名もなき旅の記録

名もなき日本人の名もなき旅の記録。ささやかでありがち、だけどかけがえのない日々の記録、になる予定。

シガル

2007-06-14 23:26:42 | パキスタン
その翌日はスカルドゥの北30キロにあるシガル村へ。ここにはチベット寺を改築してできたモスクがある、なんて話を以前どこかで聞いていた。


もっとも実際に見て、一体どの辺がチベット寺なのかさっぱりわからなかったが。
どちらかといえば中国寺に近いような気がする。
まあ、木造のモスクは珍しくないこともない。
それにしても屋根の十字架は一体何なんだろう。


それ以外にはなーんにもなさそうな郊外の農村。食堂が村に一軒しかなく、20人近いパキスタン人が昼間っからインドのドラマなんか必死に見ている。この村の男たちは働かなくていいのか。適当な村だなあ。


ちなみにそのインドのドラマは子供向けのファンタジー物。主人公の剣士(インド人)、相棒のエルフ(インド人)、敵の魔法使い(インド人)、氷の魔人(インド人)、、。自分にはどうみてもコメディにしか見えないが、パキスタンのおっさんたちは真剣に見入っていた。


村の人と話したところ、シガル・フォートなるものがこの村にあるらしい。昔のシガル藩王の居城。村の中心とすら呼べないその某食堂から歩いて10分でそこに着いた(つまりそれがこの村の規模でもある)。


あったのはちょっと大きな屋敷。
どこが「フォート」なのかさっぱりわからない。
しかしよくよく表札を見てみれば、「シガル・フォート・レジデンス」と書かれていた。
ちゃんと身の丈がわかっているようだ。


門をくぐると、テレビカメラが目の前に。
イスラマバード辺りから撮影にやってきてるらしい。
カメラマンに頼まれて、少し撮られた。
相変わらずパキスタン人のセンスは意味不明。


このシガル・フォート、入場料に300ルピーも取りやがる。
こんな辺鄙な村で300ルピー?
いっそ拒否して帰ろうかと思ったくらい。


しぶしぶ払い、リストに名前を記入する。
最近この手の名簿を見るとついついチェックしてしまうが、自分の前に来た日本人は約2ヶ月前。
よく見ると訪問客のほとんどがパキスタン人。パキスタン人は入場料50ルピーでいいらしい。
それを知って、心が和らいだ。この国における各外国人料金の設定は現地人料金の10~20倍が相場。じゃあここの6倍はまだ良心的なのかもしれない。


さあて、せっかくやし、バルチスタンの古い城(というか家)を心から飽きるまで見てやろうと威勢よく内部に入ってみたが、何かがおかしい。
なんのことはない、全て完全に修復されてて、ちっとも古くない。
探せば東京にもこんな居酒屋あるんじゃないか。


これは大外れやったなぁと落胆しつつも見ていくうちに、真相が判明した。
なんとこの城(というか家)、2年前に改装して現在ホテルとして営業しているらしい。
狭い通路や階段が入り組んでまるで迷路のような邸宅の中、そこここに宿泊用の部屋が隠されている。古い建物なので天井はかなり低いが、使い込まれた木の温もりや、効果的に配置された間接照明がいい味を出している(ほんとにパキスタン人が設計したのか?)。
食堂には従業員が待機して、いつも何かおいしそうな匂いを漂わせている。
当然トイレもチェック。洋式、紙・水併用型。紙は便器に流してもいい(これは非常に珍しい。大抵のトイレは水圧が弱くて紙はすぐ詰まる)。
蛇口をひねればすぐにお湯はでるし、おそらくバルチスタンで唯一停電と無縁の地だとも言えよう。


試しに値段を聞いてみたら、大きい家族用の部屋で一泊9000ルピー(約150ドル)。
バックパッカーが泊まるようなところじゃないが、マニアックな新婚旅行にいかがでしょう?


もうすぐ5年?ぶりに発行される地球の歩き方パキスタン偏には、きっとここは収録されているはず。
300ルピーは安くはないが、なかなか珍しいものを見せてもらった。





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2 コメント

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Unknown (ko-ki)
2007-06-15 08:00:11
なんだか、パキに秘境をめぐってるねぇ。
バルチスタンとか教科書でしか見たことがない名前だ。。。

Unknown (さか)
2007-06-18 16:51:38
秘境、というほどのものでもないけれど、あんまり簡単に行けてしまう土地におもしろいものは少ないかも。

こんな周り方してるから、時間かかるんやろなー。

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