くりえいと。

イラストレーターを目指す管理人・maaya.がお送りする趣味ブログです
※イラストなどの転載はご遠慮ください

Let’s くりえいと!

2011年11月20日 | お知らせ
はじめまして!

ようこそ、『くりえいと王国』へ!
わたしは管理人のmaaya.です。

ここは、わたしの趣味と妄想から生み出された空間・通称『くりえいと王国』というところです。

そこに住む住人リノ(右)とアスカ(左)
と共に、今はまだキャラクターしかいないこの王国を広げていきたいと思います!

誰でもお気軽にお越しくださいませ


フウカとサクラの神隠し ~2~

2011年11月19日 | らくだい魔女
お待たせしました!

【フウカとサクラの神隠し】⑤~⑦の内容をまとめました
挿絵はまだ付けてないですが、そのうち更新したいと思います

前回たくさんのコメントを頂き、本当にありがとうございました
今回はラブシーン大目ですので、ぜひそこら辺も楽しんでいってください(笑)


  【フウカとサクラの神隠し】 ~総集編②~

  ※チトセ目線でお送りします

塔の中は、まるで迷路のようだった。
一見すると、木造でアンティークな雰囲気の内装なのだが、四方八方に階段が張り巡らされ、高いはずの天井はそれらに隠されて見えなくなっていた。
まず、扉を開けてすぐのところ、つまりオレの目の前に階段がひとつ。
その奥には、左右に向き合った階段がそれぞれひとつずつと、さらに奥に目の前の階段と対称的な向きの階段がひとつあった。
それらの階段はどれも、大人が3人並んでも余裕があるくらいの幅があり、ぶつからないよう複雑な形を作りながら上に伸びていた。
「この塔ってこんなにでかかったか・・・?」
外から見たよりも中はずいぶん広いつくりになっていて、しかも階段だらけでほかに扉も部屋も見当たらない。
昇るしかない、ということだ。でも・・・
「どの階段を昇ればいいんだよっ!!」
思わず声に出して叫んでみたが、答える声があるはずもなく、声はむなしく散っていった。
すべての階段を昇って確かめる時間はないし、セイラみたいな瞬間移動の魔法が使えたらいいのだが、オレはまだ使えないし・・・。
でも、そんなことを悩んでいる時間もない。
ひとまずは、目の前の階段を昇って・・・。
  パタパタッ
その時、視界の端で誰かの影が横切った。
慌てて目を向けると、その影は左奥の階段の踊り場を曲がろうとしているところだった。
そして視界から消えようとした時、かすかに見えたものに不思議と見覚えがあった。
いやと言うほど目に焼きついたそれは・・・
――――金色の長い髪――――
「フウカッ!?」
オレは急いで向きを変え、フウカらしきその影が消えた階段へ走った。


「おいっ!どこ行くんだよっ!」
壁と階段しかない空間に、オレの声と階段を駆け上がる二つの足音が響く。
さっき見えたあの影は、オレをからかうかのように入り組んだ階段を器用に上って行く。
追いついたと思うと、いつの間にか違う階にいる。
オレはそれを見失わないよう、さっきから必死に追いかけているのだが、なぜか追いつくことが出来ない。
でも時々視界に入るその姿は、やっぱりフウカにしか見えなかった。
金色の長い髪。いつもの白いブラウスと黒のスカート。しま模様の靴下。黒のブーツ。
どこからどう見ても、それはフウカ以外の何者でもない。
ただ、
「ちょっと待てって!なんで逃げんだよっ!」
「・・・・・・」
いくら呼びかけても返事をしない。
見た目はフウカだけど、何かおかしい気がするんだが・・・
(あの姿でここまで拒否されると、ちょっと泣きたくなってくるんだけど・・・)
そう思うと、普段の暴言のほうが可愛く見えてきた。
オレ、なんかスッゴクかわいそうなやつ・・・。
そんなことを考えながら遠い眼をしているうちに、ふと気づくと、足音が聞こえなくなっていた。
「しまった!見失ったか!?」
慌てて辺りを見回したが、あの影はどこにも見当たらない。
どこもかしこも階段と白い壁だけ・・・
「・・・あれ?」
今、目の端に何かが映った。
視線を戻すと、ひとつ上段にある階段の突き当たりの壁に、さっきまでただの白い壁だったはずのところに、サクラの花が細かく彫刻された薄桃色の扉がついていた。
そして、その扉の金色の丸い取っ手が、たった今「カチャリ」と静かに閉じた。
「あそこか・・・っ」
オレはその扉の前まで一気に駆け上がり、勢いよく扉を開けた。
その途端、中からふわっとサクラの香りがただよってきて、一面桃色の広い部屋が目に入った。
そして、その奥から、
「おっそーい!待ちくたびれたんですけど!」
と、聞き慣れた声が聞こえてきて、オレは思わず目を見張った。
そう、そこにいたのは、いやみっぽい顔をしたいつものフウカだった!

******

突然目の前に現れたフウカは、不機嫌そうな顔でオレをにらんできた。
「ずっと待ってたのに、誰も来ないんだもん。一体ここはどこなのよっ!」
「いや、オレに聞かれても・・・っていうか、何でそんな格好してんだ?」
さっきまではオレたちと同じ制服を着ていたはずなのに、今はサクラ色のドレスをまとって座っていた。
ふんわりとした半袖のブラウスの胸元には、黒地に白の水玉模様の大きなリボンが付いていた。
すそにレースがたくさんあしらわれたスカートには、サクラの柄が刺繍されている。
さらに、フウカの髪もおりていて、左耳の上にサクラのコサージュをつけていた。
部屋に入った時から漂っているサクラの香りで、頭がおかしくなったのかもしれない。
フウカが美人に見える・・・。
「な、なにじーっと見てんのよ!気持ち悪いなー」
「べっ、べつにおまえなんか見てねぇよっ!」
「おまえなんかってどーいうこと!?失礼ね!・・・みんなで丘を登ってたはずなんだけど、知らないうちに寝ちゃってたみたい。それで気づいたらこんなとこにいて、誰もいないからずっと暇してたのよ」
「そのわりには、結構満喫してたみてぇだな」
部屋を見渡すと、あちこちにお菓子の袋ややりかけのゲームが散乱している。
知らない所に来たってのに、こんなにくつろいでたのか。
しかも、不安そうにしてるかと思ってたのに、やけにケロッとしてるし・・・。
「なんだよ、心配して損したな・・・」
そうため息混じりにつぶやくと、
「心配・・・してたんだ・・・」
さっきまで威勢よく話していたフウカが、うつむいて小さくつぶやいた。
「そりゃ心配くらいするだろ。突然いなくなったから、みんなで必死に捜してたんだぞ?」
「そっか・・・」
「おい、大丈夫か?さっきまでの威勢はどこいったんだよ」
そう言いながらフウカの顔をのぞき込むと、おもむろに立ち上がったフウカがいきなりオレに抱きついてきた!
「ちょっ、ど、どうしたんだよっ」
慌ててフウカを引きはがそうとするが、フウカは強くオレのシャツをつかんでいて離れようとしない。
オレは頭が真っ白になって、どうしていいかわからなくなって・・・
その時、フウカの肩がかすかに震えていることに気が付いた。
・・・泣いているのか?
「おまえ・・・本当にどうしたんだ?」
問いかけると、フウカは黙ったまま少し顔を上げた。
「だ、だって、知らないうちにこんなとこにいて、ずっとひとりで・・・怖かったんだから・・・!」
フウカはぼろぼろと涙をこぼして言った。
さっきの威勢は、怖さを隠すための強がりだったんだ。
(そうだよな。平気なわけないよな・・・)
オレはぽんとフウカの頭をなでて、それからぎゅっとフウカを抱きしめた。
「うん・・・遅くなってごめん」


