シカゴ美術館所蔵の≪パリの通り、雨≫の習作。人物の表情が描かれない印象主義的な都市風景画もとてもいい。
 


31.『イタリアン大通り』1880年頃 個人蔵

 クロード・モネの《キャプシーヌ大通り》[1873年 エルミタージュ美術館]を彷彿とさせる。1877年頃の写真的構図とは異なり、様々な部分が省かれている。


 
 Ⅳ イエール、ノルマンディ、プティ・ジュヌヴィリエ
 


36.『シルクハットの漕ぎ手』1877年頃 個人蔵(1877年 第4回印象派展)

 ドキュメンタリーや映画のような映像視点が面白い。



44.『樹木に横たわるマグロワール親父』 1884年 アソシアシオン・デ・ザミ・デュ・プティ・パレ、ジュネーヴ 

 
 木漏れ日が地面の草に当たっているのだが、肌色よりかなりピンクに近い、独特の色彩が飛び込んできた。あとで図録で確認したが、この色は再現されていなかった。色彩の正確な再現は、印刷物ではなかなか難しいのだろう。絵画の色彩は生きているのだなと実感させられる。草に射す光をピンクで、影を紫で表現しているところが特徴的。


49.『ジュヌヴァリエの平原、黄色い畑』1884年 ナショナルギャラリー・オブ・ヴィクトリア、メルボルン

 カラフルな草原。こういう色彩の光景を実際に見たらきっとそこにいたくなるだろうなぁ。カイユボットはこういった草原の光景をこの時期、何点か描いている。


58.『セーヌ川に係留されたボート』 1892年 個人蔵

 空模様と水面。モネよりも繊細な印象主義。


 
 Ⅴ 静物画
 



62.『雛菊の花壇』1892-93年頃 個人蔵


 4枚のうち2枚は花に塗り残しが見られる。おそらく、4枚をひとつの作品として同時進行で描いていた未完成作品だと思われる。面白い作品。ジャポニスムか、アールヌーヴォーか、晩年は植物を使った装飾画も描いている。


 
 全体の感想
 
 
 11月は、前回よりもやや混み合っていた。だが、見づらい環境ではなかった。「カイユボット展」は第一印象とは別の表情・印象もあって楽しいものだった。2度見ると、作品のディティールまで目が届くようになり、気づくことが多かった。特に、光の反射の効果をどのような色彩で表現しているのか。その色彩のバリエーションがとても面白かった。そして、動きの中で、時を止めたような視点、個人が孤立して見えた。

 ”眼”という言葉。国立西洋美術館では、展覧会「モネ 風景を見る眼」が開催されている。クロード・モネは自然を愛し、光を視覚的に表現する”眼”。カミーユ・ピサロは、近代化の影を見つめ、自らの理想を追い求める”眼”。オーギュスト・ルノワールは色彩を通じて対象をより楽しく、美しい部分を引き出す”眼”。

 カイユボットはどんな”眼”を持っていたのだろうとふと思う。エドゥアール・マネが時代を写す鏡としての”眼”であるとすれば、カイユボットは近代化に伴う、新しいものに興味を持って、時代を先取りする”眼”なのかもしれない。



 [展覧会] カイユボット展 ― 都市の印象派
 [場所]  ブリヂストン美術館 [東京・八重洲]
 [期間]  2013年10月10日(木)~2013年12月29日(日)
 [入館料]  1,500円(一般)
 [備考]  ブリヂストン美術館 カイユボット展ブログ


【展覧会】 カイユボット展 ― 都市の印象派 @ブリヂストン美術館

2013-11-16 09:15:39 | 資料


 丸の内の三菱一号館美術館のあとは徒歩で八重洲方面へ。ブリヂストン美術館のカイユボット展。2月に訪れた際に、カイユボット展が開催されると知って以来、この半年で、書籍の中のカイユボットの記述を少し気にするようになった。また、直前に、BS朝日の『世界の名画 ~美の迷宮への旅~ もうひとりの印象派 カイユボット「床の鉋かけ」』を見たことで、カイユボットの作品とその生涯のおおまかなイメージが持てた。

