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マサカ、アリサカ  ~禁断の粉飾ゲーム

2008-05-29 | 会計・株式・財務

  また粉飾疑惑。まずは帝国データバンク記事より
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 アミューズメント施設経営 ジャスダック上場株式会社アリサカ 
会社更生法の適用を申請へ 負債135億3207万円

(株)アリサカは、5月27日開催の取締役会において、
6月3日に宮崎地裁へ会社更生法の適用を申請することを決議した。   

当社は、1976年(昭和51年)10月に設立。大型ゲームセンター『アーバンスクエア』
およびゲームセンターにボウリング場、バッティングセンター、ビリヤードなどを
併設した『ジョイプラザ』などのアミューズメント施設の経営を展開。
同施設は宮崎県を中心に福島から熊本まで42店舗(うち4店舗は共同店舗)
にまで拡大し、2003年3月期に約44億9500万円であった年収入高は、
2007年3月期には約99億1400万円にまで伸長していた。  

しかし、相次ぐ出店に伴い、有利子負債やリース残高が大幅に増加し、
収益確保が困難な状況になっていた。
こうしたなか、2008年3月期の会計監査において監査法人の指摘により、
過年度における棚卸資産の過大計上や店舗改装費の架空計上などの
不適切な会計処理が判明したとして、5月27日に同決算発表の延期を表明。
今後、大幅な売り上げを短期的に見込むことは不可能であるうえ、
適正な会計処理がなされれば債務超過となる懸念があることから、
自主再建を断念した。  

負債は約135億3207万円。
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では、さっそくアリサカの「最後の有価証券報告書」を拝むとしましょうか。
H19/3期のものです。

http://g2s.skr.jp/api/edinet/0070GG9R.pdf


まずこのp.2「主要な経営指標等の推移」をご覧ください


何か気づきませんでしょうか? 






(しばらくお考え下さい。コレかな?と思われた方は、読み進めて下さい。)





私は息を飲みました。



経常利益です。



この5年間で売上高は倍となっておりますが、
経常利益は図ったように4億円台。
しかも直近3期ではほぼニアピンかよ!と突っ込みたくなるような数字です。



5億円以上だと目立つし後ろめたいし、
この辺にしておこうか?という当事者の声が聞こえてきそうです。





さて、破たんの原因ともなった
「過年度における棚卸資産の過大計上」や「店舗改装費の架空計上」について。

p.34 B/Sには貯蔵品(景品など)5億円計上されております。
しかし、p.39 「売上原価明細」に登場する期末商品・景品たな卸高は2億円。
この差額が過大計上分なのだとしたら、明らかにお粗末ですけど。

 また、店舗改装費ですが・・・・・この会社、P/Lで「接待交際費」まで
馬鹿正直に開示しているのですが、経費としての店舗改装費はありません
(普通見ません)。
追加投資という形で有形固定資産に加算→減価償却費として計上
されているのでしょう。
それにしても、架空経費はむしろ脱税の常套手段であって、
当社のように業績の苦しい会社では普通発生しないと思いますけど。
架空利益でしょう、普通は。



それにしても監査法人は中央青山→みすずを経て昨年6月より太陽ASG。
みすずは論外としても太陽はもう少し早く気付かなかったのかなぁ?


修正すると債務超過に陥るおそれがあるということですから、
粉飾した利益は20億円以上。
一体、具体的にどのような手口で粉飾をしたのか、フォローしてみたいですね。
というのも、この会社、キャシュフロー計算書まで巧く操作している可能性が
あります。早く正誤表を見てみたいものです。


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