フウカはその後、泣き疲れたのか、オレに抱きついたまま寝てしまった。
引きはがそうとしてもやっぱり離せなかったので、オレはフウカを抱いたままその場に座った。
今日のフウカはおかしい。
いつもならこんなことしないのに・・・。
でも、考えようとすると頭がぼーっとして、オレまで眠くなってきた。
ふと目を落とすと、静かに寝息を立てながら眠るフウカの横に、丸めた古い紙の筒が目に入った。
広げてみると、それは地図のようだった。
階段がたくさんはしる塔のてっぺんに、大きな魔法陣が描かれている。
(これってまさか・・・この塔の地図・・・?そうなると、この魔法陣はいったい・・・)
それは、今までに見たことのない魔法陣だった。
サクラの花をかたどったような、複雑なその魔法陣をじっと見ながら悩んでいると、また眠気が襲ってきた。
(だめだ。このままだとオレまで寝ちまう。早く戻らないと、みんなが心配する)
「おい、フウカ!起きろよ!そろそろ移動するぞ!」
「んー・・・」
「ちょ、おい、フウカ!起きろって!」
「・・・・・・」
何度起こしても、フウカが気持ちよさそうに眠り続けるので、
「・・・もう少し待つか」
ため息をついてフウカの寝顔を眺めた。
こうして静かにしていれば、大人しくて可愛いお姫様に見えるのにな。
普段は無鉄砲でうるさくて落ち着きがなくて、お姫様っぽいところは何もないのに。
・・・でも、いざって時はまっすぐで強いやつなんだよな。
そういえば、この前「チトセの好きな子ってだれ?」とか聞いてきたっけ。
こいつ、どんだけ鈍感なんだよ・・・。
「・・・オレが好きなのはおまえだけだよ、バーカ」
そう寝ているフウカに向かってつぶやいたが、反応があるはずもなく、少し恥ずかしくなった。
「・・・バカはオレだな」
何だか顔が熱くなったので、オレは顔を背けて目を閉じた。
そして、いつの間にかそのまま寝てしまった。


その時、オレは気付いていなかった。
オレの腕の中で眠るフウカの顔が、少し赤くなっていたことに。

******

あれからどれだけの間眠っていたんだろうか。
窓の外はまだ明るいが、少なくとも1時間は寝ていただろう。
目を覚ますと、オレに抱かれたまま眠ったはずのフウカがいなくなっていた。
「お、おいっ、フウカッ!?」
「あ!やっと起きた!」
振り向くと、フウカは部屋の奥のベッドの上でマンガを読んでいた。
「おまえそんなとこで何してんだよ?」
「だって、チトセが全然起きないんだもん」
「だったら起こせよな・・・」
そう言って、ため息をつきながらフウカの方に近付こうとした途端、
「そ、そうだっ!みんな心配してるかもしんないし、は、早く行こうよ!」
フウカは何故か慌てた様子で立ち上がった。
「そりゃそうかもしんないけど・・・おまえ、行くってどこ行くつもりだよ?」
「どこって・・・と、とにかく、この部屋出れば何かあるわよ!」
「階段ばっかだけど?」
「うっ・・・な、何でもいいからとにかく出るわよ!ほら、早くっ!」
フウカはズカズカとドレスを引きずりながら扉に向かい、ドアノブに手をかけた。
「ちょっと待てって!何急いでるんだよ。何があるかわからねぇんだから、先に行くなって」
オレはフウカを引きとめようと、慌ててフウカの腕をつかんだ。
すると、
「さわんないでっ!」
フウカはオレの手を思いっきり振り払った!
「いって・・・何すんだよっ!」
フウカをにらみ上げると、フウカは複雑な顔をしていた。
戸惑ったような表情だが、何故か頬が少し赤くなっている。
「あ・・・ご、ごめん」
「別にいいけど・・・」
フウカはうつむいて、それっきり黙ってしまった。
突然どうしたんだ?
オレが起きてからずっと落ち着きがないって言うか・・・。
「まあ、確かに急いだほうがいいな。とりあえず、ここに地図っぽいのがあったから、これを頼りに進むか」
「・・・うん」
そうして、オレたちはひとまず部屋を出た。


地図を見ながら、オレたちは魔法陣の描いてある塔のてっぺんを目指した。
相変わらず、フウカは落ち着きがなく、口数も少ないままだ。
「おまえ、どっか悪いんじゃねぇの?いつもの威勢はどうしたんだよ」
「う、うるさいなー!ちょっと疲れただけだってば」
「まだ全然昇ってねぇのに、何で疲れるんだよ」
「ド、ドレスが重いのよっ!!」
「ふーん・・・」
オレが寝ている間に何かあったのか?
もしくは、オレが寝ている間にフウカに何かしたとか・・・。
「フウカ、あのさ・・・」
「な、なにっ?」
「・・・いや、やっぱ何でもない」
そんなの、聞けるわけないか。
自分の意気地のなさに情けなさを感じながらため息をつくと、ふと前を行くフウカの重そうなドレスが目に入る。
「そういえばおまえ、いつの間に着替えたんだ?」
「・・・は?」
「だってオレから逃げてるときは制服だったろ?っていうか何で逃げたんだよ。呼びかけても返事しないし」
「ちょ、ちょっと待ってよ!何の話?」
「何の話って・・・おまえがオレをあの部屋までつれてったんじゃん」
「何言ってんの?あたしはずっとあの部屋にいたわよ。ドアを開けようとしても、鍵がかかってたみたいで開かなかったし」
「え、ずっといたって・・・」
ちょっと待てよ。
今まで気付かなかったのが不思議なくらいだ。

―――――オレは、誰かにだまされている。

考えてみると、最初からおかしかった。
不自然なくらい広い空間。
どこまでも続く入り組んだ階段。
突然現れた薄桃色の扉。
甘い香りが漂う奇妙な部屋。
おもむろに転がっていた塔の地図。
そして何よりもおかしいのが―――――
「・・・フウカが二人いる?」
「・・・は?何言ってんのよ」
振り向いたフウカの姿は、服以外どこからどう見てもいつものフウカと変わりない。
でも、もしかしたら偽者かもしれないんだ。
オレは不思議そうな顔を向けるフウカの肩をつかんで
「フウカ!おまえ勇者グラウディの使い魔の名前分かるか!?」
「な、何なのいきなりっ」
「いいから答えろ!」
「え・・・使い魔って、えっと・・・ガ、ガブリス?」
「ガブルーフだろ!やっぱ間違えたな。うん、このフウカは本物だ」
「どういう意味よっ!」
隣でわめくフウカをよそに、オレは階段を昇る足を速める。
ここにいるフウカは本物―――――ということは、さっきオレが追いかけていたフウカは偽者だったんだ!
「ご名答~!」
「!?」
「だ、だれっ!?」
突然、どこからか楽しそうな女の子の声が聞こえてきた!
「上よ、う・え!」
声のする方を見上げると、そこには制服姿のフウカが楽しそうに浮いていた。
「えっ、何であたしがいるの!?」
「あら、目が覚めたのね。チトセ君を導くために、ちょっと制服と姿を借りたわよ。ごめんなさいね」
「何でオレの名前を・・・おまえ、何者なんだ?」
オレがにらみ上げると、フウカの姿をした偽者は身震いする振りをしながら
「女の子をにらみつけるなんて、怖い子ね。私がこの姿でいるのがそんなに気に入らないのかしら」
と言って、両手を広げてくるりと回って見せた。
「当たり前だ!・・・もう一度聞く。おまえは何者だ?」
「せっかちねぇ。いいわ、本当の姿を見せてあげる」
そう言って、偽者はパンッと音を立てて両手を合わせた。
その途端、合わせた手の間から風と大量のサクラの花が噴き出て、大きな竜巻のように渦を巻き始めた!
目も開けられないほどの強い風に押されながら、オレは必死にフウカの腕をつかんだ。
数秒後、風がおさまり目を開けると、そこには華やかなサクラ柄の着物を着た長い黒髪の女の子が浮かんでいた。
そして、不敵な笑みを浮かべながら
「私の名前はサクラ。ようこそ、『神隠しの塔』へ」

≪続く≫

※グラウディの使い魔については、勝手に作ったものなので気にしないでください

よければ感想ください!!

続きもお楽しみに~