ただ日常をダラダラと‥

でも、やるんだよ!因果鉄道の旅 根本敬

真実ではないが真理ではある。
意味はないけど理由はある。
そういったものに近頃益々興味を惹かれるのだ。

根本敬




根本敬は特殊漫画家である。
しかし、マンガもともかくエッセイ(?)が格段と面白い。
この本は語り下ろしだが‥。

この本には根本氏が今までに邂逅してきた因果者(確固とした自分の世界を持っている。)を
微に入り細に入り紹介している。
大学生の当時、自分の母親より年上で身体に障害を持つ近所の定食屋の婆アに
取り憑き、飴と鞭で(この場合セックスと暴力)支配してその家庭を破滅に追いやった同級生。
韓国を訪れたときに付きまとわれたフリーランスの観光ガイドの爺。
(この人の場合は初体験の話しが面白い。文章で完全再現されているので必読。)
全てが自分のご都合主義の超能力演歌歌手。
しおさいの里という犬の愛護施設(かなりいい加減)を運営している元金庫破りの男。
(1日に5頭の犬の去勢手術をしている。と言いつつ、その脇に至る所で交尾をしている犬たち‥。)
勝新太郎。
等々。


ねっ!少し紹介しただけでドキがムネムネしてこないかしら?
そんな者にときめくのはアタシだけかな。

この本が出版されたのはアタシが20歳代の最後の年で
読後、まるで解脱した感覚になり、以来、この本はアタシのバイブルとなり
その後のアタシのフィールドワークの礎となった。
40歳半ばになった今でも自分を見失いそうになったときに読み、自分の方向性を確認している。
ちなみにアタシの座右の銘は件の「しおさいの里」でボランティアで働く親父が放った一言。
「でも、やるんだよ!」である。
終わりに「でも、やるんだよ!」のくだりを少し。

犬のエサ用のタライを12月の寒空の下で冷たい水に素手でゴシゴシやっている親父にインタビュー

「いいか、俺はね毎日1日に2回エサをやるけど、エサが終わると全部いちいちこうやって洗ってるんだよ。
ピカピカに。でもわざわざこんなの洗剤使ってゴシゴシ擦る必要ないんだよ。水でちゃっちゃっとやりゃあ、
それでいいんだよ。な、こんな事無駄なことだと思うだろう?」

「え、いやまあ。」

「そうだよ、無駄なことなんだよ。」

で、次にドスの効いた大きな声で

「でも、やるんだよ!」

こっちに云ったってよりは、てめえに云ったって感じかな。




ギャフン !!やられた~

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