先日(2019.10.4)、BS日テレ「深層ニュース」で、糖質制限派と反対派の討論がありました。
推進派・賛成派は夏井睦氏(医師)、反対派は幕内秀夫氏(管理栄養士)。
偶然、途中から見ることができました。
視聴してみて、サイエンスとしては賛成派の夏井先生に分があると感じました。
反対派は「粗食が日本人には一番」というイメージ以上の科学的反論ができないのです。
「糖質制限は危険である」という主張も、1人のジャーナリストの死亡例にインパクトを置き、統計データが今ひとつ。
まず基本ですが、
①炭水化物(食物線維+糖類)は消化吸収されるとすべてブドウ糖になり血糖値を上げる。
②血糖値を上げる効果は、多糖類、二糖類、単糖類に関係なく、トータルのブドウ糖に左右される。
③例えば、ご飯一杯、うどん一玉は、角砂糖(砂糖4g)に換算すると17個分である。
④砂糖とご飯の差は、血糖値が早く上がるか遅く上がるかだけで、必要とするインスリン量は変わらない。
反対派の幕内氏のコメントは、
①同意
②同意
③同意
④同意するが、「複合糖質は精製糖質より血糖値がゆっくり上がるから問題ない」とよくわからない反論に終始。だって、トータルのブドウ糖換算量が同じなら、使われるインスリンも同じでしょう?
それから、「糖質制限でやせるのは栄養失調」と幕内氏。
私には「?」です。
究極の糖質制限食は、減量中のボクサーです。
CMでよく見かけるライザップも糖質制限食です。
彼らが“栄養失調”であるはずがない。
栄養失調という誤解は、糖質を制限したカロリーを蛋白質で補えていないからに過ぎません。
ご飯を食べない分、おかずを多く食べる必要があるだけ。
すると、適正体重を保つことができます。
ダイエット目的で糖質制限するのは肥満の方だけにすべきですね。
最後の方に「日比野佐和子」という医師が登場しますが、科学的根拠のない自分ひとりの経験だけで“糖質制限は危険”と言っているようです。本当にそう思うなら、テレビに出たり一般書を書いたりしていないでガチンコ議論(科学的に証明した論文作成)していただきたい。世論を煽るだけなら、医師としての資質に疑問を持たざるを得ません。
さて、皆さんの印象はいかが?
■ 糖質制限ダイエットは安全か?…賛成派「食後の血糖値急上昇を防ぐ」 反対派「長期の低糖質食、死亡率高いデータも」
(2019年10月18日:深層ニュースFRIDAY)
食欲の秋到来。「食べたい、でも、食べた分ダイエットしなければいけない」。そんなジレンマに陥っている方も多いのではないでしょうか。BS日テレ「深層ニュースFRIDAY」1回目のテーマは「糖質制限ダイエットは正しいのか」。糖質制限ダイエットの賛成派、医師で日本糖質制限医療推進協会顧問の夏井睦さんと、反対派、管理栄養士で『世にも恐ろしい「糖質制限食ダイエット」』の著者、幕内秀夫さんが激論を繰り広げました。(司会・右松健太キャスター)
夏井睦(なつい・まこと) 1957年秋田県生まれ。東北大学医学部卒業。相澤病院(長野県松本市)などを経て、2017年、「なつい キズとやけどのクリニック」開設。日本糖質制限医療推進協会顧問。著書に『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学』(光文社新書)など。
幕内秀夫(まくうち・ひでお) 1953年茨城県生まれ。東京農業大学農学部卒業。管理栄養士。山梨県の長寿村・ 棡ゆずり原はら (上野原市)と出会って欧米模倣の栄養教育に疑問を持ち、伝統食と健康の研究を行う。フーズ&ヘルス研究所代表、学校給食と子どもの健康を考える会代表。著書に『粗食のすすめ』(新潮社)、『子どもをじょうぶにする食事は、時間もお金も手間もかからない』(ブックマン社)など。
◇ 繰り返すブーム
右松 夏井さん、ご自身も糖質制限ダイエットを実践されているということですね。
夏井 過去8年間、糖質はほとんど食べていないです。まずやせますね。あと頭が 明晰めいせき になる。二日酔いにならない。体力がつく。
右松 書店には、今ダイエット本といったら、「糖質制限」というキーワードが並んでいるものが多いんですが、そんな中で幕内さん、この糖質制限ダイエットに反対する理由は何でしょう。
幕内 ブームは、もう何回も繰り返しているんです。古くは40~50年前、「和田式ダイエット」というのがありまして、それが最初で、その後、「世にも美しいダイエット」とか、あるいはアメリカから来た「アトキンスダイエット」とか、みんな主張は多少違うんですが、穀類、イモ類とかご飯とか、そういうものを抜くというのは大体共通するんです。大体は「痛い目」を見た人が話題になるようになり、ブームは終わります。
今回のブームは、京都・高雄病院の江部(康二)先生が、2005年に『主食を抜けば糖尿病はよくなる!』という本を出したのがきっかけです。そのころは、「糖尿病」という冠がついたんです。それが今、どんどん2匹目、3匹目のドジョウの情報が多くなって、糖尿病からダイエットに裾野が広がって、最近は、大人から子供、誰でもいいという話になってきている。私は電車に乗ったとき、小学生の女の子が「私、ご飯を抜いて糖質制限食ダイエットをやっているの」というのを聞いたんですよ。こんなことでいいのか、非常に危険なブームだと考えて本を書いたんです。
右松 山口さんは、今回の議論について、どういったところが興味深いですか。
山口博弥・読売新聞編集委員 「ヨミドクター」で糖質制限ダイエットを取り上げると、かなり反響があるんです。今、幕内先生がおっしゃいましたように、確かにこれまでいろいろな低炭水化物ダイエットとか、糖質制限ダイエットが出てきましたけれども、今回のブームは、いろいろな糖質ゼロの商品が出たり、私の周りでも実際に実践している人が結構いたり、かなり市民権を得ている感じがするんですね。だからこそ、健康への悪影響がもしあるのであれば、ちょっと心配です。
◇ 脳に作用 ドーパミン分泌
久野静香アナウンサー そもそも糖質制限ダイエットとは、エネルギー源となるタンパク質、炭水化物、脂質のうち、主に糖質が多く含まれる炭水化物をカットするダイエット法です。糖尿病の患者に対して考えられたものだったんですけれども、減量効果が高いことからダイエットにも活用されることになりました。
右松 糖質、炭水化物は、そもそもどれだけ肥満の原因になっていたと分析されているんでしょうか。
夏井 軽いご飯1杯で角砂糖17個分ぐらいの糖質になっちゃうんですよ。ブドウ糖換算ですけれども。17個の角砂糖って食えないですけれども、ご飯は食えるんですよ。それが怖いんです。糖質は炭水化物の一部なんですけど、糖質を食べますと、すぐに小腸から吸収されて全部ブドウ糖になります。ブドウ糖になると、血管の中に入って血糖値が上がります。血糖値が上がるというのは非常に体に危険なんですよ。血管にダメージを与える。
それに対応して、体はインスリンを作るんですよ。インスリンを分泌することで、糖質を中性脂肪に変えちゃいます。その中性脂肪が肝臓に行くと脂肪肝になるし、皮下脂肪に行けば当然、肥満になるんです。
血糖値が上がったときは、脳の一部に作用して、ドーパミンというホルモンが出るんですよ。ドーパミンが出るとすごい幸福感なんですね。快楽中枢といって、たばこ、薬物、アルコールは、そこに働いてドーパミンが出るんですけれども、実は血糖が上がった場合も同じ。血糖値が下がると、今度はドーパミンは出なくなってしまう。そのリバウンドでイライラし、糖質をまた食わないとおさまらない。だから、一日中食っている。
右松 なるほど、それが糖質過多になってしまう原因といえるかもしれないんですが、食べていいもの、食べてはいけないものは具体的に何でしょうか。
夏井 米、小麦、トウモロコシ、砂糖などがだめ、それだけですね。逆にそれ以外だったら何食ってもいいじゃんと。
◇ やせるのは栄養失調だから
右松 一方で、幕内さん、いわゆる大切な栄養素、タンパク質ですとか脂質、炭水化物はしっかりとったほうがいいよということは、何となく小さいころから学習しているんですが。
幕内 そのとおりだと思います。なぜ糖質制限食ダイエットでやせるかというと、我々は糖質、脂質、タンパク質を主なエネルギー源にしているわけですね。これがどこかに偏ると、それは質的な栄養失調ですからやせます。例えば、玄米菜食主義、肉も魚も卵も牛乳も動物は一切食べないなんていうことを実践する人がかつては結構いました。みんな、がりがりにやせます。スマートじゃなくて。あるいは、今でもフルーツダイエットというのを指導している先生がいます。一日中、果物だけを食べる。だから、糖質制限食の逆で糖質過多、これもやせます。だから、一つに偏るとやせるんですね。栄養失調だからやせるんです。
ただ、現在の食生活が糖質過多になっているというのは私も同感です。高脂肪、高カロリーも問題ですが、どちらかというと、私も高糖質のほうが影響は大きいと思っています。
右松 悪い影響が大きいということですか。
幕内 肥満の原因も。そこは同じです。ただ、違うのは、同じ糖質源でも、夏井先生は、米もそばもサツマイモも……と。私はむしろ、今の問題は、白砂糖とか異性化糖というようなジュースに入っている砂糖ですね。そういうものが過剰になったことが、最大の問題だと私は思っていますけどね。
夏井 でも、ご飯もそばも小腸で全部グルコースになりますよね。
幕内 それはそうです。
夏井 そうすると、体に入って血糖が高くなりますよね。食後の高血糖スパイク(短時間に血糖値が急上昇すること)が一番危険だと言われていますけども、危険じゃないんですか。
幕内 これは糖質の吸収速度の問題なんです。
夏井 あなたが言っている複合糖質(穀物など)を食べていると、食後の高血糖スパイクは起きないんですか。
幕内 いや、それは起きますよ。
夏井 起きますよね。危険でしょう。
幕内 穀類やいも類を食べれば血糖値が上がるのは当然です。問題なのは複合糖質に比べて、精製糖質は急激に血糖値を上げてしまうことです。
右松 先ほどご飯1杯分が角砂糖17個、当然、角砂糖を17個食べたことはないんですが、毎日のようにご飯1杯は食べるわけで、精製糖質と複合糖質、この違いは何なんですか。
幕内 要するに、水分とか食物繊維とかビタミンとかミネラルとかを含むものが複合糖質なんですね。砂糖は、ほぼ100%近く糖質なわけです。薬品並みの純度なわけです。こういうものは自然界にあり得ないんですね。その違いは大きいと思っています。
食後の高血糖スパイク 血管にダメージ
右松 なるほど。山口さん、ここまでごらんになって、いかがでしょうか。
山口 ちょっと私、お聞きしたいんですけれども、角砂糖17個とご飯1杯、どう考えても、ご飯1杯のほうが体には悪くないと素人考えでは思うんですけれども、なぜ先生は同じように害があると。
夏井 ご飯は口から食べて唾液で麦芽糖という糖にまず変わるんですよ。それが小腸でアミラーゼによってブドウ糖に変わります。つまり、食べたご飯はブドウ糖に変わっちゃうんですよ。複合だろうが、純粋な砂糖だろうが、行き先は同じなんですよ。あとは量の問題だけです。しかも、今一番怖いと言われているのは食後の高血糖スパイクなんです。食後に血糖値がぽんと上がって、それが血管のダメージを起こす最大の要因と言われている。量の多い少ないじゃなくて、食後の高血糖スパイクをまず抑えることが先決であろうと。
山口 では、ご飯を1杯食べるのと角砂糖17個を食べるのは高血糖スパイクを起こすのは同じ……。
夏井 どっちも起こします。時間が早いか遅いかだけで、ブドウ糖になる量は同じですから、結局、中性脂肪に変換される量も同じなんですよ。
幕内 多くの学者が言っているように、スピードが違う。複合糖質の場合は食物繊維やビタミン、ミネラルなどを含むので、消化吸収が緩やかなわけです。砂糖とか異性化糖というジュースに使っている砂糖なんかは急激に吸収するわけです。その差が大きいというのは、ある種常識だと思います。最終的には、おっしゃるようにブドウ糖になりますよ。両方血糖は上がります。ただ、上がり方が精製糖と複合糖質では全然違うということなんです。
◇ 「長期の低糖質食は、死亡率が31%高くなる」というデータも
右松 ここからは糖質制限ダイエットが与える体への影響について伺っていきたいと思うんですが、幕内さん、この糖質制限ダイエットが体に悪い影響を与える心配はあるんでしょうか。
幕内 短期間で減量できることは間違いないです。ただ、問題は長期的にやったときどうなるか。ところが、日本人で長期的にやった人はほとんどいないわけです。
右松 このあたり、夏井さん、いかがですか。
夏井 全く安全だと思いますけど。
右松 その根拠は。
夏井 僕は今8年間で、江部先生も20年近いと思いました。20年やって何ともなければ、20年大丈夫じゃないですか。
幕内 みんな数名の話ばかりなんですよ。大規模調査が必要です。日本ではまともな調査は一つもありません。実践者があまりにも少ないので。ハーバード大学が、何と13万人も、しかも女性は26年間、男性は20年間、糖質の多い食事と少ない食事を実践して、そのデータを発表しているんです。それによると「糖質が少ない人たちは非常に死亡率が上がる」と。これが多分、最大のデータだと思います。
日本でいえば、国立国際医療研究センターが出しているデータも、低糖質の人は死亡率が31%高いと。ただし、これも外国の文献を参考にして解析して出したやつなんですよ。日本では、低糖質の食事をしている人がほとんどいないため、調査が難しいんです。
◇ おかず主体は塩分が心配
右松 糖質制限ダイエットというと、食べるものが相当、偏ってしまう。お米やパンを制限するということは、一方で、魚やお肉に食事が偏ってしまうということで、体に悪い影響があるのではないかな、と思う部分もあるんですが。
夏井 だから、これは、自分の体で人体実験してみたんですよ。データがなければ自分で出しますから。もちろんやりたくない人はやめればいいだけの話で、だから、僕が先頭に立って、毎年、血液検査とかやって、ストイックに糖質制限をして、体調はすごくいいということも公開している。江部先生も、年に何回か自分の血液検査のデータを公表していますよね。ほかにもそうやっている人が何人もいて、先頭に立って自分の体で実験しましょうという根性がある人が今ちょうど20年目に入っているんですよ。あと10年たてば30年のデータになる。
右松 それは確かにそうなんですが、個人の体質もあるので、これが多くの方に当てはまるかどうかが、一つの大きな問題かとは思うんですけれども、山口さん、いかがでしょうか。
山口 一つ、夏井さんにお聞きしたいんですけれども、私も本当に緩やかな糖質制限をやっていますけれども、ご飯を食べないと、どうしても、おかずをその分増やしますよね。特に外食だと、塩分がどうしても気になるんです。塩辛い、濃い味つけが多いので。私の同僚で、私よりも厳格に糖質制限をやっている人がいるんですけれども、彼はやはり血圧がちょっと上がったというんです。体重は落ちるけど、塩分過多と高血圧ということに関してはどうですか。
夏井 僕に関しては、ご飯を食べない分、食事が薄味になりますね。日本食というのは、ご飯を食べるための主食と副食という考えなので、おかず、副食の味つけがどうしてもしょっぱくなるんですよ。ご飯を食べるために塩分が増えたという側面もあると思います。
◇ 体験者「ダイエットで命の危機」
右松 糖質制限ダイエットを実践し、命の危険に陥ったと訴える方がいらっしゃいます。医師の日比野佐和子さんなんですが、お話を聞いてきたのでごらんください。
ナレーター 日比野さんは糖質制限ダイエットを行い、3か月で17キロの減量に成功、楽にやせられることに喜びを感じていたといいます。しかし、開始から3年後、体調に異変が……。
日比野 朝起きたときに右手と右足が全く動かなくて、立とうとすると、本当にふにゅっと体がこんにゃくみたいに感触すらないんですね。「救急車も呼べるのかな?」というぐらい危険な思いをしました。
右松 そのときはどのような診断を受けたんでしょうか。
日比野 一過性脳虚血発作と言われまして、要は脳梗塞こうそくの一歩手前の状態だったみたいでして、それが長く続いていると、脳梗塞という診断になって、後遺症が残っていたかもしれないですね。
ナレーター こちらは日比野さんが当時食べていた普段の食事です。糖質を抜き、大好きな肉、そしてチーズが中心のメニュー、こうした糖質制限ダイエットが異変を招いたのでしょうか。
日比野 当時のドクターもそういうふうに考えていたと思います。やはり普段の食事について聞かれまして、そういう糖質制限でお肉と油を好きなだけ食べていたという話をしましたら、もうその食事自体が原因だと言われました。
右松 現在、バランスのよい食事を心がけていると日比野さんは話していたんですが、幕内さんは、この倒れた原因は糖質制限にあったんじゃないかとお考えですか。
幕内 食事の問題は、因果関係がはっきりしないんですね。ただ、あそこまで極端な食事をすれば、脳梗塞とかの危険性は当然、あると思います。「誤った方法をやった」と話す人がいるんですが、そうじゃないです。糖質制限食を本当に継続してやってしまったからです。この方は恐らく、日記を見てみないとわかりませんが、本気でやってしまった結果が出ただけだと思います。
右松 夏井さんは。
夏井 私は本気でやっていますけれども、起きていないんです。
幕内 それは個人いろいろです。九州の脳の専門のドクターがインターネットで調べたものを発表しています。糖質制限食で脳梗塞を起こした人たちを画像つきで発表しています。ただ、それでも因果関係は断言はしませんよ。
夏井 脳虚血発作というのは誰にでも起こるんですよ。あなたにも今日、起こるかもしれないし。だから、たまたまの合併だと思います。
◇ 「頭がぼーっとする」症状は?
右松 糖質制限ダイエットをしますと、「頭がぼーっとする」といった症状を訴える方もいらっしゃいます。
夏井 ブドウ糖が脳のエネルギー源とよく言われていますが、あれは半分正しくて、半分間違いなんです。というのは、肝臓で脂肪を分解してつくられるケトン体は、エネルギー体なんですけれども、こちらのほうが脳ではメーンなんです。
右松 このケトン体というものが出ることによって、体はどうなっていくんでしょうか。
夏井 特に問題はないと思います。人間の胎児を調べた先生が千葉県にいらっしゃいます。彼の出した結果では、胎児のエネルギーはケトン体だそうです。特に脳の発達に必要であると。
幕内 ケトン体に関しては賛否両論、全くわからないというのが本当のところだと思います。ケトン体だけを見れば、果物臭で異様なにおいがします。だけれども、それが糖質制限食にしたことによって、そんなにおいになったのかというと、私はわからないと思っています。
右松 ケトン体は、普段の生活の中に出てこない言葉ですが、これが体の中に分泌されていくことは全く安全という……。
夏井 全く安全です。
幕内 いや、先ほど言ったようにわからないです。ただ、かなり危険だと言っている人もいます。
右松 糖質を制限することと、頭がぼーっとすることとの因果関係は……。
夏井 ないですね。僕はないと思っています。
幕内 ただ、先ほど言ったように栄養失調なので、なくはないと思います。
◇ 自分の体と向き合って
右松 夏井さん、安心してできる糖質制限ダイエットというのは、どういったものなんでしょうか。
夏井 まず、一番最初にやりやすいのは夜。朝、昼は難しいので。
右松 確かに、どうしても朝ご飯は。
夏井 昼ご飯も難しいんですね。ところが、夜というのは、これからの時期、一番いいんですよ。なぜかというと、鍋物。大体、低糖質なんですよ。お肉が入っている、お魚が入っている、野菜は葉物が多い。締めのご飯を食べない。締めの麺類を食べない。
まず、とにかく夜はやめてみると。そのときに重要なのは、自分の体調の変化に注意することです。人それぞれですけれども、自分で体調がよかったら、次に進めばいいんですよ。
右松 まず自分の体と向き合ってということ。
夏井 僕は自分の体を実験台にして、少しずつ始めてみたんです。そうすると、まず夜だけカットしてみて調子がいい。朝も寝起きがよくなった。次は、朝をカットしてみるんですよ。朝も自分でコントロールできますから、これはある程度できますね。ただ、難しいのは昼なんですよ。サラリーマンの昼飯は、みんな糖質ですから。
右松 確かに。
夏井 麺やカレー、丼だと。だから、昼は目をつむっちゃうんです。
右松 幕内さんはこの糖質制限の方法については、どのようなご見解をお持ちですか。
幕内 先生がさっきから「私は」とか「誰は」と言っていますが、一番忘れちゃいけないのは、ほぼ毎日糖質をとってきて100年生きてきた人が6万、7万人もいること。圧倒的に数が違うわけです。そのことを忘れちゃいけないと思います。
私は本をたくさん書いていますが、ダイエットの本は絶対書いちゃいけないと思っています。体にいい食事を提案するならともかく、特別な病気がない限り、体重を目的にするような食事は、私は絶対に勧めません。私は診療所でも、無生理とか不妊症とか貧血とか、そういう女性をたくさん見てきました。糖質制限食に限らず、ダイエットで失敗した人たちをたくさん見てきたんです。体にいいのは、ご飯中心に、野菜、魚といった和食中心の食事をすることであって、その結果としてやせている人は体重が増えたほうがいいし、体重があり過ぎる人は減るほうがいい。体重を目的とした食事はやってはいけないと思っています。
◇ 心や体と会話をしながら
右松 さあ、番組をごらんの皆様から多くの意見が寄せられています。久野さん、紹介していただけますでしょうか。
久野 はい。「リバウンドの悪影響が、ほかのダイエットと比較して安全かどうか気になる」ということです。私も糖質制限ダイエットをやって、やめたらすぐリバウンドしてしまったんですね。そのリバウンドのしやすさというのは?
夏井 これはもう糖質の中毒症みたいなものなんですよ。なので、やせることを目的にしちゃうと、やめるとリバウンド、これは当たり前なんです。糖質をとらない体にだんだんなれていくしかないんですよ。
幕内 肥満とか糖尿というのは、日本よりアメリカとかカナダとかオーストラリアがすごいわけですよね。やはり先生がおっしゃるように、糖質は依存性があってやめられない。それなら、100円のジュースを300円にしちゃえと。アメリカのいくつかの州やメキシコは、既に「ソーダ税」を実施しています。これは、精製糖が入った飲料水に対するものです。穀類やいも類の消費を減らすような対策が検討されている国はどこにもありません。
右松 ダイエットをするのは、健康で美しい体を手に入れたい、人生を豊かにしたいということだと思うんですが、結果的に不健康になってしまったり、リバウンドしてしまったりすると、本末転倒です。自身の心や体と会話をしながら、何がいいのかを考えていただきたいと思いました。
(2019年10月4日放送)