一瞬の沈黙が流れた…
そしてカサンドラはまた血を吐きながら
「なぜだ…」と呟いた。
「許してくれ…カサンドラよ…」
「長…老…」
そして長老は静かに語りだした。
「最近我がモサル族への反対勢力の急激な増加についてはお前も知っている通りだ…そして、このモサル族を仕切る最強の戦士、カサンドラ。お前を慕ってくれる人以上にお前を敵視する者がおる。はっきり言って、これ以上モサル族がこのアフリカ未開の地を制して行くことは不可能なんじゃ…モサル族の存続のためには…お前の首が…ゴホゴホッ…全ては仕方がないことじゃったんじゃ…」
そう言うと、長老は静かに去っていって。
「わかってくれましたか?カサンドラさん…全ては…仕方がないことなんです…」
「ムスチェ…」
カサンドラは大きく息を吐いた。
「やれやれ…正義のヒーローというものは、大変なんだな…」
カサンドラは膝をつき、その場にしゃがみこんだ。
ムスチェはそっと槍を抜き、
「カサンドラさんの最期を見届けることは僕にはできません。
ランバダさんが役目を終えることになってます。」
そしてムスチェも去って行った。
「オレにもっと…力があれば…」
カサンドラは泣いていた。
そこに、ガンボイ族とともに、ランバダがカサンドラの目の前にやってきた。
「長老から話は全て聞いているはずだ。おい、何か言い残すことはあるか??」
カサンドラは少し黙った。
「残念だが命乞いは聞いてやれないぞ。お前がここで死ぬことは運命だ。」
「そうか…」
カサンドラは最後にランバダに向かって
「信じてるぞ」
と、呟いた…
そしてランバダは
カサンドラの胸を―槍で突いた―
「おい、カサンドラが死んでいるか確認しろ!!」
ガンボイ族の兵士がカサンドラの脈を確かめた。
「死んでます。ランバダ様」
「よし…」
ウォーーーーーーーラァーーーーーイ!!
ガンボイ族が雄たけびを上げた。
モサル族の民は、カサンドラが死んだことを理解し、泣く者もいた。
カサンドラは―死んだ―
そしてその夜、長老が
「今後のモサル族に関して」というタイトルでプレゼンを行った。
そしてモサル族の民が全員広場に集まった。
「じゃあ始めるかの…」
「すいません」
ムスチェが挙手した。
「どうした?ムスチェ?」
「あの…ランバダさんが未だ帰ってきていないんですけど…」
「なんじゃと?!」
みんなが一瞬にして顔を強張らせた。
誰もが心の中で「まさかランバダもカサンドラと同じ運命を…」
そう思った矢先、
うっほほほぉぉぉぉぉ~~~~~~~い!!
「ガンボイ族の雄たけびだ!!」
「なぜだ!?奴らは自分の集落に帰ったはずだ!!」
「一体何をしてるんだ?!」
モサル族の人々はパニックに陥った。
そこに…
「ランバダさん!!」
ムスチェが叫んだ。
ランバダが一人で立っていた。
「おぉ…無事だったかランバダ…さぁ早くプレゼンを始めるぞ。ところでなぜ未だガンボイ族のやつらが??」
微妙な空気が流れる中、ランバダは口を開いた。
「カサンドラがいない今、このアフリカ未開の地を統べれるのはオレしかいねぇ。…奴は確かに最強の戦士だった。みんなが見る目も違ってた。しかしオレも奴と一緒に訓練してきた。戦った。しかしみんなが称えるのはカサンドラばかり…奴とオレの何が違うんだ。…オレはやつが憎かった。だからこの計画を思いついたんだよ。でもまだこの計画は終了していないんだ。この計画の終了にはみんなの力が必要なんだ」
「一体どういうことじゃ??わしらの力が必要って…??」
「こういう事だよ。」
ランバダがぱちんと指を鳴らした瞬間!!
何百人ものガンボイ族の兵士がモサル族を襲った!!
泣き叫ぶモサル族の悲鳴…
暴れるガンボイ族…
「おぉ…ランバダ…お前は…」
一夜にして、モサル族は絶滅した…
――ランバダを除いては――
次の日、ガンボイ族の長とランバダが話していた。
「お前もひどいことをするな。ランバダ。今まで育った仲間たちになにか感じねぇのか??」
「愚問だな。答える必要もない。」
「ふっ…まぁいい。これからお前がガンボイ族を統率し、このアフリカ未開の地の覇者となるんだ。ランバダよ…」
「聞くまでもねぇ」
その時、悲鳴が聞こえた。
「なんだ???」
ランバダが悲鳴の聞こえた集落の入り口まで駆け寄った。
門番の二人が倒れていた。
「おい、どうした!!何があった!!…くそ、死んでやがる…」
その時、ランバダは何か落ちているのを見つけた。
「これは…」
「モサル族…最強戦士の証…カサンドラが頭につけていた…まさかな…」
ランバダの額には汗が垂れていた。
続く