https://imidas.jp/jijikaitai/a-40-032-08-06-g008
2008/06/06
日本の外貨準備が1兆ドルを超えた。しかも、いまなお増え続けている。「外貨準備が1兆ドルある」事実は、いいことなのか、悪いことなのか。
この金額は円換算すると約100兆円となり、日本のGDP(名目国内総生産)の2割に相当する巨額である。また、日本の外貨準備高は、06年に中国に抜かれるまで、13年間にわたって「世界一」の座を占めつづけるなど、国際的にみても高水準である(現在は、中国に次いで世界第2位)。
1兆ドルを超える高水準
外貨準備とは、自国通貨の外国為替相場が急激に下落したり、自国が経済危機に陥って対外債務の支払いに窮したりする場合に備えて、政府や中央銀行があらかじめ蓄えている外貨建て資産のことである。日本の財務省の発表によれば、財務省および日本銀行が保有する外貨準備高は、2008年2月末に初めて1兆ドルの大台を突破して過去最高水準を更新中であり、3月末時点では1兆155億ドルに達している。この金額は円換算すると約100兆円となり、日本のGDP(名目国内総生産)の2割に相当する巨額である。また、日本の外貨準備高は、06年に中国に抜かれるまで、13年間にわたって「世界一」の座を占めつづけるなど、国際的にみても高水準である(現在は、中国に次いで世界第2位)。
日本の外貨準備高は2000年代に入ってから輸入額の1年分以上に膨れ上がっており、05年末の約2年分をピークとして以後は若干低下したものの、07年末現在で依然として約1年半分の高水準である。かつての1950年代後半から60年代後半の高度経済成長期における日本の外貨準備高は、輸入額の高々4~5カ月分、金額で8億~10億ドルと慢性的に不足状態にあり、国内景気が過熱して経常収支が赤字化し、外貨準備が当時の防衛ラインとされていた「輸入額の3カ月分」を割り込むたびに国際収支危機が騒がれた。まさに今昔の感がある。日本にとって経常収支の黒字基調が定着した現在、
輸入額の約1年半分もの外貨準備高を保有する必要性はないといわざるをえない。
準備高削減こそが優先課題
なお、外貨準備を株式などに運用して積極的に利回りアップを目指すべきとの議論も一部でなされているようであるが、本末転倒であり、過大な外貨準備高をどうやって減らすのかという本来の課題にこそ真剣に取り組むべきであろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます