一病息災〜心房細動とその周辺

心房細動の治療は日進月歩。目に留まった記事の備忘録です。
他に、生活習慣病や自分に関係ありそうな健康問題も。

卵の食べ過ぎはダメ?

2024年10月10日 07時05分31秒 | 糖質制限

「卵は1日1個まで」

「2個以上食べるとコレステロール値が上がる」

とずっと言われてきました。

ところが最近、

「もっと食べても大丈夫」

という意見を耳にするようになりました。

 

ホントのところ、どうなんでしょう?

そんな疑問に答えるように、

以下に紹介する記事が目に留まりました。

 

記事の中ではっきりと、

「コレステロールを摂取制限する必要はない」

と書かれており、疑問が氷解しました。

 

▢ たまごは「1日1個まで」はもう古い…1日3個食べると発症リスクが激減する「病気の名前」

鎌田 實(諏訪中央病院名誉会長)


飲酒ガイドライン2024

2024年10月03日 21時07分46秒 | グルメ

少量の飲酒はからだによい、とか、
イヤイヤ少量でもダメ、とか情報が錯綜しています。

ここで「飲酒ガイドライン」なるものが公表されました。
ぜひ読んでみたいですね。

ガイドラインを取りあげた記事を紹介します。

病気の種類により飲酒量の危険域は様々ですが、
「少量のアルコールでもリスク上昇」が以下のごとくたくさんあることに驚きました。

・出血性脳卒中(女性)
・高血圧(男女)
・胃がん(男性)
・食道がん(男性)

くわばら、くわばら・・・

▢ 国内初の「飲酒ガイドライン」を公表/厚労省
ケアネット:2024/02/22)より一部抜粋(下線は私が引きました);
 2月19日、厚生労働省は飲酒に伴うリスクに関する知識の普及推進を図るために「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表した。本ガイドラインは、アルコール健康障害の発生を防止するため、国民一人ひとりがアルコールに関連する問題への関心と理解を深め、自らの予防に必要な注意を払って不適切な飲酒を減らすために、個人の適切な飲酒量・飲酒行動の判断の一助となるよう作成された。

▶ 純アルコールに換算して飲酒量を把握することが重要
 本ガイドラインの特徴として、「基礎疾患等がない20歳以上の成人を中心に、飲酒による身体等への影響について、年齢・性別・体質などによる違いや、飲酒による疾病・行動に関するリスクなどをわかりやすく伝えるとともに、考慮すべき飲酒量(純アルコール量)や配慮のある飲酒の仕方や避けるべき飲酒方法などについて示している。
 お酒に含まれる純アルコール量は、「純アルコール量(g)=摂取量(mL)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)」で表すことができ、食品のエネルギー(kcal)のようにその量を数値化できることから、純アルコール量に着目しながら、自身に合った飲酒量を決めて、健康に配慮した飲酒を心掛けることが必要とも記されている。実際に飲料メーカー各社では2021年頃よりアルコール飲料に含まれる純アルコール量の表示を開始している。

 例:ビール500mL(5%)の場合の純アルコール量…500(mL)×0.05×0.8=20(g)

▶ 純アルコール量で疾病発症リスク示す
 また、わが国における疾病別の発症リスクと飲酒量(純アルコール量)について、各疾病の発症リスクが上がると考えられる男女別の研究結果と参考(カッコ内)が示されている。

・脳卒中(出血性)[男性:150g/週(20g/日)、女性:0g<(-)]
・脳卒中(脳梗塞)[男性:300g/週(40g/日)、女性:75g/週(11g/日)]
・虚血性心疾患・心筋梗塞[男性:現在研究中、女性:現在研究中]
・高血圧[男性:0g<、女性:0g<]
・胃がん[男性:0g<、女性:150g/週(20g/日)]
・肺がん(喫煙者)[男性:300g/週(40g/日)、女性:データなし]
・肺がん(非喫煙者)[男性:関連なし、女性:データなし]
・大腸がん[男性:150g/週(20g/日)、女性:150g/週(20g/日)]
・食道がん[男性:0g<、女性:データなし]
・肝がん[男性:450g/週(60g/日)、女性:150g/週(20g/日)]
・前立腺がん(進行がん)[男性:150g/週(20g/日)、女性:データなし]
・乳がん[男性:データなし、女性:100g/週(14g/日)]

※「参考」については、研究結果の数値を元に、仮に7で除した場合の参考値(概数)。「0g<」は少しでも飲酒をするとリスクが上がると考えられるもの。「関連なし」は飲酒量(純アルコール量)とは関連がないと考えられるもの。「データなし」は飲酒量(純アルコール量)と関連する研究データがないもの。


<参考サイト>
・厚生労働省:健康に配慮した飲酒に関するガイドライン


新型コロナ罹患後、循環器疾患は増加する?

2023年06月25日 15時06分52秒 | 心房細動
新型コロナ罹患後に血栓ができやすくなることは有名ですが、
循環器疾患に関してはどうでしょう。
罹患率が上昇すると耳にしたことがあります。
それをデータで示した報告を紹介する記事を見つけました。

なんと、罹患率も死亡率も2倍になるとのこと、これは大変!

▢ コロナ罹患後症状患者、1年以内の死亡/重篤心血管リスク増
ケアネット:2023/03/29
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染から1年間のコロナ罹患後症状(Post-COVID-19 Condition:PCC[いわゆるコロナ後遺症、long COVID])について、米国の商業保険データベースを用いて未感染者と比較した大規模調査が、保険会社Elevance HealthのAndrea DeVries氏らによって実施された。その結果、PCC患者は心血管疾患や呼吸器疾患のリスクが約2倍上昇し、1年間の追跡期間中の死亡率も約2倍上昇、1,000人あたり16.4人超過したことが明らかとなった。
・・・
 米国50州の18歳以上の健康保険会員において、2020年4月1日~7月31日の期間にCOVID-19に罹患し、その後PCCと診断された1万3,435例と、未感染者2万6,870例をマッチングし、2021年7月31日まで12ヵ月追跡してケースコントロール研究を実施した。評価項目は、心血管疾患、呼吸器疾患、死亡など。PCCの診断は、疲労、咳嗽、痛み(関節、喉、胸)、味覚・嗅覚の喪失、息切れ、血栓塞栓症、神経認知障害、うつ病などの症状に基づいて行われた。統計学的有意性はカイ2乗検定とt検定で評価し、相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)を算出した。Kaplan-Meier法を用いて死亡率を算出した。
・・・
・PCC群(1万3,435例)の平均年齢は50.1歳(SD 15.1)、女性7,874例(58.6%)。PCC群のうち3,697例がCOVID-19診断後1ヵ月以内に入院していた(平均年齢57.4歳[SD 13.6]、女性44.7%)。未感染群(2万6,870例)の平均年齢は50.2歳(SD 15.4)、女性1万5,672例(58.3%)。
・PCC群はCOVID-19を発症する前に、高血圧(39.2%)、うつ病(23.7%)、糖尿病(20.5%)、COPD(19.1%)、喘息(中等症/重症)(13.3%)、高度肥満(10.3%)などの慢性疾患を有する人が多かった。
・PCC群の追跡期間中によく観察された症状は、息切れ(41%)、不安(31%)、筋肉痛/脱力(30%)、うつ病(25%)、疲労(21%)だった。
・PCC群において、未感染群と比較して医療利用が増加した疾患は次のとおり。
 -不整脈の発症率:PCC群29.4% vs.未感染群12.5%、RR:2.35(95%CI:2.26~2.45)
 -肺塞栓症:8.0% vs.2.2%、RR:3.64(95%CI:3.23~3.92)
 -虚血性脳卒中:3.9% vs.1.8%、RR:2.17(95%CI:1.98~2.52)
 -冠動脈疾患:17.1% vs.9.6%、RR:1.78(95%CI:1.70~1.88)
 -心不全:11.8% vs.6.0%、RR:1.97(95%CI:1.85~2.10)
 -末梢血管疾患:9.9% vs.6.3%、RR:1.57(95%CI:1.48~1.70)
 -COPD:32.0% vs.16.5%、RR:1.94(95%CI:1.88~2.00)
 -喘息(中等症/重症):24.2% vs.12.4%、RR:1.95(95%CI:1.86~2.03)
追跡期間中の死亡率はPCC群2.8% vs.未感染群1.2%で、PCC群は1,000人あたり16.4人の超過死亡となる。
・COVID-19発症初期に入院を経験したPCC群において、未感染群と比較して医療利用が増加した疾患は次のとおり。
 -不整脈:51.7% vs.17.4%、RR:2.97(95%CI:2.81~3.16)
 -肺塞栓症:19.3% vs.3.1%、RR:6.23(95%CI:5.36~7.15)
 -虚血性脳卒中:8.3% vs.2.7%、RR:3.07(95%CI:2.59~3.66)
 -冠動脈疾患:28.9% vs.14.5%、RR:1.99(95%CI:1.85~2.15)
 -心不全:25.6% vs.10.1%、RR:2.53(95%CI:2.32~2.76)
 -末梢血管疾患:17.3% vs.8.9%、RR:1.94(95%CI:1.75~2.15)
 -COPD:43.1% vs.19.2%、RR:2.24(95%CI:2.11~2.38)
 -喘息(中等症/重症):31.6% vs.14.7%、RR:2.15(95%CI:2.00~2.31)

 コロナ罹患後症状に関する米国での最大規模の追跡調査において、PCC患者は死亡率だけでなく心血管疾患や呼吸器疾患のリスクが有意に増加し、とくにCOVID-19発症初期に入院した人では肺塞栓症が6倍、脳卒中が3倍以上など、さらにリスクが高くなることが示された。また、本研究はワクチン利用可能以前のサンプルを用いているため、ワクチン普及後では、ワクチンのPCC緩和効果により、個人の医療利用パターンが変化する可能性もあると著者は指摘している。


<原著論文>
DeVries A, et al. JAMA Health Forum. 2023;4:e230010.


心房細動アブレーションの最新状況

2023年01月22日 14時43分14秒 | 心房細動
実は私、先日心房細動に対するカテーテルアブレーションを受けてきました。
その結果、心房細動が激減するとともにほかにも出ていた各種不整脈(上室性期外収縮、心室性期外収縮)も減り、
“ざわついてちゃんと動いてくれない心臓”から“沈黙の臓器”に戻ってくれました。
めでたしめでたし。

事前に検索した記事を紹介します。

▢ 心房細動アブレーション、日本の最新状況
J-ABレジストリの中間解析
2022年07月12日:メディカルトリビューン)より抜粋;
※ 下線は私が引きました。

 日本ではここ数年、カテーテルアブレーションの件数が年間10万件を超えている。東京慈恵会医科大学病院循環器内科教授の山根禎一氏らは、全国多施設前向き観察プロジェクト日本カテーテルアブレーション(J-AB)レジストリの中間解析を実施。その結果、日本における心房細動(AF)に対するカテーテルアブレーション(AFアブレーション)の現状、施行件数と治療成績との関連、地域差が明らかになったと、第68回日本不整脈心電学会(6月8~11日)で発表した。

心房細動アブレーションは推計で年間約7万4,000件
 J-ABレジストリは、日本におけるカテーテルアブレーションの現状把握を目的とした全国多施設前向き観察プロジェクト。日本不整脈心電学会と国立循環器病研究センターの主導により2017年に開始された。今年(2022年)5月には累積症例登録数が34万5,855人に達し、世界最大規模となっている。
 山根氏はまず、日本のAFアブレーションの現状を報告した。日本循環器学会循環器疾患診療実態調査(J-ROAD)によると、2020年、2021年に施行されたカテーテルアブレーションの総件数はいずれも10万件超。J-ABレジストリでは、カテーテルアブレーションの73.8%がAFに対するものであったことから、日本では年間約7万4,000件のAFアブレーションが施行されているという試算だ。
 アブレーションの対象となったAFの内訳は、発作性が59.3%、持続性が40.5%。AFの持続期間は、1週間~1年が58.4%と最多だった。
 追加アブレーションの種類は、下大静脈三尖弁輪間峡部(CTI)アブレーションが最も多く(59.3%)、線状アブレーション(41.3%)、上大静脈(SVC)隔離術(33.3%)、非肺静脈起源(Non-PV)トリガーアブレーション(7.1%)、心房分裂電位(CFAE)アブレーション(5.2%)が続いた

RFカテ+バルーン、女性、高齢、低BMI、心疾患が合併症リスクに
 AFアブレーションによる急性期合併症の発生率は2.74%、死亡率は0.06%で、海外の報告(それぞれ2.90%、0.06%)と同等だった。
 AFアブレーションの種類は、高周波(RF)カテーテルが67.8%、バルーンが21.9%、RFカテーテル+バルーンが10.4%だった。

 ロジスティック回帰モデルを用いて複数の因子を調整し、AFアブレーションによる合併症の危険因子を抽出した。
 解析の結果、合併症リスクとの間に有意な関連が認められたのは、RFカテーテル+バルーン〔調整オッズ比(aOR)1.58、95%CI 1.42~1.77、P<0.001〕、女性(同1.37、1.26~1.49、P<0.001)、高齢(70~74歳:同1.20、1.05~1.37、P=0.007、75~79歳:同1.42、1.24~1.62、P<0.001、80~84歳:同1.37、1.16~1.63、P<0.001、85歳以上:同1.63、1.23~2.15、P<0.001)、BMI 18.5未満(同1.28、1.09~1.50、P<0.003)、心疾患の既往(同1.55、1.41~1.72、P<0.001)だった。
・・・
アブレーションの患者選択に地域差
 さらに山根氏は、2017~19年の基礎調査(AF患者10万7,082例)のデータを用いて、AFアブレーションの地域差について検討した結果も提示。
 患者選択における都道府県別の違いを見ると、75歳以上の割合は7.4~34.2%と幅があり、関西地区(京都府、奈良県、徳島県、香川県、大阪府)で高く、東北地区(秋田県、岩手県、新潟県、山形県、青森県)で低かった。また、75歳以上の割合と10万人当たりのアブレーション登録件数との間には正の相関が認められた〔相関係数=0.54、P<0.001〕。
 持続性AFの割合は22.6~51.4%、沖縄県、宮崎県、群馬県、徳島県、兵庫県で高く、秋田県、山形県、岩手県、青森県、福島県で低かった。
 無症候性AFの割合は4.2~52.4%、和歌山県、沖縄県、静岡県、広島県、茨城県で高く、秋田県、岩手県、山形県、佐賀県、岐阜県で低かった。

急性期合併症、退院時再発にも地域差
 都道府県別のAFアブレーションによる急性期合併症、退院時再発を検討したところ、いずれも地域差が見られた(急性期合併症:0.81~5.32%、退院時再発2.14~25.90%)。
 複数の交絡因子を調整し、AFアブレーションによる急性期合併症リスクおよび退院時再発リスクの地域差に関連する因子を重回帰分析で検討。その結果、AFアブレーションによる急性期合併症リスクの地域差と有意に関連する因子はなかった。
 一方、AFアブレーションの退院時再発リスクの地域差では、唯一、10万人当たりのAFアブレーション施行件数との間に有意な関連が認められた〔標準偏回帰係数(β)-0.04、標準誤差0.019、P=0.036〕。他には、無症候性AFの割合、10万人当たりの専門医数が関連因子である可能性が示唆された。
 山根氏は「今回の報告はあくまで中間解析の結果である」と前置きした上で、「施設ボリュームと合併症および再発の真の関連を示すには、アブレーション施行件数が少ない施設を解析対象から除外することを検討する必要があるかもしれない」と
述べ、講演を終えた。

テストステロンの真実 〜謎多き男性ホルモン〜

2019年11月10日 12時38分45秒 | 加齢現象
 NHK-BS1で2019.9.25に放送された番組です。

 少し前に、同じNHKの番組で夫婦の危機に関する内容を見たことがあります。
 その時に印象的だったのは、妻の方が経済的優位に立ち、家も仕切っている夫婦の血液中テストステロン値を測定したところ、なんと妻の方が多かった、という衝撃的事実。
 確かに、その妻は草食系のおとなしそうな夫を叱り飛ばしていて、一般夫婦のイメージと逆になっていました。

 女性でも男性ホルモンであるテストステロンが分泌されていることは知っていましたが、微量であり、男性を上回ることがあることは知りませんでした。

 今回番組を見て、世界中の研究者がテストステロンの正体を見極めようと現在進行形で研究中であることがわかりました。
 研究者のコメントは断定的ではなく、「こういうデータがある」と紹介するパターンが多く、煮え切らない印象がありました。
 様々な可能性を検証しつつ、結局「テストステロンの作用は単純ではない」というどっちつかずの結論でした。

 ・・・その中でもとくに「!」と感じたのは・・・

「内臓脂肪はテストステロンをエストロゲンへ変えるので、テストステロン値は低下する」

 とりあえず、肥満はよくない、ということは確定。



内容紹介
 ドーピングで話題になるテストステロンだが、実は複雑な働きをしていることがわかった。筋肉だけでなく精神面にも作用するという謎の男性ホルモンに、最先端の科学で迫る。
 筋肉隆々のボディと結び付けられるテストステロン。男性ホルモンの代表で、スポーツ界のドーピングでも話題となるが、実際には、肉体だけでなく精神や行動に複雑な影響を与えることがわかってきた。テストステロンが多いと、気前が良くなるという実験結果も!しかしそれは善人になるわけではないらしい。さらに、脳の発育や言語能力にも関係するなど、欧米の最先端の科学的知見から、テストステロンの真実に迫る。



 印象に残ったことをメモしておきます。


テストステロンの分泌
・男性:精巣(ライディッヒ細胞)95%、副腎皮質5%
・男性の分泌は思春期になると急増し、その後はあまり変わらない。
・正常範囲:8-12nmol/ml
・女性は男性の10%程度。

テストステロン欠乏症
・テストステロンを使ったホルモン補充療法では、精子がうまく作れなくなる可能性がある。下垂体からのFSH、LHの刺激で精子が作られるが、外からテストステロンが補充されるとFSH/LHが分泌されず、精子が作られなくなる。
・子どもを望む場合は補充療法にゴナドトロピン(FSH、LH)を用いる。するとテストステロン生成と精子形成が可能になる。

テストステロン過剰症
・攻撃性/支配欲が増す(?)。

動物の観察研究:攻撃性とテストステロン分泌の関係
①チンパンジー(オス優位の社会)
・トップのオスがより攻撃的になり、それを周囲に示すようになったときに上昇
・妊娠可能なメスが集団に突然は行ってきたときに上昇
②ボノボ(メス優位の社会)
・オスはテストステロンが少ない方がメスと出会いやすい。

ヒトではテストステロンがどう行動に結びつくかよくわかっていない。
・攻撃性と関係あるという報告と、逆の報告が混在する。
・テストステロン=攻撃性、と単純ではないようだ。
・テストステロンが男性らしさと関係するというのは俗説で、データはない。

テストステロンは社会的ホルモンである。
・投与実験において、投与群では攻撃的になるほか、気前が良くなる、行動が寛大になることが判明。
・テストステロンは社会的地位を維持する行動に向かわせる。報酬系と呼ばれる脳の部位と関係があるようだ。
・他者への信頼とそれに対する反応を調べた実験では、投与群では社会性のある行動を取る傾向がある(利他的である)。社会性の発揮は権力の行使と捉えることもできる。

テストステロンは骨の成長に関与する。
・骨はテストステロンとエストロゲンの影響を受ける。

□ テストステロンの男女差
・羊水中のテストステロン濃度は、男児の方が女児よりはるかに多い。妊娠の早い段階からテストステロンの脳の発達への影響が始まっている。
・羊水テストステロン濃度が低いほど、2歳時の語彙が少ない。

テストステロンと父性
・子どもと楽しく遊んでいるときの父親のテストステロンは低下している。
・仲のいい夫婦の男性はテストステロンが低い。

男性更年期とテストステロン
・男性は若い頃と同じレベルのテストステロンを80歳まで分泌する能力があるので、女性と同じような更年期は存在しない。
・内臓脂肪はテストステロンをエストロゲンに変えるので、テストステロン値を低下させる(ほかにインスリン抵抗性、高血圧などを引き起こす)。生活習慣を見直し、内臓脂肪を減らすと元に戻ることが確認されている。

コルチゾール(副腎皮質ホルモンのひとつ)はテストステロンの影響が行動につながることをブロックする。
・デュアルホルモン仮説。