お疲れさまです。
本日はこの本を衝動買い。
壮絶な実体験に基づく指摘の数々、かなり面白かったですよ。
会社は毎日つぶれている (日経プレミアシリーズ 29)西村 英俊日本経済新聞出版社 |
<概要>
どんなに斬新なビジネスモデルも少しずつ陳腐化し、トップの小さな油断は、
会社の膨大なリスクとなってはね返ってくる。
6千億円もの不良資産を抱えた大手商社を再建した著者が語る、双日初代社長
としての心構えと矜持。修羅場で学んだ経営の真実。
著者が双日の社長の在任中、こんなことがありました。
・優先株発行6,230億円(一事業会社として前代未聞)
・MSCB発行3,000億円(これも聞いたことがない金額)
・05年の定時株主総会「フルハウス総会」(←当社の顧問弁護士による呼称)
(総会議案に、増資・減資・社名変更・本店所在地・取締役選任・・・・と
旧商法230条によって総会で決めるべき全ての事柄があったから)
↓
それだけの大ナタをふるって大リストラが行われたってことです。
この間、著者は「毎日毎日、破綻の淵をさまよっていました」と吐露。
平時ではとても考えられない得難い体験をされております。ですから
「会社がつぶれるすべての可能性・因子に気を回して、四六時中の気配り、
緊張感を受け止め続けること。これこそが社長の職責なのです。」
との記述は、かなり説得力を感じます。
<目次>
はじめに
1.社長は会社を、ブッシュは合衆国をつぶす(→成長の前に、つぶすな!)
2.なぜ、人員整理を一番先にしようとするのか(→それは決算書分析の発想!)
3.弱い部分を取り除くのは社長の仕事
4.相手は世界、国内視線では勝てっこない
5.意思決定を遅くする水田稲作文化
6.社長は会社で一番の危険人物だ
7.辛抱、辛抱、相手の言葉でわかるまで
8.持っていますか?自分の時間と自分の言葉
9.とっさの判断で会社の浮沈が決まる
10. 騒がれる前にまず自ら発表を (→その日のうちに発表が鍵)
11.社長の一斉号令が会社を傾ける(→バブル期の海外アライアンスが好例)
12. 法律の上位にある倫理とモラル
13. 社長は嫌なことから先にやろう
14.辞め時を間違ってはいけません
15.使い切っていますか、社外取締役
16.そして今日も会社はつぶれている
あとがき
目次をご覧頂いてお分かりのように、
本稿のタイトルは第6章から取っております。
これには意味がありまして、
6章と7章は、主に証券アナリスト(セルサイド)対応上の留意点を
まとめたものだからです。
では、なぜ、「社長は会社で一番の危険人物」なのか。
それは、(アナリスト受けをよくしようとする余り、)
社長は希望的数値目標を掲げてしまう。
会社は健気にもそれを立派に達成してしまうが、往々にして背伸びした決算
となり、翌期以降の決算に無理に無理を重ねて
不良要素や粉飾まがいの決算要因を抱え込むことになる。
つまり、会社は破綻に向かう・・・・・・。
まっ、要は、余りアナリストに迎合せずに、
一本調子ではないけれども自社の成長ストーリーを
理解してもらうまで辛抱強く、相手の言葉で分かるまで
説明すべきだということです。
まだまだ紹介したい箇所がありますが、
余り書くと怒られそうなのでこの辺で。
ご関心ある方は、書店でご確認ください。
最後に・・・・・
読後感としては、なぜか心地よい余韻が残りました。
何でかな?と思いましたら、
著者は、
読者を「社長」と見たてて、語りかけるように文章を書いているんですよね。
「社長、あなたの場合はどうでしょうか」
「社長であるあなたは・・・・・」という風に。
まるで経営参謀からアドバイスを受けているような感覚がありました。
なかったはずの自尊心はくすぐられっぱなしです。
通常、東南アジア旅行に行くと“この肩書”の方が増えると聞きますが、
国内の読書で社長さん気分を味わえる貴重な一冊でもありました。
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でも同本が紹介されていて興味を持っていたので、
dancing-ufoさんのタイムリーな記事が
参考になりました、ありがとうございます。