COOL WEST JAPAN

クールな西日本発のスィートな旅行記等、お届けします🍀

2014初夏 瀬戸内・島アート巡り ~豊島・犬島~ 「旅のアルバム 2」 犬島 家プロジェクト・瀬戸

2014-06-13 15:55:23 | 新日本紀行 中国編 岡山

写真犬島「家プロジェクト」写真

犬島に向かうフェリーは、人でいっぱいだったんです。と言うのも、犬島には少年自然の家があるので、小さなお子さん連れの親子が何組も乗っていたんです。

こういう人たちは、犬島製錬所美術館には行かれません。全てが伸び盛りのキッズには、おそらくあの犬島製錬所美術館および産業遺産の「滅びの美学」や「枯れ果てた良さ」という、侘び寂びの世界が理解しがたいと思うんです。 

ところで、犬島家プロジェクトは、鑑賞料が無料のものと有料のものがあり、製錬所美術館とセット料金¥2,060円のチケットを購入していたので、全て拝見しました。ワタシ的な一押しは荒神明香氏の作品二点。作品自体も美しいし、無料鑑賞できる上に、撮影OKなんです。写真一枚目は『S邸/コンタクトレンズ』。

夏の熱いときのグラスが汗をかいたように、グラスの縁に水滴がいっぱい付いたような状態になっているのを思い起こさせるような作品です。だから、見ていると何だか涼しい感じがしてきますよ。周囲の犬島の民家を、どのレンズも逆さに反映していて、それも面白い。 

『A邸/リフレクトゥ』という、カラフルな切り絵を花園のように円形の広場にグルッと展示している作品の場所では、この横の道を通る親子連れが次々と記念写真を撮っていました。犬島の家プロの中では、作品そのものからの感銘に加えて、訪問者を喜ばせて良い思い出を与えてくれるという意味でもMY BESTGOODです。『リフレクトゥ』の中にも入れますよ。グルッとガラスケースに囲まれた場所なので、話すと声がものすごく反響します。だからreflectなんでしょうね。

普通に犬島の道を歩いていると、突然公園感覚でこのような素敵な作品に出くわしますからね~ 少年自然の家に遊びに来られた家族連れの皆さんにとっても犬島ならではの良い記念写真スポットで、お勧めします。   

ちなみに、この『リフレクトゥ』の辺りに、「鯉(コイ)のおじ様」の秘密基地があるんです。運が良ければ路地裏から不意に現れ出たおじ様に遭遇して、基地のご案内をして頂けるかもわかりませんよ。   

写真瀬戸大橋・与島PA(パーキングエリア)写真

旅行ガイドでもこの与島PAは、瀬戸大橋途中の絶景スポット、そして休憩のマスト場所として紹介されています。 今回は、帰宅途中の道すがら、夜の8時ごろに訪れました。 

人気のインターだけに、お土産物も充実しているし、何が嬉しいかって、ここのレストランは美味しい!んです。インターの食堂は、レトルトや冷凍をチンした感じのものが時々出てきますが、与島インターのレストランは、ちゃんとコックさんがいて調理されたお味の料理が出てきます。

この日のチョイスはラーメンとミニ中華丼セット、そしてコーヒーフロートで注文しましたが、満足、満足♪ ドライブの休憩がてら立ち寄るには、お勧めのレストランですよ。 

ここでのお土産は、Newということで、香川のご当地ラーメン「はまんど」にしました。いりこ等、海の幸を使ったダシのラーメンスープがあっさりとしていて、独特の味わいです。お土産用のアイランド食品の、三食千円のシリーズのラーメンセットは、スーパーやデパートでも売っていますが、ハズレが無いですよ。徳島のものだと、三八(さんぱ)やふく利などがありますが、美味しいです。お店で食べる味を、かなり正確に再現できます。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2014初夏 瀬戸内・島アート巡り ~豊島・犬島~ 旅の同点BEST1 存本商店

2014-05-19 00:36:35 | 新日本紀行 中国編 岡山

拍手同点一位 存本商店拍手

『るるぶ』や『じゃらん』や『タビハナ』で今回も旅の予習をしていると、犬島のページでこの「存本(ありもと)商店」さんが紹介されていて、横に商店主の存本桂子さんの写真が掲載されていたんです。名物の犬島丼の他にも、お土産の「犬石くん」や「犬ガチャ」が可愛らしくて、寄ってみたいなと思っていました。が、偶然犬島に向かう定期船の中で隣に乗り合わせて、私は存本さんとわからなかったのですが、ローザが気づいて話しかけたところ、ご本人とのことで大いに話が盛り上がって、船内で「ぜひ行きます」とお約束していたんですよ。 