 ギュスターヴ・カイユボット[1848-1894]。印象派の中で、印象派展開催に関する調整や資金援助、仲間の経済的な援助に尽力した。自身の印象派コレクションを国立美術館への寄贈させる旨の遺言の残したことで、印象派の価値を高め、オルセー美術館のコレクションの基礎を築いた人物として知られている。だが、一般的に知られている以上に、画家として詳しいことはよく知らないので、とても興味深い展覧会。

 美術館の入り口を入り、コインロッカーに向かう途中に、ミュージアムショップを通る。展覧会のカタログが積まれていた。かなり、分厚く、魅力的にうつる。そして、エレベーターで2階の展示室へ。

 
  
 Ⅰ 自画像
 


 まず、いきなり、部屋に入ると遠目で、本で見たことのある《自画像》が見えて、引きこまれる。まるで自己紹介のよう。


 2.『自画像』  1889年頃 個人蔵 

 3.『画家の肖像』 1889年頃 オルセー美術館、パリ


 カイユボットの有名な自画像。オルセーから来ている。2と比べると少し老けている。2枚とも同じ1889年頃の作品というのが、どこか不思議。また、画家は45歳で亡くなっているが、それ以上の年齢に見える。ルノワールが晩年のベルト・モリゾを描いた《ベルト・モリゾおよび彼女の娘ジュリー》[1894年 個人蔵]や、ルノワールの自画像もそうだが、この時期の人って老化が速い?

 



 
 Ⅱ 室内、肖像画
 



 5.『昼食』 1876年 個人蔵 (1876年、第2回印象派展出品)

 ガラス(クリスタル?)製品の光沢が印象的。そして、時が止まったかのような表情と空間。技法は異なるが国立新美術館で見てきたシニャックの《ダイニングルーム 作品152》[1886-87年 クレラー=ミュラー美術館]とイメージが重なる。


10.『ポール・ユゴーの肖像』 1878年 ルイス・コレクション (1878年、第5回印象派展出品作)

 スリムで背が高い人物画、カンヴァスも縦長、どうも高さは2mあるようだ。ステッキと平行に顔を傾けて描かれているのはモデルの癖か?絵の大きさ、モデルのポーズ、目が虚ろに見えるのと相まって、とても”不思議な雰囲気”に包まれていると感じた作品。ポール・ユゴーは画家の友人とのこと。

 (後日、2度目に訪れた時の感想 2013.11)

 背景の中断は、薄水色。上と下は、やや黄土色っぽい色彩が混ざって、地面の役割をしており、背景の微妙な色彩の変化の影響で、作品に奥行きが出ていることに気づく。

 きっかけは、その次に参考作品として展示してあったエドゥアール・マネの《自画像》の背景。

 


11.『子どものモーリス・ユゴーの肖像』 1885年 プティ・パレ現代美術館、ジュネーヴ

 ポール・ユゴーの息子・モーリス。赤ちゃんだけど、顔がリアルに描かれているので大人っぽく見える。


 肖像画に関しては、写実的というか、アカデミックな画風。(以前からの感じていたことだが)人間の表情が硬いというか、時が止まったかのような。どこか”影”のある印象を受けた。ただ、この時代で”影”のない肖像画の方が珍しいのかもしれないが・・・。それを含めて、とても真面目に描く印象を受けた。



 
 Ⅲ 近代都市パリの風景
 


21.『ヨーロッパ橋』 1876年 アソシアシオン・デ・ザミ・デュ・プティ・パレ、ジュネーヴ (1877年 第3回印象派展出品作)


23.『ヨーロッパ橋にて』 1876年 キンベル・美術館、フォートワース

 書籍によっては「ヨーロッパ橋」関係で、こちらが使われていることもある。有名な1枚。実物は、想像以上に大きい。11月10日までの展示ということで、早めに来てよかった。想像以上に大きい。

 右に《ヨーロッパ橋》、正面に《ヨーロッパ橋にて》この2枚を、少し距離を置いて眺めると、そのスケールの大きさに、見入ってしまう・・・。



26.『建物のペンキ塗り』 1877年 個人蔵 (1877年第3回印象派展出品作)

 これも来てる。代表作のひとつ。《ヨーロッパ橋》に負けず劣らずのカメラ構図。華やかさだけではない、当時のパリの日常がイメージできるという意味でも貴重かも知れない。売る必要がない作品だからこそ描けたテーマかも。



32.『見下ろした大通り』 1880年 個人蔵 (1880年第7回印象派展出品作)


