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会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

「事業信託」は新たな粉飾決算ツールになるのか?

2006-02-09 | 会計・株式・財務
いつもご覧下さり、誠に有難うございます。
昨日も一昨日とほぼ同数の方にご覧頂き恐縮です。
ってことは、常連さんばかりの、"通"のブログとなったのでしょうか。
有難いことです。


さて、本題。
SPC、投資事業組合などお騒がせスキームへの不信感が広がっている
(と勝手に私は思っている)中で、また新たな「ブラックボックス」が
登場してしまうのでしょうか?


2月8日の法制審議会の信託法改正要綱では、
企業や個人が財産を自分に信託できる「信託宣言」や事業の資産と負債を
セットで信託できる「事業信託」など新たな信託の形態を認め、
規制を大幅に緩和しております。改正法の施行が来年夏を予定と。


2/9の日経新聞によりますと、
「事業信託」と「信託宣言」を組み合わせると、こんなことが出来ると
紹介してます。


「企業の不採算部門をリストラする際、一時的に自社に信託して
本体の財務と切り離し、経営が改善したところで信託契約を解消して
本体に復帰させれば事業を再拡大するスピードが高まる。」


赤字で汚れた事業を、ピカピカにして戻すということであれば、
これは「事業ロンダリング」ということになるのでしょうか。

ただ、思ったのは、
①別に信託の形態にしなくても最近はやりの事業再生スキームで可能じゃないか?
②そもそも事業会社が簡単に信託業務できるのか?
③税務・会計処理は証券化に準じた処理で可能なのか?
などなど、信託ドシロウトならではの疑問が沸いてきました。
少し勉強しておきます。
ですから、タイトルの答えは今回、保留させてください。



ところで少し話が変わりますが、③で思い出しました。
債権流動化スキームで、オリジネーターが保有債権を売却するときに、
理論上の時価で売却したことにして売却益を発生させ、
その後残存期間の中でその売却益相当額を均等償却する、
っている会計処理を見たことがあります。


この会計処理であれば、流動化をすればするほど利益が増えるので、
利益操作に好都合です。もちろん、流動化する債権がなくなると償却費用が
かさんで減益となるので、常に流動化し続けなくてはならない、というオチも
付いておりますけど。

ところが、こうした会計処理方針は個人的には重要だと思っているのですが
財務諸表には一切注記されない。これはおかしいですよ。


さらに話が逸れてしまいますが、
SPCについては、2月から企業会計基準委員会(ASBJ)がSPC会計基準の整備(特に開示)に着手するとのこと。
また2月7日の日経金融新聞では、国際会計基準理事会が連結対象基準を
厳格にする方向で見直すと。SPCの支配権をどう判定するかなどが
焦点になりそうです。

とにかく、SPC・投資事業組合・そして事業信託と、
世の中「ハコ物」だらけ。
短信・有報が益々味気なく、分析の甲斐のないものになっていくことだけは
避けて欲しいものです。


(っていうか、このブログも閲覧する甲斐のないものになっているような・・・)。

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