注目浴びるも...

入社間もないころの話である。
まだ社員数も少なく、休日などは皆仲良くキャンプや小旅行を楽しんでいた。
#最近はBBQすら会社のメンバーでは流行らない。

仙台では秋口になると、川原や山へ繰り出し「芋煮会(いもにかい)」が盛んに行われている。学生サークル、会社の同僚、さまざまなグループが鍋を囲んで盛り上がるのである。
その日は会社の有志が集まり、近くの川原で毎年恒例の芋煮会を行っていた。
屋外でそれも昼間から酒が入り、皆かなりテンションが高い。飲めや歌えやの大騒ぎだった。

普段から大食らいの私は、ここぞとばかり芋煮を食べ続けた。ビールもそこそこ入りいい気分になるはずが、だんだんお腹の具合が悪くなってきた。「ぐるぐる」と音がしてきて、もうたまらん。
ここは川原、トイレなどはあるはずもない。男たちは皆、川の下流で立ちションである。しかし今は大がご所望である。かなりやばい。

仕方なく、近くの竹やぶへお尻をキュッとすぼめながら入っていった。誰にも見られていない。やっぱ恥ずかしいから。
周りを見渡しながら、誰も気が付いていないことを確認してしゃがんだその瞬間、短い木の枝が数本お尻に刺さったのだ。

「ぎょぅぇぁ～！」

トムとジェリーのトムみたいに、飛び上がった。ホントに宙に浮いた。酔いもいっぺんに醒めた感じだった。
竹やぶの中から顔を出した私は、皆の注目を浴びたのは言うまでもない。まだズボンは膝下10センチ。

20年も経っているのに、その川原の側を通ると今でも赤面するのである。