 「来てればいいなぁ」と期待していた作品のひとつ。一番好きな作品かも。とにかく、これ、ちょっと衝撃的に感じるくらいに、独創的な視点と構図。

 高層階に住んでいる(裕福な人)+絵を描く+カイユボットの視点。

 高層階から描かれた絵としては、モネが1873年の《キャプシーヌ大通り》[プーシキン美術館]や、1878年の祝祭日に、《モントルグイユ街》[オルセー美術館]と《サン=ドニ街》[ルーアン美術館]を描いている。カイユボットも1878年の《アレヴィ通り6階からの眺め》[個人蔵]などを描いている。ただ、この《見下ろした大通り》が面白いのは、高層階から俯瞰するのではなく、カメラのように、構図を切り取る視点。


 カメラとの関係は定かではないが、この切り取り方は少なくとも、それに近い視点と感性。おそらく限られた者、条件のなかで生まれた奇跡的な構図なのかも。



 写真的な都市風景画に関して。近づいて見れば、絵具の見える絵画だが、距離を離れてみると、まるでコンピュータ・グラフィックや写真のように見えてくる。特に、写真的な構図や、高いところから俯瞰して眺める視点、男性をモチーフにしていることなどの面において、同時代の印象派画家とは一線を画した独創性を感じる。カイユボットの構想力は、近代と通り越して、現代的に近いレアリスム絵画という印象を強く受けた。

 また、後年ボートの設計を手掛けることになるようなカイユボットの気質が、より写真的でリアリティのある緻密な構図の産みだしたのかも知れない。そして、弟・マルシャルのカメラを始めたのが1891年だということを今回初めて知って、さらに興味深く感じる。

 
 Ⅳ イエール、ノルマンディ、プティ・ジュヌヴィリエ
 



35.『ペリソワール』 1877年 ワシントン・ナショナルギャラリー (1877年第3回印象派展出品作)

 特に、水面が美しい。そして、グリーンとイエローのカラーリング。カメラ構図だけでなく、グリーンとイエローの2つの鮮やかなカラーリングにも惹かれる。


42.『ノルマンディーの風景 - 樹木の生い茂った谷の林檎の樹』 1880年 個人蔵

 手前から奥へのやや強めの風と光感じる。肖像画やカメラ視点の都市風景画とは別のカイユボットのもう一つの顔、点をちりばめた筆触分割の印象主義。


51.『向日葵、プティ・ジュヌヴィリエの庭』 1885年頃 個人蔵

 向日葵の描き方がカッコいい。


53.『セーヌのプティ・ブラ、秋』 1890年頃 バンベール財団、トゥールーズ

 水面が美しい。


 
 イエールなど、郊外の風景画に関しても、大きく2パターンあった。《ペリソワール》に代表される70年代後半の写真的な絵画。そして、モネのような光の移ろいを感じる印象主義的で色彩豊かな絵画。



 
 Ⅴ 静物画
 



61.『キンレンカ』 1892年 個人蔵

 独特のピンクの背景が、不思議と和む。装飾画も手掛けていたことは初めて知った。


 
 参考展示
 



 『ポントワーズ、ライ麦畑とマチュランの丘』 カミーユ・ピサロ 1877年 静岡県立美術館


 展覧会では、なぜ、静岡県立美術館から借りてきてまでピサロ?(でも、見れてラッキー♪)という感じだった(説明書き、見落としたかも?)。図録で確認したら、これはカイユボットが所蔵していたコレクションの1枚だった。


 そういえば、当時、ルーヴルだったか、リュクサンブールだったか?遺贈を受けた国立美術館は、まだ評価の定まらない印象派を受け入れることに難色を示して、困っていたという話だったような。コレクションの一部が美術館に受け入れられたが、あとは遺言によって、仲間や遺族のコレクションになったはずなので、その1枚かもしれない。


 カイユボットの作品展示が終わると、ブリヂストン美術館所蔵のコレクション展示へと続く。

 
 展覧会の感想
 


 
 10月の第2週だったか?、もう1ヶ月。。テレビ東京の「美の巨人たち」(カイユボットの《ヨーロッパ橋》の特集)が放送される前に行くことが出来たせいだろうか。混雑もなく余裕をもってじっくり作品を見ることができた。


