1985年1月6日、ラグビー大学選手権決勝「慶応義塾 対 同志社」は
後世に名を残す名勝負でしたし、私が観戦した試合の中で
最も魂を揺さぶられた試合です。
試合は、平尾誠二・大八木淳史らを擁し大学初の3連覇を狙う同志社が、
前半に立て続けにトライ、あっという間に10-0(当時はトライ4点、ゴール2点)。
しかしその後、慶應がひたむなプレーで巻き返し、ペナルティゴール2本で6点を奪取。
流れは慶應に傾きつつあり、「同志社圧勝」の下馬評を疑わなかった国立競技場の
6万観衆は、慶應がそのシーズンで起こした数々の奇跡(対明大戦、対早大戦)を
思い起こしてか次第に騒然となってきました。
そして、試合終了直前に事件は起きたのです。
同志社陣営でのスクラムから慶應が早い球出しでバックスにつなぎ、
ゴールポスト正面にトライ!!
誰もが「慶應が奇跡の逆転!」と信じました。
しかし得点ボードがいっこうに変わりません。
というのも、無情にもラストパスが「スローフォワード」
(ラグビーでは前にポールを投げてはいけない)の反則と認定されて、
トライが無効となってしまったのです。
ラグビーもそうですがレフリーの判断は絶対ですので、批判はできないことは
重々承知しているものの、その後の関係者の証言、VTRを見る限り、
「スローフォワード」では無かったようです。
観衆から見て、そして本人達が何度も練習した「正しいプレー」が、
レフリーの判断で否定される。
しかも試合の最も重要な場面で。
結局、慶應は勝負に勝って試合に負けましたが、慶應のひたむきなプレーの数々と
この悲運のドラマがあるゆえ、私の魂も大きく揺さぶられたのです。
あれから20年。
当時の慶應メンバーの一人は、3年前から大手小売企業の若手社長として
経営手腕を振るい、ブームの反動で落ち込んだ業績を見事に建て直してきました。
しかし、H17/8期決算が計画未達で減益となる見通しになったこと等から、
オーナー会長により事実上更迭(新聞報道より)されてしまったのです。
私は全くの門外漢ながら、実は数年間、偶然にもその会社の株式アナリストを
担当したこともあり、当社の状況はある程度理解できているつもりです。
その門外漢からあえて言わせて頂きますと、この経営判断は
先の「スローフォワード」と非常に良く似ていると感じました。
まずは補足しないといけないのですが、
マスコミ情報でも紹介されております通り、
その小売企業のオーナー会長は「高成長志向」。
「成長しなければ死んだも同然」がモットーのお方です。
一方、慶應OBの社長は、国内出店数の鈍化、社員の消耗・疲弊等も踏まえて
「安定成長」でいきたいとお考えになっていたとのこと。
では、株式市場(観衆)はどちらの方を支持していたのでしょうか。
当社は過去ブームに乗って急速に店舗を拡大した結果、
その反動から業績が悪化、株価が大暴落したのはまだ記憶に新しい話です。
当社だけでなく、高い成長を追って拡大戦略を示しますと、
目先は株価も上がりますが、往々にして内部の組織・人材が追いつかず
そのしわ寄せはほぼ必ずといって来るでしょう。
当社の国内市場における成長余地を考えれば、社長の「安定成長路線で」
との判断が常識的に見て妥当な線ではないでしょうか。
(昨今のマスコミ論調も、会長に対して批判的な印象がします)
ここまで書けばおわかりかと思いますが、
観衆=株式市場など
レフリー=オーナー会長
と見立てますと、
これも「あのスローフォワード」と
同じようなものなのです。
20年ぶり、2度目のスローフォワード判定は非常に残念でしたが、
ファーストリテイリング(店名ユニクロ)の玉塚社長、お疲れさまでした。
でもまた近い将来、ビジネスの最前線に戻ってきてください。
(H17.11.3付記)
玉塚氏は元ユニクロ副社長の沢田氏と共に企業再生専門会社
「リヴァンプ」を立ち上げられました。
さらなるご活躍を祈念致します。
後世に名を残す名勝負でしたし、私が観戦した試合の中で
最も魂を揺さぶられた試合です。
試合は、平尾誠二・大八木淳史らを擁し大学初の3連覇を狙う同志社が、
前半に立て続けにトライ、あっという間に10-0(当時はトライ4点、ゴール2点)。
しかしその後、慶應がひたむなプレーで巻き返し、ペナルティゴール2本で6点を奪取。
流れは慶應に傾きつつあり、「同志社圧勝」の下馬評を疑わなかった国立競技場の
6万観衆は、慶應がそのシーズンで起こした数々の奇跡(対明大戦、対早大戦)を
思い起こしてか次第に騒然となってきました。
そして、試合終了直前に事件は起きたのです。
同志社陣営でのスクラムから慶應が早い球出しでバックスにつなぎ、
ゴールポスト正面にトライ!!
