◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

新会社法の下でM&Aはどうなるのか?

2005-12-05 | 事業再生・M&A
いつもご覧下さり、誠に有難うございます。

普通、このブログは日曜日は多くても120名様しか
ご覧頂いていないのですが、昨日は208名様と
久々の大台越え。有難うございました。
ステーキ「宮」ネタへのアクセスが凄かったです。

また、折を見て注目企業のコメントをしていきますので
乞うご期待。

さて、本日は私も惰性で会費を支払っている日本証券アナリスト協会の
機関誌から。このブログでも以前取り上げさせて頂いた、M&A理論と実務の
大家、服部暢達・一橋大大学院助教授がパネル・ディスカッションで
会社法とM&Aに関して示唆に富む発言をされておりました。

浅学非才の私はどうこうコメントする力はありませんが、
以下に発言の要約をまとめました。ご参考あれ。

専門用語が多いので、
私の過去の記事
10月24日付け『米買収ファンド「KKR」上陸の衝撃』の衝撃
もご参照ください。
http://blog.goo.ne.jp/dancing-ufo/e/ec259c3fc5bf35021ced5874f72833d0

仰っていることは同じだと理解しています。

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証券アナリストジャーナル2005.11
「グロ-バルなM&A時代の経営戦略」より

◆新会社法がM&A法制、企業経営に与える影響

 ①合併対価の柔軟化
  三角合併=合併対価を親会社の株式で払うことができるので
  外国企業が日本企業を買収するときに自社株で買えるということで
  影響が大きいと見られる。

  しかしむしろ、現金合併の方が影響が大きいかも知れない。
  現金合併は今でも産業活力再生特別措置法でできるが、
  今度は基本法でできるようになるので影響はかなり大きい。
  
  アメリカでは既に1980年代から行われていた
  現金合併で強圧的に少数株主を排除する「スクイズアウト」が
  日本でできるようになる。

 ②子会社による親会社株式保有の禁止、現行商法211条の2関係
  
  政令で予定されている例外規定によって、日本の企業が外国に
  行って、株式交換の三角合併で外国企業、特にアメリカ企業を
  買うことができるようになる。

  日本から外に出る、いわゆるインーアウト型のM&Aが増える。

 ③剰余金の分配が柔軟になる
  
  今までは新設型の分割型でやろうと思えばできたアメリカ型の
  スピンオフが、税法が対応していないので分割する会社も分割株
  を受け取った株主も両方ダブル課税になるということから
  誰もやっていなかった。

  新会社法で現物配当が明文化されることにより、
  (受取配当の課税繰延対応は必要ではあるものの) 
  分割法を使うよりタックスフリー・スピンオフが
  日本でできる可能性が高くなった。

◆新会社法施行後のM&Aの展望

  日本の今の状況は、1980年代末のLBOブームを控えた
  1980年代前半のアメリカの状況に似ている。

  その頃のアメリカは、1960年代の多角化M&Aブームで
  失敗した企業が、事業売却していった結果、キャッシュを
  沢山持っていた企業が2段階強圧買収といった余り行儀の
  よろしくない買収の標的になった頃。

  こうした中、1985年頃からポイズンピルが非常に普及。
  ところがポイズンピルというのは、実は会社を競売に
  掛けなくてはいけないことを意味するので、その後、
  LBOが増えたわけです。

  日本でも2007年、キャッシュマージャー解禁により
  現金スクイズアウトもできるようになる。
  また、銀行が大分体力を回復してきたので、
  LBOの大規模なノンリコースローンを出していける
  ようになっている。
  
  こうしたことから、
  2000年代、2010年頃の日本は,
  大LBOとスクイズアウトブームになっていると危惧している。

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