 印象派展出品作を中心に、相当数の画家の代表作を見ることができた。そして、写実的な都市風景画のイメージが強かったが、実は郊外で色彩豊かな印象主義的な絵画も描いていた。また、カイユボットを知るための展覧会の工夫もよかった。

 ◆ カイユボットの《ピアノを弾く男性》で描かれているものと同じモデルのピアノが展示

   当時のピアノがあるだけで、作品をとても身近に感じる。

 ◆ 作品が、当時のパリのどこで描かれた作品かが示してあるスペース。

   パリでどういう位置関係なのかがわかるのは魅力。

 ◆ 弟・マルシャルの数多くの写真が作品の間に展示されている。

   画家の生活や家族関係などがわかり、作品のイメージが深まる。

 ◆ カイユボットと家族、仲間との関係性がわかるタッチパネル。

   印象派意外のつながり、特に、書籍(日本訳のもの)ではなかなか知ることのできない家族関係がわかるのがとても興味深い。
 
 

 展覧会全体を通じて、画家の代表作や、印象派展出品作品を何点か見ることができた。カイユボットの回顧展にふさわしい内容。カイユボット作品は、「個人蔵」が多いということで、おそらくもう一生お目にかかれないカイユボット作品もあるのだろうなぁと思う。書籍やデータで見るのとは違い実際の大きさや色彩など、作品の持つ雰囲気に刺激を受けた。

 
 
 独特な、写真的構図を用いた独特の作風だけでなく、印象主義的な絵画も描いているところがとても面白い。その多才さに凄みを感じる。ひとつ疑問に思うのが、これだけの絵を描く画家が、どうして、近年になって注目され始めるに至ったのだろうか。

 まったく的外れかもしれないが、自分なりに、帰宅途中、電車の中で想像してみた・・・。


 ひとつは、カイユボットは資金的に恵まれていたせいか、売るための絵を描かなくても良かった点にあるのではないかだろうか。独特の構図、テーマなど画家の発想を自由なものにした一方で、「売る=世の中に出回らせる」必要がなかったとも言える。そのため、モネのように野心的になる必要もなかったと思われる。


 そして、印象派研究の基本書でもある、ジョン・リウォルドの『印象派の歴史』にあるのかもしれない。原著の『The History of Impressionism』において、図版や印象派画家の年表などに、バジールやモリゾの掲載はあっても、カイユボットは載っていないことを思い出した。
 
 クロード・モネとの出会いに関する記述でリウォルドはこう述べている。


 「ギュスターヴ・カイユボットは、船を製造する技術に詳しい専門家であり、数隻のヨットの持ち主であった。彼はまた、余暇に絵も描いており、絵画および航海に寄せる共通の情熱はただちに二人を結びつけたのである
                                            [ジョン・リウォルド 『印象派の歴史』 p256]

 この影響力のある1冊で、主要な”印象派画家として”の評価がほとんどなされていなかった点にあるのかもしれない。一方で、むしろ支える側の人物としての評価が大きかったことは読み取れる。もちろん、責められるべきことでもないし、ジョン・リウォルドの研究や『印象派の歴史』(個人的に、宝物でもある)の素晴らしさが損なわれることはないと思う。

 ひとつの事実として、「余暇に絵も描いて」いたというのが、カイユボットの絵画に対するスタンスであったのかもしれない。(ただ、それにしては、「素晴らしい」と思ってしまうだけであって)


 また、《ヨーロッパ橋》や《ペリソワール》に代表される広角レンズやコンピュータ・グラフィックのような”写真のような絵画”や《見下ろした大通り》のような独特の視点が、写真技術が発達した19世紀後半のパリでは大きな評価を得る土壌にはなく、むしろ、早すぎたのかもしれない。

 人だけでなく、時代によっても”美”の定義は微妙に異なるように思う。いま、あたりまえのように、コンピュータで自由な表現ができるようになって、限りなく写真に近いレアリスムの現代画家も出てきている。その視点から見ると、現代から、あらためて、19世紀後半のパリという環境で、このような表現が輝いて見えるのは、むしろ自然なことなのかもしれない。 

 
 カイユボット展は年末12月29日まで開催しているので、機会があればもう一度足を運びたい。


 [展覧会] カイユボット展 ― 都市の印象派
 [場所]  ブリヂストン美術館 [東京・八重洲]
 [期間]  2013年10月10日(木)~2013年12月29日(日)
 [入館料]  1,500円(一般)