犬島到着が11時で、真っ先に犬島製錬所美術館に向かい、その後に家プロジェクトを一通り見た後で、定期船乗り場に向かう道を歩いていると、存本商店に向う道で存本さんと出会い、お昼時が終わったところだったのでご自宅に向かわれるところだったのですが、急いでお店に戻ってくれて、お料理とご接待をして頂けました。

家プロジェクト鑑賞中だったローザの携帯に店内から電話して、在本商店に呼び寄せました。二人ともお昼は、在本さん推薦の「犬島丼セット」@1,000円。犬島名物のドンブリ(舌平目の骨ごとミンチを使った素朴な味わい)と、ゲタ(舌平目)の唐揚げ。 

これに天草で作ったコーヒーゼリーが付きます。それと、犬島では歩きの旅行だったので、缶ビール等の飲み物を注文。 ゲタの唐揚げと、ビールの苦みと滑らかな泡立ちのコラボが良く合います。

そして、ココがポイント上矢印 在本商店では、お食事中に、在本さんの「犬島学」レクチャーが始まるんです。在本さんは、犬島関連の本やDVDを出されており、新聞で連載などもされています。 

本や記事のスクラップの見どころを紹介してくれたり、流してくれるDVDの解説をしてくれたり、また壁には犬島の地図を掛けているのですが、学校の先生が使用する支持棒を出してきて所どころ指し示しながら、犬島の色んなお話をしてくれる姿は犬島学の教授さながら。

お蔭で私とローザも、店内にいた約一時間半で、すっかりプチ犬島博士に。また、犬島の歴史的な沿革や地理の話以外にも、犬島製錬所美術館を誘致した時の話や、ベネッセ会長の福武総一郎さんのお話、瀬戸内国際芸術祭にまつわるアーチストの方々の話から、『西部警察』のロケに来られた石原プロ、また犬島に島アートで話題になってから来られた色んな芸能人の話など、盛りだくさんに展開する面白いトークの数々には、聞いているこちらの興味が尽きません。 

犬島関連のお話では、犬島では現在のところ島民が50人で、40人が70~80代、という現実が一番考えさせられたでしょうか。来る時の駐車場も、領収書に「宝伝老人クラブ」という印が押されていました。

在本さんも、23年前から、高齢化に歯止めが止まらず、学校が閉鎖して子供がいなくなっていく犬島の行く末に危機感を感じ、犬島の島おこしのための色んな活動に立ち上がったそうです。 

犬島では、在本さんの他にも、印象的な元気なシニア世代の方々に出会いました。

犬島製錬所美術館の出口で、お客さんに色々と犬島関連の話を精力的にしてくれる「サチさん」(ローザは他に少し日本語のできる英米人の男性と二人で、この人の話を30分ほど聞いたそうです)。 

また、私が家プロジェクトのA邸「リフレクトゥ」という作品の前で写真を撮っていると、「お姉さんイイもん見せたげるけん、こっちおいで」と、チャンチャンコを着た人懐こい笑顔のおじ様に手招きされたので納屋の中に入っていくと、そこはおじ様の秘密基地。私の腕ぐらいある大きなコイが、7匹くらい泳いでいる「元銭湯」跡がありました。傍らに、時代物のオーディオが置いてあって、上にファイルがあり「『西部警察』って、知っとう?」と、渡哲也や石原プロの芸能人の生写真なども見せていただきました。

しばらくお話しして、残りの家プロを一通り鑑賞して港に向かうと、また船着き場の日陰のベンチにおじ様が座っているんですよ。「お姉さん、まあココに座られぇ」と横のベンチを勧めてくれたのですが時刻はもう昼の2時、在本商店に行ってお食事休憩を取りたかったので、お誘いに少し心は揺れたのですが、丁重にお断りしました。犬島は石の名産地で知られ、おじ様は元石職人とのことですが、曇りのない瞳でとてもいい笑顔の持ち主なんです。私がおじ様世代になった時に、あのような屈託のない笑顔を誰にでも向けられるか。シニア世代のパワーは犬島のあちこちで感じました。

