夜7時半。
ヌプカの一階に集合です。
懐中電灯を持ち、レインウェアを着て集まります。
ナイトハイク。
樹齢800年のみずならの木までの、約3キロを歩きます。
無言で。
それも懐中電灯は、たった一本。
各グループごとに一本のロープを右手に持ちます。はぐれないように。
この森のなかに、熊がいます。
その他の森の動物たちも闇の中に潜んでいる。
この暗闇は、手を伸ばすと自分の手のひらが見えなくなるほど。
今年は新月に近かったせいもあって、とにかく暗い。
子どもたちは、この森の中を歩く実習の説明を耳を澄まして聞いています。
毎回、この時間は独特の緊張感が漂います。
全員の意識が一つにならないと、この実習はやれない。
「やるかやらないかをグループごとに決めてください。」
毎年、恐怖でなかなか「やる」と言えない子どもも出るほど。
ところが今年は、すんなり全員「やる!」
ところが・・・・・・
全員がやると決めたので、次は、並ぶ順番を決めて出発です。
先頭は道がわかっているリピーター。小学校4年以上で3回は歩いていること、が条件。
だいたいグループのリーダーが担当します。
4つのグループの内3つはすぐに「決まりました」
KZNのレインボースカイバードチームがなかなか決まらない。
10分待っても決まらない。
「何が起きてるんだ?」
「5番目が決まらない」と、KZN。
先頭も怖いけど、一番後ろを歩く5番目も怖い。
小4女子のRNAと男子YTAが、4番目を譲らない。
「KZNはどうしたいんだ?」
「RNAにやってもらいたい」
「じゃあ、KZNが、そう決めたら?」
RNAが首を振る。
歩く時間は一時間以上かかります。
出発が遅れれば遅れるほど帰りが遅くなる。
おまけにこの3日目は、子どもたちの疲労が蓄積している。
低学年は、もうすでにこの段階で眠そうになっています。
「今までに一番後ろを歩いたことがある人は?」
何人かが手をあげます。
「どんな体験だった?」
誰もが皆「怖かった」と言います。
そう、怖いんです。
後ろじゃなくても、大人のボクだって暗闇は怖い。
子どもたちのチャレンジは相当な覚悟。
「怖いけどチャレンジしていこうっていう事もできる。怖いからチャレンジしないっていう事も出来る。
RNA、YUT!お前たちは、どっちの自分に会いたいんだ?」
もう30分は経過しています。
しばらくしてRNAが
「5番目にする」
すると、すかさずYUTも
「5番目にする」
彼らのチャレンジ精神には頭が下がる、だけど・・・・・・・
「さあ、KZN!お前はどうしたいんだ?」
答えが返ってきません。決められないようです。
リーダーとして葛藤しているんでしょう。
こういった試行錯誤の時間は決して無駄ではありません。
すぐに決断させることよりも、この葛藤している間に、子どもたちの心が育っているのです。
でも、もうこれ以上時間をかけることはできません。
全員がやるといういい緊張が途切れてしまいます。
「よしっ!普段はしないけど、今回だけはしばしばが決める。YUT!お前が5番目だ。全員バスに乗って!」
この決断がよかったのかどうかはわかりません。
KZNにとっては、決められない事を。
RNAや、YUTにとっては、自分で決める事。
そして、その場にいた全員にとって、「~だからやめるのか、~けれどやるのか」という選択を学んだ
とは思うのですが・・・・。
8時40分。
ようやく出発です。
バスの中から無言です。
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