誰もが「慶應が奇跡の逆転!」と信じました。
しかし得点ボードがいっこうに変わりません。
というのも、無情にもラストパスが「スローフォワード」
(ラグビーでは前にポールを投げてはいけない)の反則と認定されて、
トライが無効となってしまったのです。
ラグビーもそうですがレフリーの判断は絶対ですので、批判はできないことは
重々承知しているものの、その後の関係者の証言、VTRを見る限り、
「スローフォワード」では無かったようです。
観衆から見て、そして本人達が何度も練習した「正しいプレー」が、
レフリーの判断で否定される。
しかも試合の最も重要な場面で。
結局、慶應は勝負に勝って試合に負けましたが、慶應のひたむきなプレーの数々と
この悲運のドラマがあるゆえ、私の魂も大きく揺さぶられたのです。
あれから20年。
当時の慶應メンバーの一人は、3年前から大手小売企業の若手社長として
経営手腕を振るい、ブームの反動で落ち込んだ業績を見事に建て直してきました。
しかし、H17/8期決算が計画未達で減益となる見通しになったこと等から、
オーナー会長により事実上更迭(新聞報道より)されてしまったのです。
私は全くの門外漢ながら、実は数年間、偶然にもその会社の株式アナリストを
担当したこともあり、当社の状況はある程度理解できているつもりです。
その門外漢からあえて言わせて頂きますと、この経営判断は
先の「スローフォワード」と非常に良く似ていると感じました。
まずは補足しないといけないのですが、
マスコミ情報でも紹介されております通り、
その小売企業のオーナー会長は「高成長志向」。
「成長しなければ死んだも同然」がモットーのお方です。
一方、慶應OBの社長は、国内出店数の鈍化、社員の消耗・疲弊等も踏まえて
「安定成長」でいきたいとお考えになっていたとのこと。
では、株式市場(観衆)はどちらの方を支持していたのでしょうか。
当社は過去ブームに乗って急速に店舗を拡大した結果、
その反動から業績が悪化、株価が大暴落したのはまだ記憶に新しい話です。
当社だけでなく、高い成長を追って拡大戦略を示しますと、
目先は株価も上がりますが、往々にして内部の組織・人材が追いつかず
そのしわ寄せはほぼ必ずといって来るでしょう。
当社の国内市場における成長余地を考えれば、社長の「安定成長路線で」
との判断が常識的に見て妥当な線ではないでしょうか。
(昨今のマスコミ論調も、会長に対して批判的な印象がします)
ここまで書けばおわかりかと思いますが、
観衆=株式市場など
レフリー=オーナー会長
と見立てますと、
これも「あのスローフォワード」と
同じようなものなのです。
20年ぶり、2度目のスローフォワード判定は非常に残念でしたが、
ファーストリテイリング(店名ユニクロ)の玉塚社長、お疲れさまでした。
でもまた近い将来、ビジネスの最前線に戻ってきてください。
(H17.11.3付記)
玉塚氏は元ユニクロ副社長の沢田氏と共に企業再生専門会社
「リヴァンプ」を立ち上げられました。
さらなるご活躍を祈念致します。
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たのしく読ませていただきました。