とは言え、島民の8割が70~80代。これは犬島だけでない、高齢化は日本全体の大問題ですが、誰しも避けて通れない真剣な問題なので、自分なりに解決策を探し出していくしかないな、と思っています。 

お土産は当初の予定通り、ローザも私も「犬石くん」@1,000円と「犬ガチャ」@200円(中身は缶バッジ)を楽しみました。犬石くんは手のひらに乗るサイズですが、最近は石堀職人さんが数えるほどしかいないので、このお値段は良心的な設定だそうです。 

立ち去りがたかったですがお店を出るときに、島全域を回られるといいですよとのアドバイスを頂戴して、在本商店で自転車をお借りして犬島をグルッと一周することにしました。 

犬島海水浴場の芸術大学の学生の作品『スケッチ』です。実際にこの石造りの椅子には座れます。 

犬島自然の家近くにある、備前焼の『犬島の島犬』も鑑賞しました。 見ての通り、建物の一階を塞ぐような大きさです。

自転車を返す時に、在本さんのご自宅を教えて頂いていたので、一言ごあいさつに上がると、家の前は犬島の石のテーブルとイスが置かれ、玄関入ったところの広間は私設図書館みたいに色んな本でいっぱい。本物の犬島・家プロジェクトだと思いました。素敵だなと思ったのですが、個人の邸宅ですので撮影は申し出ませんでした。

5月でも自転車で全周4キロの、坂道も多い犬島を西日に照らされながらこいで周ると、汗だくになります。私の汗まみれの顔を見るや、存本さんは台所に入ったかと思うと「氷水でいい?」と言って運んできてくれました。自然な気遣いと言う甘露がたらされている氷水は、とても美味しかったです。 

写真は、宝伝港の駐車場から、犬島(右上に見える、大煙突が2本立っている島がそうです)をバックに、私が連れて帰った一匹の犬石「キャサリン」と、犬ガチャで当たった、ピンクの瀬戸大橋の缶バッジです。キャサリンは石製だから、石造りの防波堤の上に置くとなじみますね。 

面倒見が良くて包み込むような愛情の存本さん。「島のお母さん」」と呼ばれているらしいですが、確かに犬島に再生の命を吹き込んだという意味でも、そして元々の温かいキャラクターにおいても、この呼び名はピッタリだと私も思います。

有本さんは元より、鯉(コイ)のおじ様や、仕事熱心なサチさん、それから家プロジェクトで写真を撮って回っている時も、地元のシニア世代の人に「いいお写真撮れてますか?」と気さくにお声掛けいただいて、犬島ではそこに住む皆さんのあたたかい人柄に惹きつけられました。ローザも同じことを言っておりました。 

今回の旅では、犬島製錬所美術館と同じく、上述の犬島気質の象徴であるような「存本商店」を、堂々の同点一位にさせていただきます。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2014初夏 瀬戸内・島アート巡り ~豊島・犬島~ 旅のBEST1 犬島精錬所美術館

2014-05-17 00:08:13 | 新日本紀行 中国編 岡山

GOOD第一位 犬島精練所美術館GOOD

宝伝港の有料駐車場一日500円に車を停めて、@300円の定期船で片道10分。港から左に歩いてスグのチケットセンターで、製錬所美術館と家プロジェクト合わせて@2,060円のチケットを購入して、海岸沿いに歩くと、入口にたどり着きます。この「立入禁止」感漂う柵の内側に足を踏み入れるぞっていうイケナイ感じが、何だかゾクゾクします。 

美術館の前あたりの海岸は「危険!海に入るな」という警鐘を鳴らす案内板がアチコチに見受けられました。急に水深が深くなるそうです。ところで、この崩れ落ちかけている煉瓦の壁が何とも風情があって、海外の廃墟みたいでもあり、古城のようでもあり、ブラリ散策しているだけでも、大人だったら自分が何か、映画の主人公みたいな気分になります。が、子供だったら格好の隠れん坊の場所になりますよ。鬼ごっこもいいですね。思う存分、走り回れる広さです。 

ふと目を足元に落としても、黒ずんだ暗赤色の煉瓦が趣きがあるんですよ。このかつて栄華を誇った精錬所と、周りの穏やかな瀬戸内の海、この日は天気が快晴だったので五月晴れの空、瀬戸内の島々に目をやっていると、時間を忘れて何とも言えずのんびりします。 

