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LACK'N'ROLL

ポルノグラフィティという寝技をかけられてます

エネミー・オブ・カサンドラ 第2話 ~莫逆のシンフォニー~

2006年04月22日 13時59分50秒 | カサンドラ

一瞬の沈黙が流れた…


そしてカサンドラはまた血を吐きながら

「なぜだ…」と呟いた。

 

「許してくれ…カサンドラよ…」

「長…老…」


そして長老は静かに語りだした。

「最近我がモサル族への反対勢力の急激な増加についてはお前も知っている通りだ…そして、このモサル族を仕切る最強の戦士、カサンドラ。お前を慕ってくれる人以上にお前を敵視する者がおる。はっきり言って、これ以上モサル族がこのアフリカ未開の地を制して行くことは不可能なんじゃ…モサル族の存続のためには…お前の首が…ゴホゴホッ…全ては仕方がないことじゃったんじゃ…」

そう言うと、長老は静かに去っていって。

「わかってくれましたか?カサンドラさん…全ては…仕方がないことなんです…」

「ムスチェ…」

カサンドラは大きく息を吐いた。

「やれやれ…正義のヒーローというものは、大変なんだな…」


カサンドラは膝をつき、その場にしゃがみこんだ。

ムスチェはそっと槍を抜き、
「カサンドラさんの最期を見届けることは僕にはできません。
 ランバダさんが役目を終えることになってます。」

そしてムスチェも去って行った。


「オレにもっと…力があれば…」

カサンドラは泣いていた。

そこに、ガンボイ族とともに、ランバダがカサンドラの目の前にやってきた。

「長老から話は全て聞いているはずだ。おい、何か言い残すことはあるか??」


カサンドラは少し黙った。

「残念だが命乞いは聞いてやれないぞ。お前がここで死ぬことは運命だ。」

「そうか…」

カサンドラは最後にランバダに向かって

「信じてるぞ」

と、呟いた…


そしてランバダは


カサンドラの胸を―槍で突いた―

「おい、カサンドラが死んでいるか確認しろ!!」

ガンボイ族の兵士がカサンドラの脈を確かめた。

「死んでます。ランバダ様」


「よし…」


ウォーーーーーーーラァーーーーーイ!!


ガンボイ族が雄たけびを上げた。

モサル族の民は、カサンドラが死んだことを理解し、泣く者もいた。


カサンドラは―死んだ―

 


そしてその夜、長老が
「今後のモサル族に関して」というタイトルでプレゼンを行った。


そしてモサル族の民が全員広場に集まった。

「じゃあ始めるかの…」


「すいません」

ムスチェが挙手した。

「どうした?ムスチェ?」

「あの…ランバダさんが未だ帰ってきていないんですけど…」

「なんじゃと?!」

みんなが一瞬にして顔を強張らせた。
誰もが心の中で「まさかランバダもカサンドラと同じ運命を…」

 

そう思った矢先、


うっほほほぉぉぉぉぉ~~~~~~~い!!


「ガンボイ族の雄たけびだ!!」

「なぜだ!?奴らは自分の集落に帰ったはずだ!!」

「一体何をしてるんだ?!」

モサル族の人々はパニックに陥った。


そこに…


「ランバダさん!!」

ムスチェが叫んだ。

ランバダが一人で立っていた。

「おぉ…無事だったかランバダ…さぁ早くプレゼンを始めるぞ。ところでなぜ未だガンボイ族のやつらが??」

微妙な空気が流れる中、ランバダは口を開いた。

「カサンドラがいない今、このアフリカ未開の地を統べれるのはオレしかいねぇ。…奴は確かに最強の戦士だった。みんなが見る目も違ってた。しかしオレも奴と一緒に訓練してきた。戦った。しかしみんなが称えるのはカサンドラばかり…奴とオレの何が違うんだ。…オレはやつが憎かった。だからこの計画を思いついたんだよ。でもまだこの計画は終了していないんだ。この計画の終了にはみんなの力が必要なんだ」

「一体どういうことじゃ??わしらの力が必要って…??」

 

「こういう事だよ。」

 


ランバダがぱちんと指を鳴らした瞬間!!


何百人ものガンボイ族の兵士がモサル族を襲った!!


泣き叫ぶモサル族の悲鳴…
暴れるガンボイ族…

「おぉ…ランバダ…お前は…」

 

 

 


一夜にして、モサル族は絶滅した…

――ランバダを除いては――

 

次の日、ガンボイ族の長とランバダが話していた。

「お前もひどいことをするな。ランバダ。今まで育った仲間たちになにか感じねぇのか??」

「愚問だな。答える必要もない。」

「ふっ…まぁいい。これからお前がガンボイ族を統率し、このアフリカ未開の地の覇者となるんだ。ランバダよ…」

「聞くまでもねぇ」

 

その時、悲鳴が聞こえた。

「なんだ???」

ランバダが悲鳴の聞こえた集落の入り口まで駆け寄った。

門番の二人が倒れていた。

「おい、どうした!!何があった!!…くそ、死んでやがる…」

その時、ランバダは何か落ちているのを見つけた。

 


「これは…」



「モサル族…最強戦士の証…カサンドラが頭につけていた…まさかな…」

ランバダの額には汗が垂れていた。






続く


エネミー・オブ・カサンドラ 第一話~暴虐のシンメトリー~

2006年04月11日 09時48分40秒 | カサンドラ



その日、カサンドラは自分でも驚くほどに落ち着いていた。

「ヘイ!昨日はよく眠れたかい??」

「…ランバダか…」

そこには幼い頃からともに笑い、泣き、訓練をしてきたカサンドラの親友、
ランバダが朝食のシマウマの肉を頬張りながら立っていた。

「大丈夫だ。コンディションに問題はない。」

「そうか。じゃあお前の飯もらっても大丈夫だったよな。うまかったよ。」

「お前なぁ…」

「冗談だよ。早く来いよ。スープが冷めちまうぞ。」

ニヤリとランバダは微笑み、その場を去っていった。
カサンドラはこの状況でも冗談を行ってくれるランバダに感謝し、
緩んだ口元を直し、朝食を取りに行った。


―みんな、頑張ってくれ。―

カサンドラは心の中で呟いた。


カサンドラを族長としてアフリカの未開の地に存在する最強の部族、モサル族。
このモサル族を中心に未開の地は統率されていた。

しかし、近年このモサル族のやり方に気に食わない部族が出てきた。

この間、モサル族の狩場であるモーランヤ平原に
モサル族を悪、自分達が正義と謳うガンボイ族が数名、狩りをしていた。

それを見つけたモサル族の若者、ムスチェがガンボイ族に注意を呼びかけたところ、ガンボイ族の連中にボコボコにされるという事件が起きた。
これを聞いたカサンドラは、ガンボイ族との部族戦争を心に決めたのだった。そして今日はその開戦日…

「熱っっっ!!」
戦争のことで頭がいっぱいでカサンドラは自分が猫舌だということも忘れ
熱々のスープを飲んでしまった。


「本当に…すいませんでした…」

ムスチェが立っていた。

「いいよ。気にするな。いつか来ることだったんだ。」

「オレ…がんばります!!」

「頼もしいな。ありがとう」

その時、

「カサンドラさん!!そろそろやつらが来る時間です!!」

警備隊の呼び声が掛かった。

「わかった。ランバダは?」

「それが…ちょっと見当たらなくて。」

「あいつ…どこほっつき歩いてやがる。」

ランバダはカサンドラには劣るものの、モサル族有数の戦士だ。
今回の戦いもランバダとカサンドラが先頭に立ち戦を進めていく予定だ。

「早くランバダを見つけてきてくれ。」

「わかりました。」

よし、行くか…カサンドラが席を立ち上がった時、

「ヒャッホーーーーーーー!!!!!!!!!」


ガンボイ族の雄たけびが聞こえてきた。

「しまった。もう来たか。村中の戦士よ!!早く集え!!」

カサンドラは大声で召集をかけた。

そして、外に出て、

「カサンドラ・アイ!!」

※カサンドラ・アイとは、通常5,5の視力を、一気に10にまで引き上げてくれる技だ。
ここでは相手の軍のおおよその数を把握するため、これを使用した。

「100…200…250といったところか。こっちは確か200弱。少し厳しい戦いになりそうだ。」

そう思っていたカサンドラの目に思いもよらぬものが飛び込んできた!!

「あれは…」












「ランバダ…??」


カサンドラはガンボイ族の軍の中にランバダと思しき人物を見つけてしまった。

「そんな…まさか!!一体どういう事だ!!なぜ…ランバダが…」

その刹那!!

カサンドラのわき腹に激痛が走った!!

「グフッ!!」

血を吐くカサンドラ、そっとわき腹に手を当てる…血がついている…

カサンドラのわき腹を背中側から槍が貫通している…

「これは…」

振り向くカサンドラ。

そこには…カサンドラのわき腹を刺した槍を手にしている


ムスチェがいた。


「本当に…すいませんでした…」





続く