さて、美術館の入り口がどこなのかよくわからなくて、後になってわかったんですが美術館の出口の横から、先に産業遺産の広大な精錬所跡の敷地を巡りました。屹立したこの煙突からモウモウと煤煙を上げて、10年間といえどもこの精錬所はフル稼働していたんでしょうね・・ 

上から見ると、さきほど歩いていた場所の煉瓦の壁の残骸は、高校の時の文化祭で「迷路」と銘打って、教室の机と椅子で構成した迷路の出し物をしていたクラスがありましたが、それを連想しました。やっぱり、隠れん坊に打ってつけです。写真で見るとコンパクトに見えるけれど、実際は相当な広さですよ。 

象徴的な大煙突と、異国情緒あふれるカラミ煉瓦の工場跡のコラボに、背景は瀬戸内の島と海。ここからの眺めは、絵葉書にもなっていました。 

この煙突は、見るなり「バベルの塔」を思い起こしました。ボキッと先端が折られているんですよね。神様が怒りで、雷を落として崩したかのように。精錬所は広大な敷地なので、他所では閉鎖の後は公園やキャンプ場になった所もあるようですが、犬島ではそのまま放置されたことが、逆にこうして美術館や近代産業化遺産として、平成の世に蘇生したようです。何が幸いして世の脚光を浴びるやら、後になってみないとわかりませんね。 

ここで『西部警察』の渡哲也が、最終会の大爆発シーンで終焉を迎えるところが撮影されたのも、納得がいきます。先がえぐられた大煙突をバックに、凄まじい熱気をはらんでムクムクと入道雲のように舞い上がる爆風・天を突きあげる真っ赤な炎・・ アクション映画やSFの背景には良さそう。

発電所跡も壁の崩れ方や、煙突に絡みつく植物や苔むした様子が「栄枯盛衰」「諸行無常」をひしひしと感じさせて、しんみりとしてしまいます。 

約一時間外を巡って元に戻り、出口のカフェのスタッフさんにお伺いして、美術館の入り口に向かいました。 

が、近代産業化に警鐘を鳴らした三島由紀夫がモチーフの美術館だということは知っていたのですが、先に『コロナ』という作品があり、これが一年前に訪れた女木島(めぎじま)の鬼が島洞窟もビックリ!のハラハラドキドキ感をあおるような、鏡を利用した光と影のトリック小路なんです。私は犬島では定期船内と存本商店以外ではローザと別行動だったので、他のお客さんもおらず一人でこの長い迷路のような道を歩いていると、何とも不安感を煽られて、(横から何か飛び出して来ないよね)(本当に出口にたどり着けるんだろうか)という、お化け屋敷同様の恐ろしさがありましたね。

外はあんなに明るいのに、美術館の中は、ほぼ真っ暗。その対比を楽しむ狙いもあるんでしょうが、やっとコロナから抜けると、またまた薄暗い部屋「エナジー・ホール」と、明るい外に面した「チムニー・ホール」に出るんです。三島由紀夫がモチーフの美術展示室なのですが、三島の住んでいた家の障子や便器などの構成物をバラして、天井からぶら下げてモビールみたいにしたり地面に埋めたりと、何とも言えない不思議なオブジェ。

そして、ここで怖いのが実は、ほの暗い部屋の隅でボゥ~と立っている、次の展示室の案内役のスタッフさんなんです。暗い部屋の隅でひとりジッと佇んでいるから、亡霊に見えるんですよ。(人形? 人間? 作品? 誰? 何?)と、作品と同じぐらい気になって、目を凝らして見てしまいます。 

そしてその方が案内してくださって、三島の『英霊の声』の作中の文章が、赤いレーザー光でザワザワという感じで壁に浮き上がって流れる左右の扉を開けると、鏡のトリックで無限に空間が横に広がる部屋「風除室」に行くのですが、美術館の入り口からここまでが本当に暗い。

ここを出たら戸外なので突然のまぶしさに目を細めて、三島文学の作中文を金色の文字にしてたくさん吊り下げた展示室「サン・ギャラリー」を通り抜けて、出口にたどり着くんです。 

美術館内部は撮影禁止なので、様子が画像ではご紹介できません。

が、想像していたより実際の方がずっと犬島製錬所美術館は、産業遺産も美術館内部も、眩しいほど明るく、目を凝らすほど暗く、一世紀前に思いを巡らせるぐらい古く、今風にとても新しくオシャレなという、色んなものがミックスされた深い味わいがある所なので、この犬島には直島、豊島同様に、一度は行ってみるべきGOODだと思います。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする